第七官界彷徨・琉璃玉の耳輪 他四篇 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003119617

作品紹介・あらすじ

五感を越える「感覚」で世界を捉え、哀感とユーモア、エロティシズムをも湛える独特の表現が今なお新しい尾崎翠(一八九六‐一九七一)。奇跡のような作品群から代表作「第七官界彷徨」と緩やかに連なる四篇、没後発見の映画脚本草稿「琉璃玉の耳輪」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 岩波文庫に「第七官界彷徨」!

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    「聴覚や嗅覚などの「感覚」によって世界を捉え、哀感とユーモア、静謐なエロティシズムをも湛える独特の表現世界を築いた尾崎翠(1896-1971)。昭和初期に書かれた奇跡のような作品群から代表作「第七官界彷徨」とその連作「歩行」「こおろぎ嬢」など4篇、没後発見の映画脚本草稿「琉璃玉の耳輪」を収録。(解説=川崎賢子) 」

  • 確実にモダニズムの作家に類すると思うのだが(特に「瑠璃玉の耳輪」)、どの作品もうまく表現できない魅力に満ち溢れている。

  • 当時の風俗を濃厚に反映した作風。特に精神分析の題材が多いです。阪東妻三郎プロダクションの公募に応じて書かれ、選ばれることのなかったシナリオ草稿『瑠璃玉の耳輪』は、カメラでとらえる光景を意識して書かれたことがよくわかる内容と語り口です。

  • 体験したわけではなのに何だか懐かしさを感じる、そんな素敵な物語集です。

  • (「吾輩は猫である」+宮沢賢治+大島弓子)÷3=尾崎翠
    といった趣です。とってもかわいらしく、ユーモアもあり、面白く読ませていただきました。
    愉快で立派なお兄さんが沢山いて、愛されていてうらやましい感じがします。実際にはいろいろと大変なのだろうけど(学費のねん出とか)。我々の世代になるとこんなに沢山兄弟がいること自体少ないですから。

    昔の漫画っていうのは、少年漫画はお姉さんフェチ(『巨人の星』など)、少女マンガはお兄さんフェチだったように思いましたが、子供の数が少なくなるにつれて嗜好も変わっていくんでしょうか。そんなふうに思いました。

  • 第七官界彷徨、歩行、こおろぎ嬢、地下室アントンの一夜、アップルパイの午後、瑠璃玉の耳輪の六篇収録。
    瑠璃玉のみ脚本形式で独立したもの。他は短編の関連作として見るのが良いのかなあ……一瞬、同じ名前の別人かと思ったけどどうやら確かに同じ人物が別の視点とか時間とかから描かれているだけっぽい。
    第七官界彷徨は兄二人と従兄弟の借屋に引っ越してきて、それぞれが何かの勉強をしている家族のなかで自分も人間の第七官(感)に作用する詩を書こうと志す女の子のはなし。謎の分裂心理学とか菌類の恋とか交えつつ、最終的にはいつのまにか失恋しているという謎さ……。
    他の五編の方がまだわかりやすいんだけど、一番スピードがあって面白いのは映画脚本として書かれた瑠璃玉の耳輪かなあ……。昔に生き別れた三姉妹を瑠璃玉の耳輪を頼りに女探偵が探し出すというはなし。簡単なあらすじが最初にかいてあってネタバレした状態で読んだのだが、意外にこれが一番面白かったのであった。

  • タイトルを見て、わたし好みかもしれないと思って読んだ。
    読み始めて思ったのは、つまらないなぁ、と。
    いつ面白くなるんだろうと思いつつ、読むペースは衰えず。
    読み終わって初めて、これもの凄く面白かったんじゃない?と思った。
    つまり、わたし好みだった。

  • なかなか古い文体で読みにくくはある。
    ただ、昔の作品にしてはユーモアが
    あって面白い。

    少し読むのはきついかも。

  • 苔文学として紹介されてたので気になってたけど、ずっと読めてなかった本。これも入院に。
    なんか終始ふわふわしてて、でも乾燥してないというか湿気を帯びてて、話も起伏なく淡々と綴られ、あぁだから花粉というか胞子ぽいのかも。

    何人もの人が少女漫画のようと言っていて、ほんとそんな感じ。昔の少女漫画。
    うつらうつらしながら読んだからというのも手伝って、捉えどころのない、だからと言って全然つまらない訳ではなくて、読みながらあちこちたゆたってしまうような。
    目に見えない重さのないものに浸かっているような、不思議な本。

  • 「よほど遠い過去のこと、秋から冬にかけての短い期間を、私は、変な家庭の一員としてすごした。そしてそのあいだに私はひとつの恋をしたようである。」
    こんな魅力的な文が、作中ずっと続くのです。

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著者プロフィール

1896年鳥取生。女学校時代投稿を始め、故郷で代用教員の後上京。日本女子大在学中「無風帯から」、中退後「第七官界彷徨」等を発表。32年、病のため帰郷し音信を絶つ。のちに再発見されたが執筆を固辞。71年死去

「2013年 『琉璃玉の耳輪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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