幻談・観画談 他三篇 (岩波文庫 緑 12-8)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003101285

感想・レビュー・書評

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  • うさんくさい話を、いまは、なんら検証しないで、
    書き流している本が多い。
    近代日本を代表する文豪となると、さすが、同じ怪異を扱っても
    批判的に組み立てなおすことで、
    うさんくさい話を知的な読み物に仕上げています。

    これだけの知性の伝統がある日本語の世界ですから、
    近いうちにきっと、いまのうさんくさい話ブームを
    乗り越える作品が出てきて、
    一定の支持を受けることでしょう。

    そのためにも、まず、この本を味わって、
    ツメを研ぎましょう。

  • 名作。
    『幻談』、『観画談』は本題に入るまでがすごく長くて、何の話だろうと不思議に思いながら読み進めていくと、オチが唐突に現れて、そういう話ね、みたいな。
    確かに薄気味悪くて、好きな話ではある。
    『骨董』は、作者の考えていることが面白いなと感じる。
    骨董品を買い集めることは、高慢税を支払っているということだ、なんて素敵だ。
    それを支払うほどの金を持っていれば、じゃんじゃん支払いたい、とは面白い。
    『魔法修行者』、これが一番個人的には楽しめた。
    魔法とは、本邦では外法や修法、それを過去に修めたとされる人物を挙げて、いかに素晴らしいかということを語る。
    魔法に限らず、何でも極めるということは、それが成功したかどうかではなく、勝つか負けるかではなく、それを成し遂げるために行うすべてのことに楽しみを覚えることであるというのには感動。
    わたしは読書が好きだけど、何冊読んだとか、どんな難読書を読み下したとかじゃなく、ページをめくることにワクワクする、あるいは傍らに本を置いているだけで楽しい、と感じるみたいなことか。
    『盧声』は、会話文が少し混じっているので、読みやすい。それにしても、作者は釣りが好きだな。

  • とても読みやすいし内容がしゃれている。
    この時代の作家の文章がこんなにも読みやすいものだったのかと改めて思い知る。もちろん難しい漢字も多いのだが、内容がすっと入ってくる。
    爆笑タイプではない落語が好きな人にはお勧め。

著者プロフィール

1867年(慶応3年)~1947年(昭和22年)。小説家。江戸下谷生まれ。別号に蝸牛庵ほかがある。東京府立第一中学校(現・日比谷高校)、東京英学校(現・青山学院大学)を中途退学。のちに逓信省の電信修義学校を卒業し、電信技手として北海道へ赴任するが、文学に目覚めて帰京、文筆を始める。1889年、「露団々」が山田美妙に評価され、「風流仏」「五重塔」などで小説家としての地位を確立、尾崎紅葉とともに「紅露時代」を築く。漢文学、日本古典に通じ、多くの随筆や史伝、古典研究を残す。京都帝国大学で国文学を講じ、のちに文学博士号を授与される。37年、第一回文化勲章を受章。

「2019年 『珍饌会 露伴の食』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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