ヴェトナム新時代: 「豊かさ」への模索 (岩波新書 新赤版 1145)

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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311454

感想・レビュー・書評

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  • ヴェトナムの状況を学べる一冊。歴史そのものというよりは、歴史をテコに近現代を読み解く形になっています。筆者が現地で得た情報も多く、旅行記の様な面白さも持っています。

    植民地時代からヴェトナム戦争、独立の流れに力が入っており、そこから現在の問題点や未来の展望を丁寧に書き出しています。「問題点」にはヴェトナムだけではなく強く関わりを持つ米中日を含み、理解しやすい印象を受けました。また、一貫して共産党の失態・欠点だけでなく功績を無視しなかった点も評価できます。この姿勢が通説とは異なるホー・チ・ミン考に繋がったのではないでしょうか。

    対中、または東アジア外交を考えた時にこれまで以上に重要な国、ヴェトナム。今後の日越関係を考える上で、なかなか面白い一冊だったと思います。

  • ヴェトナム戦争の終結をサイゴン陥落とするならすでに戦後35年もの年月が過ぎ、ヴェトナムは新しい時代を迎えているように見えます。
    しかしながら、本書を読んで戦争の後遺症の実態を知るとあの米国との戦争は今もなお遠い過去のものではないと思いました。
    本書ではヴェトナム戦争のことからヴェトナム独特の社会主義市場経済政策である「ドイモイ」、資本主義と共産党一党独裁という矛盾、そしてヴェトナム建国の父である「ホーチミン」再考などヴェトナムを知るうえでのトピックが簡潔に読みやすくまとめられています。
    我が国日本にとって対中国という外交戦略においてもヴェトナムとのパートナーシップが欠かせないと思いますので、ヴェトナムと日本の関係についてふれたトピックも興味深く読めました。
    観光ガイド本以外でヴェトナムに関する本でしたら、本書は入門としておすすめです。

  • 坪井教授の本!面白かった^^ ベトナム研究やりたいなぁ。

  • この本も同じく隣国の経済構造を知り、今の日本を知るために読みましたが、非常に面白かったです。これからのポテンシャルにも期待持てますし日本はこの国と仲良くしなければいけません。いまネットメディアでは中国対立がありますが、そんな視点の人は是非読んでみてください。そしていろんな日本の努力も見えてきますよ!

  • 『ヴェトナム「豊かさ」への夜明け』の続き。94年~08年までの現況と、筆者の考えるあるべき体制について記している。各章の扉にある写真が面白い。ホーチミンの話などが興味深かった。あまりヴェトナムには興味がなかったのだけど、授業と教科書二冊の読書によっていくらか知識を身につけることができた。

  • 先週ベトナムで聞いた話だが、現在の共産党幹部やら国営企業幹部はベトナム戦争時代の英雄達の親戚や子孫。まるで明治維新の時の日本。かつて北ベトナムが南ベトナム(経済的には南の方が遥かに発展)を支配し教育したから未だに南は北の人間が嫌いらしい。

  • 現在のヴェトナムの政治経済社会を非常にコンパクトにまとめた良書。2008年9月のハノイ訪問のタイミングに読んだが、実際に見て、読んで、納得することが多かった。

  • ヴェトナムについて、戦争から現代に至るまでの歴史を踏まえながら説明している著書。枯葉剤の被害は、自分の想像をはるかに超えていたことに驚いた。ヴェトちゃんとドクちゃんの名前の由来は「ヴェトナム・東ドイツ病院」から来ているということがわかった。これからいかに発展していくかという予想展望も述べられているので丁寧に書かれている良い著書だと感じる。ただ、実際に行ったことが無いのでイメージできなかったため☆4つで。

  • 来週の月曜日からホーチミンに出張に行く予定になっている。ベトナムに行くのは2回目だけれども、最初に訪問したのは、もう15年以上前のことだ。その間のベトナムのことをあまり知らないし、まぁ、せっかく出張に行くので最近のベトナムのことを少し勉強しておこうと思って読んだ本。知識を少し得ておこうと思って読み始めた本だけれども、これが意外とかなり面白い本だった。著者は早稲田の教授ということであるが、かなりベトナムに愛着と思い入れがあるようで、また、文章もうまく、読み物としてもなかなか面白く読める本になっている。

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著者プロフィール

ベトナム研究者。早稲田大学名誉教授。

「2020年 『動きだした時計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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