- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003101285
感想・レビュー・書評
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うさんくさい話を、いまは、なんら検証しないで、
書き流している本が多い。
近代日本を代表する文豪となると、さすが、同じ怪異を扱っても
批判的に組み立てなおすことで、
うさんくさい話を知的な読み物に仕上げています。
これだけの知性の伝統がある日本語の世界ですから、
近いうちにきっと、いまのうさんくさい話ブームを
乗り越える作品が出てきて、
一定の支持を受けることでしょう。
そのためにも、まず、この本を味わって、
ツメを研ぎましょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
名作。
『幻談』、『観画談』は本題に入るまでがすごく長くて、何の話だろうと不思議に思いながら読み進めていくと、オチが唐突に現れて、そういう話ね、みたいな。
確かに薄気味悪くて、好きな話ではある。
『骨董』は、作者の考えていることが面白いなと感じる。
骨董品を買い集めることは、高慢税を支払っているということだ、なんて素敵だ。
それを支払うほどの金を持っていれば、じゃんじゃん支払いたい、とは面白い。
『魔法修行者』、これが一番個人的には楽しめた。
魔法とは、本邦では外法や修法、それを過去に修めたとされる人物を挙げて、いかに素晴らしいかということを語る。
魔法に限らず、何でも極めるということは、それが成功したかどうかではなく、勝つか負けるかではなく、それを成し遂げるために行うすべてのことに楽しみを覚えることであるというのには感動。
わたしは読書が好きだけど、何冊読んだとか、どんな難読書を読み下したとかじゃなく、ページをめくることにワクワクする、あるいは傍らに本を置いているだけで楽しい、と感じるみたいなことか。
『盧声』は、会話文が少し混じっているので、読みやすい。それにしても、作者は釣りが好きだな。 -
とても読みやすいし内容がしゃれている。
この時代の作家の文章がこんなにも読みやすいものだったのかと改めて思い知る。もちろん難しい漢字も多いのだが、内容がすっと入ってくる。
爆笑タイプではない落語が好きな人にはお勧め。