読書力 (岩波新書 新赤版 801)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004308010

感想・レビュー・書評

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  • 本書は再読だが、今回も新鮮な感覚で読むことができた。
    斎藤孝氏の本は、非常に啓発的で勢いを感じながら読めるが、特に「読書」にからむ内容となると、氏の熱さは最高潮に達する。

    まえがきでいきなり、本は「当然よむべき」ものから「別に読まなくてもいい」ものへと変化してしまったと述べ、その変化を受け入れることに、「全く反対だ」と言い切り、「読書はしてもしなくてもいいものではなく、ぜひとも習慣化すべき『技』だと頑固に考えている」と強烈なメッセージでスタートする。

    始めから終わりまで100%、著者の「読書」に対する熱い思いが詰まっている。読書の必要性、読書の効用、読書の楽しみ方、著者オリジナルの「技」も紹介しながら、「読書」の魅力を語りきっている。

    本書のタイトルは「読書力」。斎藤氏の本には、「〇〇力」というタイトルの本が多数ある。「読書力」とは何者か。

    著者は、この力をひとつの目安で表現している。
    「文庫本100冊、新書を50冊読み切る」ことができれば、ある程度「読書力」があると言えると。これくらい読めば、読書が自身の中に定着してくるのだと。

    巻末には、著者が奨める「文庫本100選」が掲載されている。著者のオススメだからこそ読んでみたいものが多数ある。

    また、本書自体、新書50冊のうちの1冊として非常に有効な一冊であると思う。

  • 好きな作品を紹介したくてもうまく話せないことに気付きました。
    語彙力の無さ。理解力の乏しさ。
    読書力と精神を鍛えるため、いろんなジャンルに挑戦してみようと思います。

  • 読書とは趣味でなく、義務である。
    してもしなくてもいいものではなく、しなければならないもの。
    そして、読書できるようになるためには、スポーツと同じく、練習が必要だ。
    読書を通じて自分をつくり、鍛え、そして広げること。かつての日本ではその手段としての読書は当たり前だった。その具体的な手段と、ものの見方を、この本から学ぶことができる。

    本は好きなのだけれど、最近めっきり集中力が落ちで、読まなくなってしまっていた。
    なにより、「読書したと言いたいがための読書」に成り下がっている感覚もあって、読むこと自体が空疎だと感じ、ならば意味がないのだからやめておこう、と避けるようになっていた。
    読書とは、本来そんな甘いものでもなければ、避けていいものでもないのである。
    「単なる娯楽のための読書ではなく」、「多少とも精神の緊張を伴う読書」(まえがき_ii)。
    これをテーマに、時間を過ごすためではなく、入り込む読書を、毎日少しずつでも続けるつもりだ。

    以下、個人的に印象的だった文を残しておきます。

    p.18
    本を読んだというのは、まず「要約が言える」ということだ。

    p.59
    自分から積極的に意味を理解しようとする姿勢がなければ、読書にはならない。読書の習慣は、人に対して積極的に向かう構えを培うものだ。

    p.108
    わからなさを溜めておく。
    この「溜める」技自体が、読書で培われるもっとも重要な力なのかもしれない。

  • 読書を「技」として身に付けることの効用を問いた本。

    ではその「技」を身につけた基準とは何か、それは斎藤孝氏が言うところでは、文庫系100冊、新書系50冊を読んだということ。
    読書をすることが当たり前となり、習慣となるからだという。

    このように具体的に示されると、読書に対して、目標ができ、熱をおびるから不思議だ。本好きを自負していても、自己が成長でき価値観も養われているか?という風に聞かれると”全然”な自分に気づく人は多いと思う。

    好きな作家だけ読むとか、純文学を避けて通るとか、また文学作品は堅苦しいだとか、文語体が入っていれば読まないと言う風な読書。
    そして現在は映画化されたものを観て視覚のみで満足する。ひどい場合は漫画しか読まない。ゲーム感覚の本のみ読む。そんな人も多いと思う。

    生きていく事の知識というのは大抵、先人により古今東西に小説、新書という形で残っているのだ。それを読まないという手はない。ハウツー本を読めというのでは無く、日本文学、ドイツ文学、ロシア文学等、そこから得られる人間の息遣いは決して古びないのだという。

    本は安い。しかし本の中の広がりは大草原さながら。実体験では成し得ない、経験と驚きの連続なのだ。

    また緩急をつけた読書も著者は提唱している。難しい本と同時に優しい本、それを同時に何冊も平行に走らせて読むことで脳のギアチェンジを図るのが良いと。
    少し背伸びした緊張感のある読書を心がけるのも良いという。

    新書は読んでこなかったし、読むものは直木賞が基準
    !?だったし、いっぱい読んでも雰囲気重視だったりする自分を認めつつ、新しい読書のスタイルも確立していこうという気になった。

    トルストイやドフトエフスキーをまず、積読にしておこう。そして、巻末にある齋藤孝氏のおすすめ本も試してみたい。
    改めて本とは安いものだ。

  • これからもっと本を、新書を読もうと思うきっかけをくれた本。

    要約を言えて初めて、「本を読んだ」と言える。

    覚えておきたい事実だ。

  • 読書の重要性をここまで体系的に説明している本は他に見当たらないのでは。
    自己形成とコミュニケーション力の育成をメインに、読書の効果や読書力の育て方にまで触れている。
    もっと早くこの本に出会いたかった。

  • 本の冒頭にて、著者は「本を読む読まないは個人の自由ではなく、絶対に読まなければならない」と断言している。そしてその理由と本を読むことのメリットを綴るという形で展開されている。

    本を読む最大の理由は、読書を通して教養を得る点にある。
    小説などの文庫本からは日常生活では到底体験できないであろう物語や人物を知ることができる。新書や啓発本では、その道を極めた人物からの授業を本を通して数百円で受けることができる。自己投資としての費用対効果はとても良い。

    読書を通してコミュニケーション力を磨くことができる。
    書から語彙を得る。
    過去の経験を読書を通して、ああそういうことだったのかと経験を確認することができる。

  • これまで読書論について書かれた本を何冊か読んだことがあるけれど、今までで一番、納得のいく内容だった。

    読書をしない人、普段から読書をしている人、読書の重要性を説く人、読書をしなくなってしまった人…
    どのタイプの人が読んでも新たな発見のある一冊なんじゃないだろうか。
    私の場合は「本当に本なんて読む意味があるのか?それより社会に出たら日々の体験の方が重要なんじゃないか?」と思い始めた時期に読んだので、とてもいい影響を受けたように思う。

    この本を読んで、自分が最近、いかに能動的な読書をしていないかを自覚した。
    大学では自分の好みに問わず、レポートを書かなければいけないという一定の強制力の下、内容を「理解」する努力をしてきたけれど、卒業後はその緊張感を失った読書をしていたことに気づいた。

    そして、緊張感を伴う読書の重要性を思い出さされた…と言うか、読書することの意味が整理された。

    オススメの一冊だし、読み返したくなる一冊。

    • 円軌道の外さん

      はじめまして!
      遅くなったけど、
      フォローありがとうございました(^O^)

      すごく分かりやすいレビューで
      頷きながら読ませて...

      はじめまして!
      遅くなったけど、
      フォローありがとうございました(^O^)

      すごく分かりやすいレビューで
      頷きながら読ませてもらったし、
      自分も読書の効果や重要性を
      口では説明できないんで(笑)
      目を通してみたくなりました♪

      何かとレビューを参考にさせてもらうと思うので、
      今後ともよろしくお願いします☆

      2012/02/01
  • 全ての人にオススメしたい。本書を読んで、一人でも多くの人に読書の愉しみを知って欲しい。
    齋藤先生の熱い思いが詰まった本です。私は、齋藤先生の著書の中で、本書が一番好きです。本書では、再三にわたって読書の必要性について、熱く述べられています。
    さて、本書の中で「読書力」の基準について、「文庫系百冊、新書系五十冊を読んだことがある。」又、百冊はおおむね四年以内とされています。
    巻末には文庫百選が載っており、本選びの参考になるでしょう。
    私は、昼休みを文庫の読書時間に当てており、今75冊目を読んでいます。本を忘れた昼休みは非常に苦痛です(笑)。

  • 初めて読んだ新書
    思っていたほど堅苦しいものでなく、読みやすいと感じた。
    「本屋で本を買わずとも見ているだけで刺激になるから毎日行くべき」という話で、毎日でなくともなるべく本屋に立ち寄るようにしようと思えたし、実際行った時にはいつもと違う分野の本を読んでみたくなったり、今まで関心のなかったトピックについての本を買いたくなる。

著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

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