摘録 断腸亭日乗 上 (岩波文庫 緑 42)

著者 :
制作 : 磯田光一 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003104200

感想・レビュー・書評

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  • ブログを続けていくにつれ、果たして日記とどのように違うのか? プロフとは? twitterとは? 掲示板とは? などという思いに駆られることが少なくないのだ。今宵はちょいと振り返って、ブログと日記の違いや共通点などについて、少々真面目に考えてみようなどと思ったのである。

    明治から昭和にかけての風俗を独特の筆致で描いた文豪、永井荷風といえば、数々の小説などの文学作品を世の中に発表していくことと同時進行的に、毎日の記録を日記として書き残していくことを、日課として課していたことでも有名である。それらの膨大な日記は「断腸亭日乗」というシリーズ本としてまとめられ、戦後には発刊され評判を呼んでいる。荷風さん研究の貴重な資料ともなっているのだ。彼が37歳の時から始まり79歳で大往生(当時の寿命からしてそういって間違いなかろう)するまでの42年間、1日も欠かすことなく続けていたというのだから恐れ入る。「ほぼ日刊」などと称しているおいらが恥ずかしくなるくらいの凄さなり。

    そもそも「断腸亭日乗」というタイトル自体がユニークである。「断腸の思い」という一言を想起させる「断腸亭」とは、その昔荷風さんが住まわれていた一室の別名とか。そして「日乗」とは「日記」の別名である。世に艶福家として名にしおう荷風さんの日記らしく、小説では発表しなかった下寝た日誌なども躊躇うことなくあれこれと記されている。さらには、仲間内での小言なり誹謗中傷なりが散見されていてとても興味をそそるのである。

    さてそろそろ結論である。日記もブログも、毎日こつこつと続けていくことに意義がある。気負わず焦らず、ときには気を抜きつつ、出来るだけ長々と続けて行きたいという思いを強くしたのでありました。

  • 現在、シコシコ少しづつ読んでいる。
    時代的に夏目漱石と太宰治の中間を埋める作家。
    元銀行員・元落語家(三遊亭夢之助を名乗る)
    活動は、大正後期(1908年)〜1959年没。
    顔は勝手に「菊池寛・似」をイメージしていたが、細面の人。
    「旧仮名遣い」「旧字」でも、結構読んだつもりだが初めてお目にかかる漢字も散見する。
    仮名遣いも「旧仮名遣い」というより「候文調」。
    これも「快感」。

    例・「忽」=たちまち・「褥中」(じょくちゅう)=おそらく「寝床の中」のこと←想像
    「褥中」などは、コピペしてワードで見ないと漢字さえ不明。文庫なら見ることが出来る。

    「耽美的な作風」と言われるが、かなり下世話(庶民的)で「田中小実昌のルーツ」と言ったところか?
    ずいぶんとスケベーだったらしい。
    セックスは、あちこち?でしたがかならず避妊したとか。理屈をつけて、子供を持たなかった。
    ネットでは「浅草ロック座」でのストリッパーたちとの写真も発見。
    作品は読んでいないのだが、面白い作家かも‥‥

    別の話だが、野坂昭如さん・小沢昭一さん・永六輔さんが年齢とは言え書店でも著作を見かけないのが寂しい。
    かつては、並んでいたはず。
    各人とも親父と同世代。
    永六輔さんの「情報収集能力」の後継者はいない。
    「足と手間と顔で集めた情報」は貴重である。
    岩波文庫等が、定番化するべし。時代を映すもので、貴重である。
    今となって感心する。

    これも、時代。
    21世紀ですもの‥‥

  • 下もどうぞ。

著者プロフィール

東京生れ。高商付属外国語学校清語科中退。広津柳浪・福地源一郎に弟子入りし、ゾラに心酔して『地獄の花』などを著す。1903年より08年まで外遊。帰国して『あめりか物語』『ふらんす物語』(発禁)を発表し、文名を高める。1910年、慶應義塾文学科教授となり「三田文学」を創刊。その一方、花柳界に通いつめ、『腕くらべ』『つゆのあとさき』『濹東綺譚』などを著す。1952年、文化勲章受章。1917年から没年までの日記『断腸亭日乗』がある。

「2020年 『美しい日本語 荷風 Ⅲ 心の自由をまもる言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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