リルケ詩集 (岩波文庫) (岩波文庫 赤 432-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003243220

作品紹介・あらすじ

本書では、初期から最晩年にいたるリルケの詩作の歩みを見渡すことができるように配慮し、『オルフォイスに寄せるソネット』は全篇を収録、後期の詩とフランス語の詩にも多くの紙幅を割いた。

感想・レビュー・書評

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  • 『オルフォイスに寄せるソネット』の全篇を収める。
     神の彫琢や、嘆きといったモチーフが目立った『ドゥイノの悲歌』に比すと、『オルフォイス…』は、神をことほぎ、自然と宇宙の神秘を讃えるものも多く、幾分やわらかく、軽やかな印象を受けた。

    だけれども、なんとなく捉えがたい感じ、つかめない感じで読み進めた『オルフォイス…』であった…
    が最後にガツん!と来た。↓

    ・『きみの最も苦しい経験はなに?
     飲むことがにがければ、みずから葡萄種と化すがいい。
     この量り知れぬ夜闇の中に
     きみの五感の交差路に、みずから魔法の力となれ、
     五感の奇妙な出会いの意味となれ。』

    『オルフォイスに寄せるソネット』より( 第2部29 最終節 )

    語り掛ける共感の感じもしびれる。上の一節、大いに気に入ったのであった。

    そうか、そういう感じで読めばいいのか?そう読んでみよう!と頭から再読。
    すると楽しくするすると読めるではないか。

    そして こんな一節にも気付く。

    ・『しかし形象を信じることに しばしは喜びを感じよう。それでいいのだ。』( 1部11)
     〜なんだか松岡修造の声が聞こえる気がして来た。 そしてこんな一節も ↓
    ・『きみたちが林檎と呼ぶものを思いきって言ってみないか。』( 1部13 )

    この角度で味わうと、
    ますます面白く感じてくるのであった。

    なんとも 力強く前向きで、全力でほめちぎっているのである。(なにをほめ讃えているのかはいまひとつはっきりしないが…。)


    他に『ドゥイノの悲歌』から2篇。『時禱詩集』『形象詩集』などからのセレクションを所収。

  • 悲喜交交の日々は、今や麗しく透んで遠く。
    一つ一つの言葉が、繊細に、それでいてふくらかに香り立つ。
    たった数行で酔わせてくれる、美酒のような詩集。
    というか、酒が美味くなる。

  • 宗教マシマシすぎたためマイナス
    それ以外は最高

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/707134

  • 難しかった
    でも初めて手にした時から言葉が優しくて綺麗だと思っているきっと訳者さんの力もあると思う
    何回でも読み返したい

    北斎のことをうたう詩があって面白いと思った
    オルフォイスがイザナギイザナミの話に似てることを初めて知った

  • 姉妹、ピアノの練習、子守歌あたりが好きだった。


  •  おぉ、大地よ。わたしの、存在は、・・。

  • フォロワーさんの影響で手に取りました。リルケの初期から後期の作品、『オルフォイスに寄せるソネット』全篇収録。美しく紡がれた言葉の数々の根底には苦みばしった哀調が潜んでいて、それがリルケの作品に奥行きを齎しているように感じました。感傷、哀惜、そして生への限りない賛歌。『嘆き』『恋歌』『薔薇の内部』『オルフォイスに寄せるソネット』『おお生よ、生よ……』『ヘルダーリーンに寄す』『手』『かつて人間がけさほど……』『落ちる水、いそぐ水……』『墓碑銘』『わたしは見る……』『おまえはわたしたちの……』がお気に入り。新潮文庫版の詩集も読みたいです。


  • 私たちはよく悩む、炎が灰になると。
    だが、芸術にあっては、塵が炎になるのだ。
    p.247魔術より

    すみやかな別れより
    わたしたちみずからがすみやかな存在となろう。
    p.265すべてはすぎ去るものならば……より(『果樹園』)

    寂しさを肯定するのは、それだけ存在に対する強い確信が持てた結果である。
    訳者あとがきより


    映画『燃ゆる女の肖像』でオルフォイスに関する話が出てきて、積読状態でしたがぱらぱらと読みました。ギリシャ神話の冥界から出る前に妻をふり返ってしまうというお話。劇中でマリアンヌが、ふり返ったのは夫ではなく、詩人としての行動だったと諭す。ふり返るという行為を『思い出』を慈しむことに擬えていました。

    リルケの詩のそこかしこに見られる『存在』という言葉。在と不在。そこに在る、ということ。本や詩を読まなければ、見ないこと、考えないことでもあり、詩人はそれを静かに観察し言葉にしているのかな、と。
    たとえば、愛はそこに在るのか、という言葉にも、愛は目に見えないにも関わらず存在を問うている。ふたつの孤独が挨拶を交わし合うところに確かに在るのかもしれません。
    映画の話に戻ると、ふり返ることによって『思い出』を選んだと。妻が『振り返って』と言ったのかも、とひんやりするような台詞。では妻をふり返らないという行為は何を選んだことになるのか。それが『愛』かもしれない。
    訳者のあとがきの不定詞に関する考察も読み手への手助けになるかもしれません。特にオルフォイスと後期の詩は忘れた頃にまた読みたいと思いました。

  • オルフォイスに寄せるソネットが素晴らしい。

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