笑う大英帝国: 文化としてのユーモア (岩波新書 新赤版 1017)

著者 :
  • 岩波書店
3.19
  • (7)
  • (9)
  • (33)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 188
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310174

作品紹介・あらすじ

王様も政治家も神様も、おかまいなしのイギリス・ユーモア!痛烈なからかい、目を覆うほどバカバカしいギャグ、ほろりとさせる優しい笑い-"笑い"と"英国"をこよなく愛する著者が、十八世紀から現代まで縦横無尽に例をとり、豊富な「笑いの文化遺産」の中に英国文化の本質を読み解く。『パンチ』等の貴重な図版も多数収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 王様、政治家、雇用主など権威を笑いのネタにすることにかけては世界でも有数の国民性を持つイングランド。思わず顔がひきつるほどの毒をも含む笑いが社会を活性化してきたその文化を読み解く。


    150年の歴史を持つ風刺漫画雑誌『パンチ』を中心に、イギリスに根付くカリカチュアの文化を眺めるのが面白い。ジョン・テニエルが結構えげつない戯画を描いており、そこに潜む当時の人種差別意識を見逃さない辺り富山先生らしい切れ味。
    権力者を徹底的にしゃれのめす国民性については、昨年読んだシェイクスピア評論と見せかけてトランプ政権批判の書であるグリーンブラッドの『暴君』でも指摘されていたことだが、笑いという異化作用への強い欲求があるのだと思う。近代以前の日本にもこのノリがあったことを思うと、王室を持つ階級社会だからこそ毒抜きとしての笑いが広く認められているのかも。
    使用人の笑いと戦争体験者の笑いとセクシャルマイノリティーの笑いには、社会でサバイブしていくために必死で掴んだ藁のような切実さが滲む。毒のある笑いとセンチメンタリズムの補完関係について本文中で富山先生も指摘しているが、本書の構成にもそれが当てはまるのだろう。逆に言うと、本書の前半は富山先生の文章自体がブリティッシュユーモアの文体模写になっているので、とにかく意地悪!(笑)でも面白かった。

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA76814294

  • 著者:富山 太佳夫[とみやま たかお]

    【書誌情報】
    通し番号 新赤版 117
    ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 世界史
    刊行日 2006/05/19
    ISBN 9784004310174
    Cコード 0222
    体裁 新書・並製・カバー・236頁
    在庫 品切れ

     王様も神様もおかまいなしのイギリス・ユーモア! 痛烈なからかい,目を覆うバカバカしいギャグ,そしてほろりとさせる優しい笑い――〈笑い〉と〈英国〉をこよなく愛する著者が,18世紀から現代まで縦横無尽に例をとり,豊富な「笑いの文化遺産」の中に英国文化の本質を読み解く.『パンチ』等の貴重な図版も多数収録.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b268836.html


    【目次】
    目次 [i-iii]

    まえがき――岩波新書を書くにあたっての熱い想いを吐露する [001-002]
    まえがきの補足――笑う帝国の文化遺産の見本を表示する [002-014]

    第1章 笑いの王様――なぜ国王が必要なのか 015

    第2章 政治家なんて――首相は踊る 047

    第3章 御主人様はアホですから――執事の伝統 085

    第4章 大英パロディ帝国――室内便器から株式売買まで 109

    第5章 パロディまみれの島――『ピーター・パン』もミルトンも 153

    第6章 聖書も、戦争も――笑いのアナーキズム 181

    第7章 もしも私がゲイならば―― Q・C へのラブレター 215

    結びの言葉――そして、何も分からなかった [227-228]
    図版出典一覧 [1-2]

  • w

  • 執事のところは面白かったなあ。この前、「比類なきジーヴス」を読んでいてよかったなあ。

    文体も嫌いじゃないかな。とっつきやすかった。
    詳細な説明がほしい部分もあったけど、新書だからこれでいいかな?
    2015.04.01

  • 笑いについての考察をどう真面目にしたらいいのか、を悩んだ結果、あまり体系立てずに書きなぐろう、という結論に落ち着いたことが示唆される書きぶり。
    それはそれでいいし、文中にある著者自身のユーモア的な箇所も悪くはないんだけど、時折「これは説明を必要としない」「これを理解できない感性はないはずだ」みたいなものが出てきて、それがことごとく理解できない自分が悲しくなってしまった。

  • 著者自身は楽しく書かれたのだろうと思う。

    大英帝国式ユーモアのいろはも知らないためこの本を手に取ったのだが、どうやら自分は著者が言うところの「笑いとかユーモアについての本を読もうなどという人は意外と誠実で、真摯で、謹厳実直で、融通のきかない石頭の所有者」(本書P.179)にがっつり当てはまるようだ。
    笑い話(ユーモア、ジョーク)の類を解説するのは(理解できる御仁方には)興醒めこの上ないことだろうが、このユーモアで笑うために懇切丁寧なご説明を頂戴したかったのだ。残念である。

  • ふと思って再読、★2.5。
    ちょっと文章が合わないな、初読の時もそう思ったが。
    あとそもそもの話になるが、内容もそれほど面白いとは思えない(これは笑いのセンスにも関係していると思わなくもない)。
    この人の講義を受けたことがあることもあり、何となく言いたいこと・やりたいことは分かりますが。

  • 【配置場所】工大新書A【請求記号】233.06||T【資料ID】91060954

  • 英国風ブラックユーモア。

    しかし、著者の文章に慣れなかった。少し読み辛かったかな。

全21件中 1 - 10件を表示

富山太佳夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×