災害救援 (岩波新書 新赤版 401)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004304012

作品紹介・あらすじ

災害に遭った人々を救援する-その本質を日本社会は理解せず、「物」の回復を最優先する陰で、多くの価値を見失ってきた。ようやく注目を浴びた「心のケア」も、言葉だけがひとり歩きしている。奥尻のルポ『災害救援の文化を創る』(岩波ブックレット)に加筆した第一部、阪神大震災を多角的に分析する第二部により、新しい救援の文化を考える。

感想・レビュー・書評

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  • (2001.05.08読了)(1997.07.05購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    災害に遭った人々を救援する―その本質を日本社会は理解せず、「物」の回復を最優先する陰で、多くの価値を見失ってきた。ようやく注目を浴びた「心のケア」も、言葉だけがひとり歩きしている。奥尻のルポ『災害救援の文化を創る』(岩波ブックレット)に加筆した第一部、阪神大震災を多角的に分析する第二部により、新しい救援の文化を考える。

  • 東日本大震災と阪神大震災。変わっていないようでいて、進歩もあると考えられる。いずれにせよ、必読。

  • 本当にこれ、16年前に書かれたのか?
    大規模災害における救援の思想。
    特にメディア(テレビ)の報道姿勢についての論に釘づけになる。

    『とりわけ大震災となると、無自覚な彼らの感情と日常の価値感が出てしまう。こうしてテレビによって拾いあげられ限定された事態が、人々の認識を構成し、事態そのものを動かし始める』

    テレビの画面を通して一方的に流し込まれる切り取られ限定された情報の圧倒的な量と反復により、もはや洗脳に近い被災地へのシンクロニシティが生まれた。
    表現出来ない終末感と感情の凍結。

    これがメディアの使命なのか。
    著者は奥尻島、阪神淡路大震災を経て警鐘を鳴らすも、変わっていなかったということか。

    被災地では物質的支援と同時進行で精神的支援も行なわれなければならないとする。
    『マスとしての被災者のなかに個々の人間の顔を見出す努力をしていくべき』
    その思想は週刊ポストで北野武が書いていた文章と同じく、当たり前だけど忘れられがちなこと。
    「2万人が死んだ1件の事件でなく、1人が死んだ2万件の事件なんだ」

    テレビを観ていると、視線がマスのままなのだ。

    『たしかに地震は自然が起こすものではあるが、大地が揺れ、建物が壊れたその瞬間から人間の新しい反応が始まっている』

    被災地の人の気持ちになってみる、具体的な支援の思想が少しは理解できた気がする。

  • 2011/03/22 TSUTAYA 105円コーナーで原発本と並べて目立つ陳列、ナイスTSUTAYA<br />その日のうちに、今回の救援もまた悪しき前例の繰り返しだと感じつつ、一気に読みました

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著者プロフィール

1944年生まれ。長浜赤十字病院精神科部長などを経て、現在、関西学院大学教授。専攻は比較文化精神医学。1999年2月の広島県立世羅高校・石川敏浩校長の自殺についての検証をきっかけに、君が代強制に苦しむ教師たちの精神医学にかかわる。著書に、『虜囚の記憶』(みすず書房)、『子どもが見ている背中』(岩波書店)、『させられる教育』(同)、『戦争と罪責』(同)、『喪の途上にて』(同、講談社ノンフィクション賞)『コンピュータ新人類の研究』(文藝春秋、大宅壮一ノンフィクション賞)など多数。

「2009年 『教師は二度、教師になる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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