若山牧水歌集 (岩波文庫 緑 52-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003105214

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  • リトバスからきました

  • 白鳥や哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ

  • 多作であることにまず驚く。作者の自然に対する憧憬が現れた作品が多く好感が持てた。
    しかし、中にはこのような驚きの歌がある。

    月の夜や裸形(らぎょう)の女そらに舞ひ地(つち)に影せぬ静けさおもふ

  • 歌集を出すなら斯くありたいものだ。

  • 牧水の若い時の歌は知っていたが、壮年期の歌もしみじととして良いことを知った。
    「わが屋根に俄かに降れる夜の雨の音のたぬしも寝ざめてをれば」「児等病めば昼はえ喰はず小夜更けてひそかには喰ふこの梨の実を」「人の世にたのしみ多し然れども酒なしにしてなにのたのしみ」「啼きすます小鳥は一羽あたりの木ひかりしづまり小鳥は一羽」「いつしかに涙ながしてをどりたれ命みじかしと泣きて踊りたれ」「居すくみて家内しづけし一銭の銭なくてけふ幾日経にけむ」「鉄瓶を二つ炉に置き心やすしひとつお茶の湯ひとつ燗の湯」「いる椎のはぜて飛びぬればいにしへのわらはべの日の驚きをしつ」「妻が眼を盗みて飲める酒なれば惶て飲み噎せ鼻ゆこぼしつ」

  • リフレインが効果的に使われている歌が多いと思いました。

    「草ふかき富士の裾野をゆく汽車のその食堂の朝の葡萄酒」

    「の」を介し、ズームアップしていって、最後に落ち着くのが葡萄酒。

    「朝から飲むんかい!」とツッコミを入れたくなる歌でした。

  • 『くろ土』が白眉だと思う。初期の作品が知られすぎている。

  • Amazon、¥282.

  • 髪を焼けその眸(まみ)つぶせ斯くてこの胸に泣き来よさらば許さむ

    ああ接吻(くちづけ)海そのままに日は行かず鳥翔(ま)ひながら死(う)せ果てよいま

    投げやれ投げやれみな一切を投げ出(いだ)せ旅人の身に前後あらすな

    浪、浪、浪、沖に居(を)る浪、岸の浪、やよ待てわれも山降りて行かむ

    若山牧水

  • こんなにもひとりの歌人に焦がれる日が来るとは。胸が打ち震える。強く、時に寂しく、熱くて美しい歌の数々。きっと私は牧水さんの歌に恋してます。

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著者プロフィール

1885(明治18)年、宮崎県生まれ。延岡中学時代から作歌を始める。早稲田大学英文科卒。早大の同級生に北原白秋、土岐善麿らがいた。1910年刊の『別離』は実質的第一歌集で、その新鮮で浪漫的な作風が評価された。11年、創作社を興し、詩歌雑誌「創作」を主宰する。同年、歌人・太田水穂を頼って塩尻より上京していた太田喜志子と水穂宅にて知り合う。12年、友人であった石川啄木の臨終に立ち合う。同年、水穂が仲人となり喜志子と結婚。愛唱性に富んだリズミカルな作風に特徴があり、「白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけれ」など、人口に膾炙される歌が多い。また旅と自然を愛し『みなかみ紀行』などの随筆をのこした。27年、妻と共に朝鮮揮毫旅行に出発し、約2カ月間にわたって珍島や金剛山などを巡るが、体調を崩し帰国する。28年、日光浴による足の裏の火傷に加え、下痢・発熱を起こして全身衰弱。急性胃腸炎と肝硬変を併発し、自宅で死去。享年43歳。

「2021年 『歩く人 牧水紀行文撰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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