山月記・李陵 他九篇 (岩波文庫 緑 145-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003114513

感想・レビュー・書評

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  • お馴染みの「山月記」である.数年前に国語教育批判が流行した時に槍玉に上がった山月記である.これを学校で教えることの一体何が悪いのか?これを理解しない輩の声が大きいことが物事を歪めているのではないだろうか?
    前半の漢文調の「李陵」「弟子」「山月記」が素晴らしい.リズムが良いのだな.

  • 日本随一のスピノティストである中島敦が書いた
    作品をいくつか収めた本です。
    やっぱり山月記が傑作なのですが、それしか知らないという御仁もいらっしゃるだろう。
    あんまり知ってない(実は名前は知ってる)山月記以外の作品もいくつか収録されてます。
    既に知ってるよ!という方は是非読みましょう(強要)
    山月記の「何者かになりたかったのだが、努力をせず結局何にもなれなかった」という内容は、ある程度歳を重ねてしまうと誰にでも思うことはあるでしょう。
    例えば大事な試験や面接があったとして前日にお酒をたくさん飲み、その後面接にでも挑んでしまえば、お酒を浴びるように飲んだ過去の自分が悪いから、言い訳ができ、本当は素面でも実力不足のせいで大事な場面でついついしくじるという事実を上書きするかのようにうやむやにできます。
    人の内面を読むのが、過剰なほどうまい作者は本当にすごい。
    ついついお酒を飲んで面接に挑んじゃう人にこの本をおすすめします。

  • 『文字禍』センター試験国語に出たことがある

  • 詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて誌友と交わって切磋琢磨に努めたりしなかった。己の珠(たま)ではないことをおそれるが故に、あえて刻苦して磨こうともせず、己の内なる臆病な自尊心を飼い太らせる結果になった。この尊大な羞恥心が猛獣(虎)だった。▼人生は何事をもなさぬには余りに長いが、何事かをなすためには余りに短い。中島敦『山月記』1942

    彼は殆ど本能的に「自分は自分が思っている程、自分ではないこと」を知っていた。中島敦『光と風と夢』1942

    夜、床に就いてからじっと眼を閉じて、人類が無くなったあとの・無意義な・真黒な・無限の時の流れを想像して、恐ろしさに堪えられず、アッと大きな声を出して跳上った。中島敦『狼疾記』1976

  • 100冊ビブリオバトル@オンライン第19ゲームで紹介された本です。オンライン開催。チャンプ本。
    2020.08.22〜23

  • 短編集で一つひとつをゆっくりと粗食しながら読みたい一冊。李陵の生きざま・心情が深い。とても深い。

    ”ゆっくりと”、というのはやはりちょっと難しい。さらっとは頭に入ってこない。

    図書館から借りていたこともあり、全体の3分の2くらい読んだところであきらめました。

  • 『文字禍』が少し恐ろしい作品です。考えてはいけないことを考えてしまった人の話です。「余計なことは考えずに文字を使いなさい」と、いうことなのかもしれませんね。

  • 虎への変化がすんなり受け入れられる書き口からの、ストレートに響くその哀愁
    なんだこれおもしろい
    普通の高校って国語の授業でやるのか、高校で先生の解釈とか聞きながら読みたかった



    「飢え凍えようとする妻子のことよりも、己の乏しい詩業の方を気にかけているような男だから、こんな獣に身を堕すのだ。」
    社に飼われている私は身をつまされる思いであります

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/700977

  • 又吉さんのYouTubeで紹介されていた本

    人生は何事もなさぬにはあまりにも長いが、 何事かをなすにはあまりにも短い。

    という言葉で有名だが、今の私には李徴が虎になり、人間の部分をしだいに失いかけてはじめて気づく、自身がかつて持っていた過剰な自己意識、根拠のないプライド、虚栄心を悔やむ部分が、我が身に照らしこの歳になって胸が痛む。

    かつての私は李徴そのものではなかったか。虎になりかけていないか。

    短いが、全てに無駄がなく、そして誰もが持っている人間の目を背けたくなる本性が表現されているからこそ、人生の座標軸を確かめるために、繰り返し読まねばならない名著だと思う。

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著者プロフィール

東京都生まれ。1926年、第一高等学校へ入学し、校友会雑誌に「下田の女」他習作を発表。1930年に東京帝国大学国文科に入学。卒業後、横浜高等女学校勤務を経て、南洋庁国語編修書記の職に就き、現地パラオへ赴く。1942年3月に日本へ帰国。その年の『文學界2月号』に「山月記」「文字禍」が掲載。そして、5月号に掲載された「光と風と夢」が芥川賞候補になる。同年、喘息発作が激しくなり、11月入院。12月に逝去。

「2021年 『かめれおん日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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