コスモスとアンチコスモス: 東洋哲学のために (岩波文庫 青 185-5)
- 岩波書店 (2019年5月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003318553
作品紹介・あらすじ
東洋思想の諸伝統に共通する根源的思惟の元型を探り,東洋哲学の可能性を探求する.イスラーム,禅仏教,老荘思想,華厳経を時間論,存在論,意識論として読み解く.末尾に司馬遼太郎との生前最後の対談を併載(解説=河合俊雄).
感想・レビュー・書評
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イスマイル派の思想的展開など読んでるときはエキサイティングなんだけど、やっぱり本を閉じるとわからなくなる。
一つだけメモ。
暗殺派の頭領が若者をハシシュ中毒にしてテロリストに仕立て上げるという例の話は、19世紀のオーストリアの東洋学者ハンマー=プルクスタルが、アラビアの歴史小説『イマーム・ハーキム伝』を信じて『暗殺団史』を書き、それが大変ポピュラーになったからだという。(p315)
なんだか残念。暗殺派の話をはじめて読んだのはなんだったけ。ボルヘスだったかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
暗殺教団、むちゃくちゃやん。イスラム教徒なのにコーラン否定して、穏健派のスンニ派を攻撃して、メッカを襲撃するてどういうこと。神をイマームと同化したことで別ルールが生まれたのかな、とおもったけど教団指導者がついにイマーム名のってる…。もはや何でもあり。
暗殺教団はイスラム教のなかでもシーア派にあたり、シーア派のなかでもイスマイル派にあたり、イスマイル派のなかでもニザール派にあたる。ここまで傍流だとイスラムとは別宗教にも見える。そもそも初期キリスト教はユダヤ教の変種だったわけで、イスラムの神とも区別はないわけで、宗教の差異とは神へのアクセス方法の違いにすぎないのだろう。
神話と教義の出どころの順番について、井筒先生は暗殺教団においては逆だったという。想像するにムハンマドの神秘体験があり、次いでコーランがあり、そしてイスラム法があるという順番は妥当である。もしこれが反対の順序をたどったら…それこそ新たな世界秩序の創造と既存の秩序への挑戦である。暗殺教団の行動原理の一端をかいま見た。 -
p26 東洋的哲人の場合、〜一度外した枠をまたはめ直して見る〜