- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003243220
作品紹介・あらすじ
本書では、初期から最晩年にいたるリルケの詩作の歩みを見渡すことができるように配慮し、『オルフォイスに寄せるソネット』は全篇を収録、後期の詩とフランス語の詩にも多くの紙幅を割いた。
感想・レビュー・書評
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『オルフォイスに寄せるソネット』の全篇を収める。
神の彫琢や、嘆きといったモチーフが目立った『ドゥイノの悲歌』に比すと、『オルフォイス…』は、神をことほぎ、自然と宇宙の神秘を讃えるものも多く、幾分やわらかく、軽やかな印象を受けた。
だけれども、なんとなく捉えがたい感じ、つかめない感じで読み進めた『オルフォイス…』であった…
が最後にガツん!と来た。↓
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・『きみの最も苦しい経験はなに?
飲むことがにがければ、みずから葡萄種と化すがいい。
この量り知れぬ夜闇の中に
きみの五感の交差路に、みずから魔法の力となれ、
五感の奇妙な出会いの意味となれ。』
『オルフォイスに寄せるソネット』より( 第2部29 最終節 )
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語り掛ける共感の感じもしびれる。上の一節、大いに気に入ったのであった。
そうか、そういう感じで読めばいいのか?そう読んでみよう!と頭から再読。
すると楽しくするすると読めるではないか。
そして こんな一節にも気付く。
・『しかし形象を信じることに しばしは喜びを感じよう。それでいいのだ。』( 1部11)
〜なんだか松岡修造の声が聞こえる気がして来た。 そしてこんな一節も ↓
・『きみたちが林檎と呼ぶものを思いきって言ってみないか。』( 1部13 )
この角度で味わうと、
ますます面白く感じてくるのであった。
なんとも 力強く前向きで、全力でほめちぎっているのである。(なにをほめ讃えているのかはいまひとつはっきりしないが…。)
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他に『ドゥイノの悲歌』から2篇。『時禱詩集』『形象詩集』などからのセレクションを所収。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
悲喜交交の日々は、今や麗しく透んで遠く。
一つ一つの言葉が、繊細に、それでいてふくらかに香り立つ。
たった数行で酔わせてくれる、美酒のような詩集。
というか、酒が美味くなる。 -
宗教マシマシすぎたためマイナス
それ以外は最高 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/707134 -
難しかった
でも初めて手にした時から言葉が優しくて綺麗だと思っているきっと訳者さんの力もあると思う
何回でも読み返したい
北斎のことをうたう詩があって面白いと思った
オルフォイスがイザナギイザナミの話に似てることを初めて知った -
姉妹、ピアノの練習、子守歌あたりが好きだった。
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おぉ、大地よ。わたしの、存在は、・・。 -
フォロワーさんの影響で手に取りました。リルケの初期から後期の作品、『オルフォイスに寄せるソネット』全篇収録。美しく紡がれた言葉の数々の根底には苦みばしった哀調が潜んでいて、それがリルケの作品に奥行きを齎しているように感じました。感傷、哀惜、そして生への限りない賛歌。『嘆き』『恋歌』『薔薇の内部』『オルフォイスに寄せるソネット』『おお生よ、生よ……』『ヘルダーリーンに寄す』『手』『かつて人間がけさほど……』『落ちる水、いそぐ水……』『墓碑銘』『わたしは見る……』『おまえはわたしたちの……』がお気に入り。新潮文庫版の詩集も読みたいです。
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オルフォイスに寄せるソネットが素晴らしい。