似顔絵 カラー版 (岩波新書 新赤版 675)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004306757

作品紹介・あらすじ

「似顔絵はそっくり絵ではない。相手に近寄るのではなく、自分の手元に引き寄せて手玉にとるのだ」-つまりは絵画による人物論だとする著者が、存分に現代似顔絵論を展開する。権威を笑いのめす反骨精神に満ちた著者の作品群と、自らが主宰する「似顔絵塾」の塾生のシャープで多彩な造形の数々。いま、似顔絵文化はここまで来た。

感想・レビュー・書評

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  • 前半は著者の似顔絵との出会いとか
    中盤は似顔絵論、cg黎明期の著者のCG感が見えて面白いね
    後半は2000年代テレビ論、コンプライアンスやら資金不足とかで状況は変わったけどら現在にも残るテレビ文化の功罪とかは興味深い。

    こうはんの方で最近の人の顔は均一化されている、それは苦労していないからではと読み取れる趣旨の主張がなされていたが、これにはあまり賛同できない。ただ国民の多数の食事状況とスキンケアとルッキズムがら広まった性ではないかと私は思った。

    この本は画集としても十分良い。多様なスタイルの似顔絵があり、(年齢的に存じ上げない人物のものもあったが)表現の多様性が垣間見れて面白い。

  • <目次>
    序章   写楽が大先輩
    第1章  わたしの戯画街道
    第2章  キメツケという批評
    第3章  テレビ時代の笑い
    第4章  諷刺の精神

    <内容>
    山藤章二さんの本は、読んでいそうで読んでなかったのかな?多分発売当時に読んでいたはずだけど、今読んでも新鮮。休刊(廃刊?)になる「週刊朝日」連載の似顔絵塾など、懐かしい作品も交えながら読ませてもらった。江戸時代の浮世絵師とつながるという部分に共感。

  • 昔は、小屋と言うもので、それを分けしていたわけ。素人は入らないでいい、芸がわかるものだけが入ればいい。そういう限定された空間で成立していたものが、茶の間が舞台になったから、もう裸の王様です
    考えてみれば、テレビの芸とは下品な芸です。もう常にギャグ、揚げ足取り、切り返し、突っ込み、そういう小わざいっぱい持っていて、一瞬のチャンスを逃さずにバーンとカメラを横取りしようとしているわけでしょう

  • 著者の来歴や、『週刊朝日』連載の「似顔絵塾」に投稿された作品などをとりあげながら、「似顔絵は批評である」という理念が語られています。

    カラーの挿絵がたくさんあって、眺めているだけでも楽しく読むことのできる本です。

  • 山藤さん、多芸で、絵のみならず、文才で、諧謔も一流。
    しっかり楽しませてもらいました。
    世の中には才能ある似顔絵師もたくさんおられて、「世間」の底知れぬ層の厚さにただただ驚かされました。

    〈本から〉
    「似顔絵は〈そっくり絵〉ではない。相手に近寄るのではなく、自分の手元に引き寄せて手玉にとるのだ」



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    【要約】


    【ノート】
    ・新書がベスト

  • 一昔前の人が多くて、いまいちピンとこない人が結構いたけど、概ね楽しめる似顔絵のオンパレードだった。お笑いとかモノマネとか、そういうエンターテインメントと絡めて説明されているところとか面白かったす。

  • 山藤さんの哲学がよくわかった。
    似顔絵もとても面白かった。

  • 似顔絵は批評である、
    という著者の主張はとてもよくわかる。

    肖像画が対象の人物の権威を高めるのに対し、
    似顔絵は人物をデフォルメ・カリカチュアライズして、
    内面や時代性を表現するものである。

    シュールレアリストの肖像画は、
    なんとなく似顔絵チックだと思うけれど、
    そのあたりには言及していないので残念。

    また、
    似顔絵の嚆矢として写楽をあげている。

    当時、
    写楽のデフォルメやカリカチュアは認められず、
    一年足らずで消えてしまった。

    しかし、
    現代では価値観が多様になったため、
    多くの人に認められるようになった、
    という流れがある。

    その価値観の多様化に大きく寄与したものはテレビである。

    テレビは情報の量と質をテレビは変え、
    モデルを「見上げるもの」から「面白がるもの」へと変えた。

    不条理漫画や模写ではないモノマネも、
    そういった影響によって出てきたようだ。

    たくさんの似顔絵がカラーで見られるので、
    それだけでも愉しい。

  •  似顔絵というくらいなので、似ている方がいいのかと思ったら、そうでもないみたいです。筆者の考える「似顔絵論」が展開されています。

     なるほどと思ったのは、後半の「テレビ時代の笑い」という章。
     最初はタモリさんの話。声の質を似せる芸から、思想回路を真似た芸に変わったと分析する。そして、テレビは人間性丸見えのメディアであり、しろうと文化の源であり、しゃべっている人だけが映る即物的なメディアと続き、現代は、社会的権威喪失の時代だと。

     似顔絵の精神は川柳の精神に通じるそうです。つまりパロディ。
     ところが、権威が喪失してしまうとパロディが成立しにくくなる。昔は権威のある政治家がよく似顔絵になったけれど、この頃の政治家は…。しかも、現代は味のある顔が減ってきているという面白い分析。それは、野菜が露地栽培からハウス栽培に変わったのに似ているそうです。

     カラー版を生かして筆者の似顔絵も多数紹介されていますが、筆者が週刊朝日誌上で始めた似顔絵塾の塾生たちの作品も多数紹介されています。中には、抽象画のような似顔絵もあって、似顔絵も奥が深いです。文章を読まなくても、似顔絵を眺めているだけでも、十分楽しめる一冊です。

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著者プロフィール

山藤章二(やまふじ・しょうじ)1937年東京生まれ。風刺漫画家、イラストレーター。

「2015年 『戦後70年 わたしの戦争体験』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山藤章二の作品

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