芸人 (岩波新書 新赤版 528)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004305286

作品紹介・あらすじ

「人間である前に芸人であってほしい!」「客がよくなきゃ芸人は育ちません。芸人が育つような客が少なくなりました」-語録と対談・講演録を読み進むうちに、思わず笑い、ハッとさせられ、生きることの面白さを実感する。著者いわく、「僕は芸人という言葉に憧れと尊敬の念をいだいています。」ご存じ六輔ワールド、いよいよ快調。

感想・レビュー・書評

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  • 名著。古典と言ってもいいかも。

    <blockquote>「芸」は草木、つまり植物だが、「藝」は習って身につける技のことを指す。</blockquote>

    <blockquote>「芸能人はヤクザとつきあっちゃいけないというけど・・・・ ヤクザの芸能人はどうすりゃいいんだ」</blockquote>

    <blockquote>「芸術家っていうのはね、芸術と結婚した人のことをいうのよ。芸術家の女房とか亭主とか言ってもらいたくないわネ。そういうの芸術家の愛人なのよ。」</blockquote>

    <blockquote>「テレビ観ていると、番組も出演者もゴミというのが多いですよ。テレビはゴミ捨て場です。ゴミ捨て場ですから、もったいないものも捨ててあります。」</blockquote>

    河原者ということばがある。耕すことも魚を取ることもできない河原で生きていくために、身体を売る、男を売る、顔(暴力)を売る、藝を売る。
    歴史の事実として、マスコミ以前の芸能の「送り手」は興行師という名の侠客だったこと、そして彼らは藝人と藝を愛し育てたことは覚えておいたほうがいい。


    「君が代」というのは中国から来た音楽を朝鮮半島風にうたうとピッタリ合う。中国の音楽というのは千年前にやってきた雅楽のことを差し、朝鮮半島風にうたうというのは母音を伸ばす歌い方(パンソリ)の事を指す。永六輔いわく「この説は右翼にも左翼に設けが悪い」そうです。

  • 35732

  • 作りが適当すぎるでしょ、これ。なんとか売ろうと思って寄せ集めてきた感がはんぱではない。

  • 永六輔さん。初めて知ったのは、やはりラジオだったように思います。
     野沢那智さん、愛川欣也さん・・・と並んで、深夜放送の中での私の思い出の方です。
     本書は、今から20年ほど前の著作ですが、永さんの語り口そのままが嬉しいですね。本書の構成は、かなりの部分は「芸人」やその周辺をテーマにした「語録」の紹介です。
     とはいえ、有名人の言葉ばかりを採録したわけではありません。むしろ永さんは、圧倒的に無名の人々の言葉を数多く選び出しました。
     それらには永さんの考えや価値観が間接的に投影されているともいえます。それは、新しい大きな流れに押し流されゆく人々への救いであり、理不尽な扱いは許さないという市井の人の目線からの怒りでした。そして、最期までそういう立ち位置を崩さない方でした。

  • 古本屋で出会ったサイン入り本〜(全てサイン入りなのかな?)国民総芸人。誰も彼もが誰かを演じて疲れている。そんな世界になってきていると。マスコミに入りたいとおもってる人はよむべき!私はやっぱりハレ女でありたい。

  • 芸人 (芸能人・役者・俳優・芸術家 など) と、その周辺の人物の語録。
    一部は発言者の表記はあるが、ほぼ無記名にて紹介。
    芸やスポーツやテレビや歌などから、多くの語録が挙げられている。

    「俳優とかアーティストと言ったって、早い話が日雇い芸人です。」

    芸に携わる者には、身につまされる語録もある。
    自分の仕事や趣味や稽古ごとに置き換えても楽しめる一冊です。

    巻末には、意外と骨太な三波春夫さんとの対談も集録。

  • 07098
    04/22

  • 第1刷が97年なので、10年くらい前のアムロ・小室全盛時代に書かれたものなので今(08年)読むとちょっと古いような、けど殆ど変わっていないような。

    各テーマに合わせて、誰のものかは分からないけどその本質を突いているのではないかと思わされる人の言葉集。
    そして、そこに永氏のコメントが付くという形式。
    だけど、全体に流れがあって読み飽きない。

    ”芸”   ―基本的に大衆には出来ないことが出来て、大衆の耳目を集められる技のことを言うのかなぁ。そして、芸を持つものは大衆とは異なる者だけに淋しさ哀しさと切っても切れない関係にあると。
    ”テレビ” ―最近、頓にテレビて虚構のメディアだなあと思うけれどもよくよく考えるとテレビがジャーナリズムだったことなど無いのかもしれない。
    ”スポーツ”―確かに、何がスポーツで何がエンターテインメントなのか。スポーツの定義は曖昧だ。
    ”光と影” ―光が強いほど影は濃くなる。最近は影が薄くなってるのは光が弱いから?
    ”歌”   ―仰げば尊しとか、蛍の光が卒業式で歌われなくなることに淋しさを感じるのは懐古主義だろうか。
    ”芸人”  ―果たして本当の芸人とは何なのか。三波ハレ(春)男さんはすごいんだなと、今更ながらに知った。


    いい意味でも悪い意味でも娯楽が散乱している世の中なのだろうなぁ。豊かになったものだ。
    昔の意味での芸人というものが絶滅危惧種となることはなんとなく淋しく思えたりしてしまうけど、果たして残していく必要があるのかは疑問だし、時代の流れとはそういうものなのかもしれない。

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    ▼ 100文字感想 ▼ 
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    人はだれでも人生という舞台に生きる芸人である。TV、
    映画、プロ野球、サッカー、大相撲、プロレス、ヤクザ、
    歌、三波春夫など芸に生きる真髄を教えてくれる。古事
    記の海彦・山彦にはじまった芸人の歴史が興味深い。


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    ▼ 5つの共感ポイント ▼ 
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    ■芸とは恥をかくことです

    ■近ごろ、<序破急>という日本芸能のリズムが、
     すっかり、<起承転結>になってしまった

    ■日本人は『楽しむ』ということができない。ガンバレで
     致命傷を負う

    ■シナリオとか脚本は、作品だと思っちゃだめ。設計図
     なんです。その設計図をもとに作品をつくるんです

    ■阿弥陀さまのお顔をどの角度から見ても、こちらを
     見て微笑んでいらっしゃる。舞台に立つものは、この
     顔を学ばなければならないと思いました(三波春夫)

  • 永六輔さんの本は一冊くらい初期のころのを古本屋さんで購入、その本が思い出せない。この本は、わが愛する『笠木透』さんの記述がありますので、気になる本として紹介しておきます。ラジオでも永六輔さんが、笠木透さんの事を紹介されたそうですね。岐阜県からフォークソングを歌い続けている人です。

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著者プロフィール

1933年、東京都に生まれる。早稲田大学文学部中退。中学生の頃からNHKラジオに脚本の投稿を始め、大学在学中から放送の世界にかかわる。以降、テレビやラジオ番組の放送作家、作詞家、語り手、歌手などの幅広い方面で活躍中。TBSラジオ「誰かとどこかで」「土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界」は共に長寿番組として知られる。作詞家として世に送りだした曲には、「上を向いて歩こう」「黒い花びら」「こんにちは赤ちゃん」などの昭和を代表する名曲が多い。著書にはミリオンセラーの『大往生』(岩波新書)をはじめ、『生き方、六輔の。』(飛鳥新社)、『職人』『芸人』『伝言』(以上、岩波新書)、『あの世の妻へのラブレター』(中公文庫)などがある。

「2012年 『上を向いて歩こう 年をとると面白い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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