- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003104552
作品紹介・あらすじ
1918(大正7)年、児童雑誌『赤い鳥』を創刊、低俗な教訓性や娯楽性で成り立っていた従来のお伽噺を「子どもの心の特殊性に即した」童話にまで高めた作品を掲載、児童文学史に大きな足跡をのこした小説家、鈴木三重吉(1882‐1936)の童話集。「湖水の女」「黄金鳥」「ぶしょうもの」「やどなし犬」「大震火災記」など13篇を収録。
感想・レビュー・書評
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絵のある 岩波文庫
鈴木三重吉 童話集
バラエティに富んだ構成の中、印象に残るのは「少年駅伝夫」の旅の醍醐味(人間の優しさや自然の厳しさ)を伝える描写力、「星の女」深沢省三 の挿絵
序盤の異類婚姻譚4編は 美しい異世界の女性に魅せられた男性が不幸になるパターン。泉が異世界の入口になっている。童話だからか、子供は必ず幸福になる
冒険物語「ぶくぶく長々火の目小僧」は 旅をしながら、多才な仲間が増えていき、強敵と戦うストーリー
最後に関東大震災の記録があるのは なぜなのだろうか
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収録内容は以下の通り。
湖水の女(大正5年12月 発表)
黄金鳥(大正6年4月 発表)
星の女(大正6年8月 発表)
湖水の鐘(大正7年1月 発表)
ぶくぶく長々火の目小僧(大正7年7-8月 発表)
岡の家(大正10年12月 発表)
ぽっぽのお手帳(大正7年7月 発表)
ぶしょうもの(大正13年7月 発表)
デイモンとピシアス(大正9年11月 発表)
やどなし犬(大正13年1月 発表)
ざんげ(大正13年11月 発表)
少年駅伝夫(昭和3年2月 発表)
大震火災記(大正12年11月 発表)
鈴木三重吉が童話を手掛けた期間のうち、前半の時期に書かれた作品集。
一般に伝わる沈鐘伝説を道徳的に仕上げ直した「湖水の鐘」が特に印象的。
古くから伝わる伝承を道徳的に直すうえで、語句のひとつまで徹底した鈴木三重吉の仕事が素晴らしい。
編集は勝尾金弥。
カバー画は深沢省三、挿絵は深沢省三、鈴木淳。