南極越冬記 (岩波新書)

  • 岩波書店 (1958年7月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (269ページ) / ISBN・EAN: 9784004151029

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

南極での過酷な越冬を記録した日記風の書物は、技術者としての創意工夫とリーダーシップの真髄が描かれています。著者は第一次南極越冬隊の隊長として、困難に直面しながらも隊員たちを励まし、共に乗り越える姿が印...

感想・レビュー・書評

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  • 第一次南極越冬隊の西堀栄三郎の南極での日記風の書物である。
    技術者の視点で、創意工夫で問題をクリアしていく。

    1968年一刷
    2004年にアンコール復刊されたものを、メルカリで見つけて思わず購入。

    自分にとっては、心に残る一冊、励みになる一冊となった。

  • 第一次南極越冬隊隊長の西堀栄三郎氏の越冬記。
    日記からおこしているので変な脚色が入らず、事実を追うことができるとともに、素直な西堀の考え方とその変遷がみえて面白い。

    いま読んでも下手な冒険小説よりワクワクする冒険記であった。
    なにより資材も道具も不足する中で創意工夫で乗り切って行く様はイノベーションの集まりである。
    また、過酷な環境でも地道に研究を続けて行く隊員や基地の中でのリアルな人間模様が見える。

    あと、南極2号らしきべんてん様と呼ばれる人形のくだりもありまさに生の冒険記である。

  • 「ものづくり道」、「石橋を叩いても渡れない」で著者の優れたリーダーシップ論にふれ、第1次南極越冬隊の隊長としての姿に興味を持ち読む。隊員たちのやる気を削がないように気を配りながら、言いたいことを我慢したり、言い過ぎたことを反省する様子がわかる。日々自分自身と葛藤しながら、優れたリーダーシップを維持されていたことが意外だったが、却って勇気づけられた。

  • 1957年2月から1958年2月までの1年間の南極での生活記録(日本隊による初めての越冬体験の物語)という事ですが、68年後の今(2026年2月に)、読んでも新鮮な驚きが多くある本です。改めて知る、南極越冬隊の物語であります。越冬隊の最終段階で、砕氷能力が低い宗谷(当時の支援船)での南極大陸接近には限界があり、翌年の第二次越冬隊が昭和基地に着任できない展開となり、結果的に昭和基地(オングル島)に樺太犬数匹が置き去りとなった事情も良く判る本です。☆四つです。

  • 第一次南極観測隊隊長の付けた記録。
    昭和基地の始まりの記録。
    様々な苦労と努力があだだことが綴られている。
    著者は文章が苦手だと述べているが平易な文章でどのような生活と研究を行ったかが記されていて面白い。
    隊員たちの観察も面白い。一年を共に過ごしただけあって細かく観察されていて想像もしやすく、映画を見ているようだった。
    第二次越冬隊の段取りは全くうまくいっていなかったようで著者の苛立ちとやるせなさが伝わってくる。見通しの立つ人物はいなかったのだろうか。
    可哀想な犬たち。熱意をかけて作り上げた昭和基地と研究の礎も放置されることになる。なんともやる瀬ない。
    これが高倉健の南極物語に繋がるのか。
    南極に行きたくなった。

  • 日本で初めて南極に基地を構えて越冬した時の、日誌風の記録。何もかも初めてで経験がないし、現在よりも知識も技術力も物資もない状況で、そもそも日常を送ること自体が冒険なのに、探査・調査にも出かけていく。当然いろんな問題が起きて、なんとか在りもので解決していくのだが、その受け止め方や解決方法が興味深い。著者の技術者としての観点・考え方がわかって面白い。『悲しき熱帯』みたいな思想書とも言えそうな隠れた名著。ぱっと開いたところを読んでも面白い。最後のぶちまけを読んで、日本の変わってなさに情けなくなる。

  • 2011年10月25日読み始め 2011年10月29日読了
    ドラマ「南極大陸」の放送を受けて、岩波書店のツイッターで紹介されていたのをきっかけで読みました。最近復刊されたそうです。
    著者は第一次南極観測隊隊長であった西堀栄三郎。越冬隊として1年間南極に滞在した時の日記にあとから追加したのが本書です。
    日記なので、本音に近いつぶやきのような文章で面白いです。はっきりとは書いていませんが、隊員たちの悩みや集団でのぶつかり合いがうかがえます。
    1950年代の世相も反映されています。「最近売れている「鍵」という本を読んだがまったくくだらない」と書いてますが、これは谷崎潤一郎の「鍵」なのでしょうか。笑ってしまいました。

  • 1957年2月~1958年2月までの南極第一次越冬隊の話。
    越冬隊隊長による、自身の日誌やメモなどをまとめて作った本です。

    この西堀栄三郎という人は、年配の人ならば知っている人が多いと思いますが、
    今西錦司、桑原武夫、梅棹忠夫といった人と交流のある、
    当時の日本の知の世界の中心にいた人のようですね。
    彼ら、みんな、冒険野郎の一面を持っています。特に登山。

    戦後の貧しい時期ですが、国際地球観測年という世界的なプロジェクトに
    日本は参加することになったようです。ちょっと調べてみると、
    国民から義捐金を募ったりしていたことがわかります。
    なので、越冬隊の責任者でありこの本の著者である西堀さんは、
    国民の期待を背負っているんだから、それを自覚してしっかりした成果をあげたい、と
    堅くて真っ直ぐな決意を抱き、それをずっと最後まで持ち続けます。
    しかし、隊員たちの多くは夜になると麻雀にあけくれて、西堀さんは何度とため息をもらします。
    西堀さんの気持ちはわからないでもないけれど、読んでいるとちょっと、というかけっこう
    堅い考えだなと思わせられるところがあります。映画は見るにしても、小説の類は好きではないし、
    マージャンを嫌悪し、パチンコなどの勝負事にも興味がなく、
    自ら「娯楽に興味がない」と言っています。
    これで西堀さんが自分の価値観以外認めなかったり、
    強引な布教のように、他の隊員に考え方を押し広めようと
    していたならば、越冬隊はバラバラもいいところの、
    人の集まりとしては最悪なことになっていたことでしょう。
    西堀さんは、自分のわからない部分でも、それを認めるというか、尊重しますね。
    そういうところは、読んでいて、自分も見習おうと思いました。

    越冬記ですから、簡単にいえば日記です。
    何月何日何をしたという記述などから、各隊員の性格や役割がスナップ写真のように、
    多くは彼らの一面や一瞬を切りぬいたような形で書かれています。
    そういうのは読み手の想像力を喚起するものです。
    犬係の菊池隊員はほんとうに犬想いなんだなぁ、だとか、
    コックの砂田隊員の苦心、プロ根性が垣間見えたり、
    よく名前が出てきて、トリックスターめいた隊員がいたり、
    なかなかに面白く構成されたメンバーであることが読めてきますし、
    そこは著者の西堀さんの目によって見透かされ色づけされた隊員の描写ですから、
    著者が良い目をしているということなのでしょう。

    本当は厳しいのだろうけれど、この本を読んでいるぶんには、
    ゆるそうな生活を思い浮かべてしまう。
    アホなこともしてますし、失敗もしている。
    もう少し気をつかえばいいのに、と思わせられるところもありますが、
    そういうところこそ、古い時代なのでしょうね、
    気を使いません。
    たとえば、火災が出るのですが、それでも、火災の原因になりうるような
    タバコはやめられんとか書いてあります。
    大体、この西堀さんは、南極に来る前に火災こそが一番怖いと委員会かなにかで
    喋っていたそうなんですね。だったら、禁煙を条件にいれればいいじゃないかって、
    今だったら言うでしょう?そこが、違うところですよね。
    逆に、そういうところに代表されるように、ゆるい部分がけっこうあるのです。
    だから、こういう過酷な条件下での生活にも隊員たちは気持ちに余裕を持って
    臨むことができたのではないかなぁと思います。

    この時代の彼らと、今の時代の僕らを、「おにぎり」に喩えてみましょう。
    彼らがおにぎりだったならば、米も具も品質は粗末かもしれない、
    でも、握られかたが絶妙なのです。ゆるくてボロボロ崩れてしまうことも無く、
    押し寿司みたいなのでもなく、適度に空気も一緒に握られている、そういうおにぎりだと思う。
    対して、僕らがおにぎりだったならば、高級な米と具を使って握るのですが、
    どういうわけか力が入りすぎて、押し寿司みたいなぐちゃっと握って
    隙間の無いおにぎりだったりしないでしょうか。
    まぁ、極端な話ですけれど。

    それと、アメリカの南極観測隊が1937,8年頃だったか40年だったかに使った
    「スノー・クルーザー」の話が書かれているのですが、これが可笑しいです。
    WEBで調べてもSFのしか出てこないので(英語のページは出てきますが)、
    この本を読んでみてください。アメリカ人らしいと言ったら失礼かもしれないけれど、
    ビッグなことを考えるのは素晴らしいにしても、ちょっと地に足がついていない失敗が
    ほほえましいです。いや、その…、僕は「アホだ」と思って笑ったけども。
    やっぱなんていうか、アメリカ人は、押せ押せのパワー偏重傾向の思考があります。

    南極の一年はさぞや何もないことだろうと想像してしまうものですが、
    人間が11人も暮していればドラマが生まれるものでしょう。
    「旅行」と呼ばれる観測探検だとかがたびたびおこなわれますし、
    トラブルやブリザードに見舞われる中でのそれへの対処ややりすごす様子、
    心理は面白いです。
    人々の営みっていうもの自体が面白いんですよ、きっと。
    マージャンが流行っていても、せっせと生活しているさま、そして、
    その構成単位が11人というコンパクトさが、この越冬記に対して
    親近感を持って読ませる要素になっているでしょう。

    80年代の初めごろにヒットした映画『南極物語』は、この第一次越冬隊のために働いた
    タローとジローのお話です。かれらの名前はちょこっと出てきます。

    戦後復興まもない時期に、外国と共同のプロジェクトとして南極観測をやったことは、
    当時、国民の興味と期待の的だったようです。
    だから、『南極物語』もヒットしたのでしょうね。
    すごくローカルチックなというか、マイノリティであるはずのものが、
    国民に共有されていたような感じがします。
    まだまだ国内の意識が多様化されていなかったからかもしれない。
    多様化された中での話題の優先順位というものこそ、
    客観的であって、そこでの順位の高いものにはうっすらとした深層心理的なものが反映されていたり、
    小さな公約数的なものが反映されていたりする度合いが強いと個人的に思うのです。
    しかし、この第一次越冬隊の時期の日本は、みながとても主観的だったという見え方もしますし、
    きっと話題のスケールがかつてなかったほどのものであり、そのために、
    南極をみなが顕微鏡で覗いて見ているくらいに、些細なことでも大きな情報として感じたのかもしれない。
    情報が少ない時期の国民は主観的になり、情報があふれんばかりの時期の国民は客観的になる…、
    これは一つの仮説ですかね。

    …、とここらへん、書きながら考えると、思考の改変が改行ごとに浮き彫りになります…。

    えーと、あえてこの極寒の季節にこの『南極越冬記』を読んでみたのでした。
    イメージしやすいでしょう、寒さが。だからこそ感情移入しやすいでしょう、彼らに。
    本の帯に書いてありますが、「アンコール復刊」した本だそうです。
    さすが、それだけのことはあって面白いので、時間のある方は是非手にとってみてください。

  • [ 内容 ]
    氷雪と烈風の南極大陸に、日本人として最初の越冬事業をなしとげた西堀越冬隊長の日記。
    生命をおびやかす厳しい自然のうちに生活した人間の三六五の日々が、ありのままに切実に再現されている。
    読者は、ここに生々しい形で南極観測の意義と方法を知るとともに、一人の実践的な科学者の知性と勇気にふれて心に励ましを受けとるだろう。

    [ 目次 ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
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    [ 参考となる書評 ]

  • 20110303 がんこオヤジのつぶやき。

  • <a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4004151023?ie=UTF8&tag=c0e88-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4004151023">西堀栄三郎氏が南極越冬隊長として初めて南極の地を訪れた時の日誌。過酷な南極の環境下で、ものがなくても工夫して代用品を創る創意工夫に満ちた生活など、日本初の南極観測隊のことを描いた作品。同氏の著作は大好きなのだが、この作品は無理からぬことであるけれど、やたら「ブリザード」の記述が多い印象がある。</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=c0e88-22&l=as2&o=9&a=4004151023" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />

  •  
    ── 西堀 栄三郎《南極越冬記 19580731-20020612 岩波新書》20090722 復刊
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4004151023
     
     西堀 栄三郎 化学 19030128 京都 19890413 86 /京大教授〜作詞《雪山讃歌》
    /1954^1958‥‥ 同志社栄光館で講演/南極一号考案?“探検のカリスマ”
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19880410 京都岳派 ~ 美女と野獣たち ~
     
     村越 望   気象 19260713 東京 20141013 88 /1956 南極地域観測隊隊員
    /東京大学山岳部所属。大蔵省職員/19570713 Sat(中野・村越の誕生日)
     
     野外の哲学者 ~ 手指腕は第二の脳である ~
    http://d.hatena.ne.jp/aedlib/20090911
     南極日記・草稿 Mail20090909 to Naoyuki,
     
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20120804
     氷と水と風 ~ 手ぶらで帰らない人々 ~
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/401064169X
    ── 朝比奈 菊雄・編《南極新聞 上 19820625 旺文社文庫》
     
    (20090907)(20141101)
     
     ◇
     
     村越 望 気象 19260713 東京 20141013 88 /1956 南極地域観測隊隊員
     野外の哲学者 ~ 手指腕は第二の脳である ~
    http://d.hatena.ne.jp/aedlib/20090911
     南極日記・草稿 Mail20090909 to Naoyuki,
     
    https://twitter.com/awalibrary/status/528475191496945664
     

  • 大いなるバカ、男のロマン。
    「へんくつじじい」と「無邪気な子供心」は表裏一体な気がした。
    そんな初代南極越冬隊隊長の日記。

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