雨夜譚―渋沢栄一自伝 (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1984年11月16日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003317013

作品紹介・あらすじ

激動の幕末維新を背景に、大実業家・渋沢栄一(1840‐1931)が疾風怒涛の青春を語る自伝。尊攘倒幕の志士→徳川家家臣→明治政府官僚と転身を重ねる著者の生き方は鋭い現実主義に貫かれた魅力をもち、維新変革をなしとげたエネルギーが生きいきと伝わってくる。実業家時代を概観した「維新以後における経済界の発達」を併収。

雨夜譚―渋沢栄一自伝 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 再読。渋沢栄一というと「日本資本主義の父」と呼ばれた近代の実業家・・・というイメージが強いですが、何を隠そう(隠してない)元は幕末の志士。昭和6年(1931)まで長生きされていますが生まれは天保11年(1840)幕末の有名人でいうと高杉晋作が天保10年生まれ、久坂玄瑞が天保11年生まれなので同年代。澁澤龍彦とは遠縁にあたるのも有名な話(栄一のお父さんの長兄が龍彦の曽祖父・・・かな?)本書は栄一が還暦を前にした50代の頃に身内の集まりで数回に分けて語った内容を弟子が筆記したもの。

    実家は現在の埼玉県・血洗島村の農家。まあ農家といっても藍玉の買い付けもしていたりして半分商家みたいなところもあったようですが、お父さんが出来た人で子供の頃から勉強させてもらい、ペリーが来て世の中が騒がしくなって数年、22才で一念発起して親を説得、江戸へ出て草莽の志士として活動を開始。そうこうしているうちに知り合った一橋家の用人・平岡に気に入られて一橋家に仕えることに。当時の一橋家当主はまだ将軍後見職時代の慶喜。これがのちに最後の将軍になってしまったため、尊皇攘夷=倒幕しようと活動していたはずの栄一は結果のちのち長く徳川家のために奔走するはめに。

    しかしとりあえず農民から士分に取りたてられ、どこに配属されても持ち前の才覚で上司に信頼されぐんぐん出世、慶喜が将軍になったあとは徳川昭武(慶喜の実弟)のパリ万博→留学の随員として欧州に渡りあれこれやってるうちに日本では幕府がなくなり明治政府ができてしまったので呼び戻されて帰国。戻ってきたら江戸が東京になり幕府が潰れて明治になってたというのは一種の「幕末留学生あるある」(笑)

    帰国後、新政府に請われて大蔵省に出仕。当時の上司は大隈重信と伊藤博文。のちに大久保利通と井上馨に交替するが、栄一は大久保利通とは相性が悪かったようで悉く対立、あと西郷さんや板垣退助などについても、政治はできるが経済のことはわかってないという評。なるほどね、やっぱり元が武士の人たちは経済のことには疎かったのかもしれないですね。半農半商のような家に育った栄一は少年時代のエピソードからも商才があることがわかるし、要は適材適所。

    大蔵省というのは当然日本という国の「財布を握っている」わけですから、いろんな省から「○○買いたいから○円ちょうだい」と言ってくるのを「そんなに出せない、△円でなんとかしろ」等と突っぱねることも多く、結果政府首脳陣との対立は深まるばかり。苦手な上司(大久保)が岩倉使節団で渡欧してしまった後は井上馨(当時はまだ木戸孝允も存命だし井上馨もそれなりに真面目で一生懸命だったんだな)と一緒に頑張ったけれど、結局二人ともブチギレて辞職、自伝はここまで。

    なんというか、有能なのはもちろんのこと、倒幕したくて色々やってたのに結局なりゆきで仕えることになった慶喜や昭武のために幕府がなくなってからも色々世話焼いてあげたりしちゃうところがいいなあ。人情家というよりは生真面目だったのだろうか。実業家だけれど個人の利益ではなくあくまで公益を追求していたところも偉い。「維新以後における経済界の発達」併録。

  •  渋沢栄一の回顧録。渋沢栄一の幼少時代から大蔵省を辞職するまでのさまざまな経験が語られます。(第一国立銀行にはじまる実業界での活躍は含まれません)

     この本で面白いのは、なんといっても人生の大転換です。尊攘倒幕に命を懸けると意気込んでいた青年が、反対に一橋家の家臣となり、幕府の衰亡したあとは大蔵省、そして実業界へとめまぐるしく変転する。それは、時代の流れを糧として自分を作り上げ、多大な功績を遺したと言うこともできるでしょう。
     一人の偉人の人生を通じて、時代の激動ぶりが感じられます。

    もうちょっと中身に踏み込んだメモ:http://dolce-sfogato.hatenablog.com/entry/2016/02/18/185217

  • 1. 概要
    渋沢栄一が講演会で述べた生い立ちをまとめた本。本人談の貴重な内容となっている。

    2. 感想
    論語と算盤を読み、渋沢栄一についてもっとしりたくなったために手に取った本。

    勉強不足から渋沢栄一という人物について知識がなくとても興味をひかれたのだ。

    この本では、渋沢栄一が子供の時からどのような生き方をしてきて、幕末から明治までの激動の時代にどのような人生を送ったかを知ることができる。

    1人の人間としてとても尊敬できる方だ。今まで知らなかったことが恥ずかしい。

    さて、渋沢栄一という人物は、近代日本を語るうえで避けては通れない人物だろう。あらゆる大企業の発足に関係している。

    読みながら感じた渋沢栄一という人物については、質実剛健で実直である反面、納得のできる意見には柔軟に耳を聞き入れるバランス感覚のとても優れた人であるということだ。また、歴史の行く末に対して先見の明を兼ね備えており、それに対する実行力もずば抜けている。マネジメントする上では、しがらみなどは無視して適材適所を貫く、自分より優れいている者を登用する見識の広さ。

    内には「剛」と「柔」が共存し、時代や人を見抜く「目」があった人物ということがひしひしと伝わってきた。

    幕末から明治に生きた人物としてもう少し注目されてもいい人物だ。


    3. 総合評価

    近代日本の発展、その中で活躍した人物の熱い思想や行動力、その時の感情などを知りたい人にはぜひおすすめしたい一冊だ。

  • むかしの言葉でわかりにくい表現が多いけど、本人の文書は響く。何を考え、なぜ行動したのかがよくわかる。

  • これは読み下すって感じだな。

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