- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004311089
作品紹介・あらすじ
前著から二〇年、「エビの現場」を追って、台湾、タイ、インドネシアなどの養殖池や加工工場を歩きつづけた著者が、豊富なデータを織り込みつつ、グローバル化時代のアジアと日本の風景を鮮やかに描き出す。世界中を「食卓基地」として、輸入に深く依存した飽食文化を謳歌する消費者・日本人に対する鋭い問いに満ちた最新レポート。
感想・レビュー・書評
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本書は、グローバリゼーションと言う難しいテーマに対して、日本人にとって身近なエビからスポットライトを当てている。
私たちが美味しく安いエビを求める結果、何かが犠牲にされている。
大まかに言えば自然と人間である。
現地では、マングローブ林が伐採されている。エビ養殖場やエビ加工工場などを建てている。伐採したマングローブは木炭として売る。人間にとって一石二鳥であるからなかなか止められない。
また、そうして作られた工場で働く人間の労働環境も悪い。現地でエビにもっとも接する日雇い労働者から私たちにエビが届くまで、大きく分けて14の段階があるという(p.180)。本書では表立って言われているわけではないが、この14段階の中に、搾取が存在している。本書で少し触れられている悲惨な「マルシナ」の話は、搾取がもたらした最悪の結果である。
私たちはこの14段階によって、その先にある現実をなかなか知る事が出来ない。「知らない」という事によって、知らず知らずのうちに、このシステムに加担させられている。
著者は、こうした状況を打開する一つの案として、フェアトレード(いわば労働者と私たちを直接に繋げ、取次の”搾取分”を減らす)を挙げているが、それだけでは不十分だという。「北」のルールの中で「南」を助けるのではなく、「北」自身がルールを変えて行く先に、本当にフェア(公正)なトレードが実現するという事である。
最初にも書いたが、グローバリゼーションとは実に多くの側面を持った、難しいテーマなのである。本書は、それをエビを通して痛感させてくれる。 -
「新版 大学新入生に薦める101冊の本」に掲載されている92番目の本。
エビを中心とした災害・環境破壊・食文化・労働・国際経済を、20年前に出版した前作と比較しながら解説する。「エビ」からグローバル化を見るという斬新な視点ではあるが、一方で日本人はエビに親しいと思いながら自分の食べているエビが何なのか分からないという事、どういう過程を経て食卓にのぼるかを思い知らされるという、身近な所で既に見落としている事にも気づかされる。「エビ」に惹かれて読みやすいと同時に統計データが幾つも出てきて信頼性がある、面白い本だった。 -
本著は、「エビと日本人」の著者による20年ぶりの続編である。データのみならず、この20年間のエビに関わる状況は大きく変化した。著者は、自由市場主義の重要性を認識しつつも、資本主義がもたらす貧富の格差、特に南北問題を憂慮しているとともに、多産を促すために雌の目を切り落とすことに反対する等、エビに対する愛情を強く感じた。エビの輸出に際し抗生物質が使われるなど、エビは必ずしも安全な食品とは言えないとの記述も気になった。生産から消費に至る経緯、国別生産量と消費量、養殖、環境への影響等、エビに関する様々な最新の状況が理解できた。
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前著から20年だそうだが、20年たって書けることがこれだけなのか。というか根本的に詰めが甘くて学生のレポートレベル。エビの輸入統計での加工品の扱いを詰めずにダラダラ書くくだりでは読んでいて怒りを覚えた。先に整理しろと。数字などおかしなところも多い。校正が仕事をしていない。
「台湾養殖業はさんざん日本に振り回されて腹は立ちませんか」と聞いて、「いまは海外市場は日本だけでなく世界中に広がっているのでどうとも思わない」とか言われたのが印象的だったとか。。。
このゆるさの原因は「前著で書いたエビの入門的な情報は、この本位は最低限しか書くことができなかった。」ことだけではないと思う。
世界のエビ漁獲高(含む養殖)1990年:263万t、2005年:610万t。海で獲れたエビは1.7倍、養殖は4倍近くに。種類別ではブラックタイガーが1位だったのが、バナメイが1位に取って代わった。ブラックタイガーも絶対量は増えているがバナメイに伸び率でかなわない。
日本のエビ輸入量は1984年:14.3万t、1994年:30.5万t(これがピーク)、今はピーク時の85%くらいの一人当たり消費量。世界の貿易量は米・中による輸入を中心に増えているが。→アタマに書いたように加工品(冷凍食品とか)がノーカンになっているらしい
バナメイは底だけではなく泳ぎ回るので水の容積で密度を考えられる。しかも耐病性が高い(今はそれどころでなくなったが)。ブラックタイガーは底を這うので面積が問題。
エビ養殖が盛んになったのは台湾のブラックタイガーから。しかし台湾は病気でダメになった。やはり過密がいかん模様。
インドネシアのエビ養殖でエラいのは倉庫を持っている人だと。水産業らしい。
エビの片目を切り落として抱卵を促進させられるとか。ちと恐ろしい。 -
2も読んでみた。データが1より新しく、養殖エビについて特に色々書かれている。20年経ってもトロール船でエビを獲り、雑魚を捨てるシステムは全く変わらない様子。あと気になるのはエビの頭。本では触れられていないけど、完全にゴミ扱いなのだろうか?エビ味噌美味しいのに…。
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安い物にはつい手が出てしまうけど、不当に安い場合、どこかにひずみがあるんでしょうね。
地域や国による低賃金労働は過渡期として考えて、できるだけ早く経済格差が縮まるとよいなと思います。それがエントロピーの法則にも合っていると思うのですが、どうでしょうか。
払ってもいい金額:500円 -
資料ID:C0028486
配架場所:本館2F新書書架 -
経済学者がエビを通して語るグローバル経済。
「エビと日本人」から20年。その間、日本人はエビを最も食べる国の座を追われた。作者は各国のエビの養殖場を訪ね、グローバル経済を現場から書いていく。
食品偽装でバナメイエビが大きな話題になっている現在。日本人は他国から安く食料を買っているうちに自分達の食べているものが何か分からなくなってしまっているのではないかと、この本を読んで感じた。
読んでみたくなりました。
読んでみたくなりました。
我々が安価で缶コーヒーを飲める背景に、原産国ルワンダで、二つの人種による血塗られた内戦があったということ。
『...
我々が安価で缶コーヒーを飲める背景に、原産国ルワンダで、二つの人種による血塗られた内戦があったということ。
『ホテル・ルワンダ』という映画で見ました。