オデュッセイア 下(ホメロス) (岩波文庫 赤 102-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003210253

感想・レビュー・書評

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  • オデュッセイア下巻、期待通りにすごくエンタメしてて面白かった。乞食老人の身なりをして我が家に潜伏して、居座って財産を食いつぶしている奴らを息子とともに成敗・皆殺しするまでのハラハラわくわく感、20年越しの妻や父親、召使いたちとの感動の再会の細やかな描写などすごく手が込んでいる。
    自分に群がっていた迷惑な求婚者どもの死体の中で血にまみれて雄々しく立つ旦那様を見たら奥様も心温まる想いをなさるでしょう、と語る乳母とか、減った家畜はまたどこかから略奪してくればいい!と明るく語るオデュッセウスなど当時のなかなかハードな価値観も垣間見えるのだが、それも含めて楽しかった。

  • 名作中の名作。
    読んで良かった。

  • ロシア軍のブチャにおける蛮行のニュースを観た後で、「血湧き肉踊る」クライマックス・シーンを読んだ。
    平時なら、僕だって楽しく読めたのかも知れないが、今読むと悍ましさが鼻を突く。
    どうみても、求婚者達の攻撃に対するオデュッセウスの反撃(復讐)の刃は過剰であり、あまりにも悦びに満ち満ちている。
    やはり、ロジェ・カイヨワが『戦争論』で書いた通り、人間は戦争が好きなのだ。人間とは、ホモ・プグナ(戦う人)なのかも知れない。

    いずれ、遅かれ早かれ、その脳内に埋め込まれた致命的なプログラムゆえに、人間は滅びるだろう。
    同族を殺戮する悦びに打ち震えながら。
    残念ながら、蝶とちがって人間は決して「変態」できないのだから。


    【1人の殺害は犯罪者を生み、100万の殺害は英雄を生む。数が(殺人を)神聖化する。】


    チャップリンの映画『殺人狂時代』の名台詞だが、ホメロスの物語には「英雄」が多過ぎる。

  • 迷い込んだ神の領域から実家に帰るために頑張るオデュッセウス。
    上巻からずっと空想上の地での話だったが、物語後半でようやく実際に存在する地名が出てきて「オデュッセウス、とうとう帰ってきたんだな!」と感慨深くなった。

    なお、ようやく現れた実在の土地はアレクサンドロス大王のお母さんの地元で、なんだかそれも興味深くて面白いなと思った。

  • 2021/5/11

    苦難と安寧を繰り返すオデュッセウスの旅は寄せては返す波のよう。そんな旅を終え、求婚者を皆殺しにし、苦難を乗り切った末に妻ペネロペイアに再開した彼は「これからも苦難は待ち受けている」と語り、決して楽観視することはない。人生とはそういうものだという達観した見方である。また、愉悦に浸る求婚者たちは黒き死の運命に飲み込まれる。刹那的な生き方は良くないという教訓である。

    これは一例だが、西洋人はこういった観点から、本書を道徳書とし、その彼らの精神の淵源としたのではないかと勝手に想像している。

  • 名前は聞いたことがあり、一度は読んでみたかった作品。藤村シシン講座を受けたことも手にとったきっかけ。やはり、登場人物たちは、「古代ギリシアのリアル」で語られていたように、葡萄色の海へと漕ぎ出していた。ストーリーは、トロイア戦争からの帰還後、とらわれていたオデュッセウスが、女神アテネの助けもあり、数々の波乱に見舞われながら、領地イタケへ戻り、留守中に妻に言い寄ってオデュッセウス家の財産をさんざんに蕩尽していた婚約者たちを、策略をめぐらして皆殺しにするまで。最後は、殺されたものたちの遺族が退去して押し寄せ、そこへオデュッセウスが敢然と立ち向かうところで、アテネに「和解せよ!」と止められたところでfin。まるで映画の幕切れのように。翼ある言葉、パンを食って生きる人間、飲食の欲を追い払うといった独特の表現や、混酒器などの道具、作中人物の行動や思想など…当時の文化の一端に触れるのは興味深く。ただ、全能ではない神とはなんなのだろう、と。多神教の神はたくさんいるので、こちらが思い通りに力をふるえば、こちらの思いは通らず、あるいは単なる気まぐれで人間たちはふりまわされ、と。敬愛と畏怖と神のしたことだから…というあきらめ。それが当時暮らす人々の、日々の理不尽にあった際の考えだったのだろうか。今読むとなかなかにまわりくどくて遠回りに思える道筋も、細部を楽しむものとして供されていたのかな。

  • 感想は上巻にまとめました★
    https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4003210247

  • カタルシスの巻。
    物語は、このカタルシスを感じるために読んでいるといっても過言ではない。

    それにしても主人公のオデュッセウスはナチュラルにウソと真実を混ぜた過去を語るので、事情を知っている読者でも混乱してくる。

    ただ肝心の復讐劇では、アテネ任せのゴリ押しだったのがちょっと拍子抜け。アテネの神の力が無かったらほぼ失敗していたのではないか・・・。
    ここはオデュッセウスの智略で意外な勝ち方をしてほしかったなぁと個人的に思った。

  • 前半十二話から成る冒険譚と、後半十二話から成る復讐劇。豪華二本立てといった趣き。
    個人的な好みで云えば、前半の奇々怪々な冒険譚の方を胸熱く読んだが、下巻の復讐劇が無ければオデュッセイアが物語として成り立たないわけである。
    一方で上巻が無ければ単なる復讐劇でしかなく、この二本立て様式の、構成の妙は唸らされる。

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