- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003105214
感想・レビュー・書評
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リトバスからきました
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白鳥や哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ
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多作であることにまず驚く。作者の自然に対する憧憬が現れた作品が多く好感が持てた。
しかし、中にはこのような驚きの歌がある。
月の夜や裸形(らぎょう)の女そらに舞ひ地(つち)に影せぬ静けさおもふ -
歌集を出すなら斯くありたいものだ。
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牧水の若い時の歌は知っていたが、壮年期の歌もしみじととして良いことを知った。
「わが屋根に俄かに降れる夜の雨の音のたぬしも寝ざめてをれば」「児等病めば昼はえ喰はず小夜更けてひそかには喰ふこの梨の実を」「人の世にたのしみ多し然れども酒なしにしてなにのたのしみ」「啼きすます小鳥は一羽あたりの木ひかりしづまり小鳥は一羽」「いつしかに涙ながしてをどりたれ命みじかしと泣きて踊りたれ」「居すくみて家内しづけし一銭の銭なくてけふ幾日経にけむ」「鉄瓶を二つ炉に置き心やすしひとつお茶の湯ひとつ燗の湯」「いる椎のはぜて飛びぬればいにしへのわらはべの日の驚きをしつ」「妻が眼を盗みて飲める酒なれば惶て飲み噎せ鼻ゆこぼしつ」 -
『くろ土』が白眉だと思う。初期の作品が知られすぎている。
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Amazon、¥282.
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髪を焼けその眸(まみ)つぶせ斯くてこの胸に泣き来よさらば許さむ
ああ接吻(くちづけ)海そのままに日は行かず鳥翔(ま)ひながら死(う)せ果てよいま
投げやれ投げやれみな一切を投げ出(いだ)せ旅人の身に前後あらすな
浪、浪、浪、沖に居(を)る浪、岸の浪、やよ待てわれも山降りて行かむ
若山牧水 -
こんなにもひとりの歌人に焦がれる日が来るとは。胸が打ち震える。強く、時に寂しく、熱くて美しい歌の数々。きっと私は牧水さんの歌に恋してます。