革命とナショナリズム 1925-1945 シリーズ 中国近現代史 3 (岩波新書 新赤版1251)

  • 岩波書店 (2010年10月20日発売)
3.64
  • (9)
  • (10)
  • (13)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 258
感想 : 21
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784004312512

みんなの感想まとめ

歴史の重要な転換点を描いたこの作品は、1925年から1945年までの中国史を丁寧に解説しています。特に辛亥革命の武昌起義が全国的な革命の火種となった過程や、武漢の地理的重要性が後の歴史に与えた影響につ...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 革命とナショナリズム 1925-1945
    シリーズ 中国近現代史 3
    著:石川 禎浩
    岩波新書 新赤版1251

    けっこう読むのに時間がかかってしまった

    歴史にイフはないというが、日本は盧溝橋で間違えた。
    真の仮想敵国であるソ連を軽視し、膨大な兵力を要する中国に安易に侵攻してしまった。がために、太平洋戦争を呼び込んでしまった。当時、中国は、日本を侵攻する意図を有していなかったにもかかわらずである
    真珠湾攻撃に至る時点で、すでに、100万という兵を中国大陸へ投入してしまった後であった。

    本書は、孫文の死(1925)に始まり、満州帝国建国(1932)、盧溝橋事件(1937)、太平洋戦争の終結(1945)までを扱う

    軸としては、大きく3つ
     1つめの軸 日中対決
     2つめの軸 国共合作
     3つめの軸 米ソと中国
    とみています。

    気になったのは、以下です。

    ■孫文の政策から解離

    ・孫文の中国国民党の運営については、ソ連のスタイルを取り入れていた
    ・第一次国共合作(1924)は、軍閥・北京政府に対抗するために、国民党と共産党との共同戦線であった。
    ・当時、北方の政局は、直隷派(曹錕・呉佩孚)、奉天派(張作霖)、安徽派(段祺瑞)が台頭していて、1922奉直戦争、1924第2次奉直戦争をおこしており、孫文には、これらに対抗する軍を必要としていた
    ・1925年に孫文がなくなると、国共合作下の広州で中華全国総工会が成立、反帝国主義運動530運動がはじまる
    ・孫文が台頭、1926 05月北伐開始、国民革命軍の破竹の進軍
    ・1926 03/24 南京事件勃発 国民革命軍が租界の領事館や教会を襲撃、英米は南京城へ砲撃、日本は自重
    ・1927 04/12 上海クーデター、蒋介石は共産党を排除、南京政府を樹立して、国共合作は破綻

    ■蒋介石の北伐

    ・蒋介石は、反共を掲げる、日本の田中内閣と接近し、共産党への協調を画策する
    ・国民革命軍は4つの軍団に再編、再び、北伐が開始される、張作霖ら、残存20万の兵力に対し、北伐60万、
    1928/06/08 に北京に無血開城、06/15 に北伐と全国統一の完成を宣言
    ・一方日本軍は、2つの事件を起こして、中国の対日感情は悪化していく
     1928/04 済南事件 第二次山東出兵して、済南を武力制圧、国際世論の批判を浴びた
     1928/06 張作霖列車爆破事件、関東軍の自作自演、日本が用済みとなった、軍閥を始末したと認識された
    ・2つの事件で、蒋介石の対日関係は一気に悪化し、日中関係は紛糾していく

    ■満州帝国建国と中国の対応

    ・父を殺害された張学良は、蒋介石のもとで、再び共産党と手を組み、日本軍に対抗しようとする
    ・1931満州事変、石原莞爾の謀略で、関東軍が東三省を確保、溥儀を執政とする傀儡政権満州国を建国する
    ・中国共産党は、何度か壊滅的な攻撃をうけたが、生き残って、1934/10より、紅軍8万が江西省から出発する
     いわゆる、長征である、中国の山岳部を迂回して、紅軍は、山西省延安にたどり着くこととなる
    ・日本軍は満州拡大を意図して、1933/02 に熱河作戦を実行、長城を超えて、関内に進軍。北平・天津に戦禍が及ぶことを懸念した、国民政府は、河北、チチハルを関東軍の占領下におくことを事実上承認した。
    ・日本は、満州を、対ソ戦の戦略的基地と位置付けるとともに、重工業の建設地とも位置付けていた。
    ・一方ソ連は、関東軍に対抗し、極東に大幅な軍事増強を図るとともに、蒋介石へも接近している
    ・1936/12 張学良と楊虎が、蒋介石を幽閉するという西安事件が勃発する。国共で日本にあたろうという、諫言を行うためであったが、失敗。張学良は50年に及ぶ幽閉生活を送るはめになってしまう。
    しかし、西安事件は、中国が、内戦停止、一致抗日へと向かうなかで一つの転換点となる

    ■盧溝橋事件から、日本敗戦まで

    ・1937/07/07 北京の近郊で、盧溝橋事件が勃発、以後、北平、天津にも拡大していく。上海でも海軍陸戦隊が現地の中国軍と衝突し、二個師団を派兵するなど、もはや、紛争レベルではなく、戦争レベルへと拡大していく。
    ・ソ連の戦略は、中国に日本をくぎ付けすることにあった。そのため、ソ連からの提案で、中ソ不可侵条約が締結された。中ソの急接近に対して、アメリカのハル国務長官は、公式声明を発表し、日中双方に停戦を呼び掛けた。
    ・日本軍は上海に20万の兵を投入するとともに、チチハル、山西、綏遠へ侵攻、南に対しては、河南、山東など黄河流域に戦線を拡大していく
    ・1938時点で、日本は、100万に近い兵力を中国に投入し、国内には、近衛師団のみを残した形になっていて、軍事動員力は明らかに限界に達してした。
    ・支那事変は、明確な戦争指導方針なきままに、泥濘化していく。
    ・1939にノモンハン事変が勃発するとともに、同年秋に、独軍のポーランド侵攻により欧州でも情勢が急変していく。
    ・1941年ABCDラインで、石油などの対日全面禁輸にて追い込まれた日本は、真珠湾攻撃により、太平洋戦争を開始し、予定になかったアメリカとの戦いに追い込まれていく
    ・1942年日本は、中国軍を重慶にまで追い込んだが、ガダルカナルなどの戦局悪化で展開は中止せざるを得なかった。
    ・1943年米軍の支援のもと、ビルマ戦線に参加した中国軍は、日本軍守備隊を全滅させる
    ・中国大陸での敗戦については、あくまでのアメリカの援助があってこそであり、中国軍に敗北したわけではないとの主張もあり、多くの日本兵もそう感じていた。
    ・満州へなだれこんできた、ソ連についても、もはや抵抗する兵力はのこされていなかった。

    目次
    はじめに
    第1章 国民革命の時代
    第2章 南京国民政府
    第3章 共産党の革命運動
    第4章 帝国日本に抗して
    第5章 抗日戦争から第二次世界大戦へ
    おわりに
    あとがき
    参考文献
    略年表
    索引

    ISBN:9784004312512
    出版社:岩波書店
    判型:新書
    ページ数:272ページ
    定価:1000円(本体)
    2010年10月20日第1刷発行

  • 蒋介石つえー。張学良………………………。

  • 国共の都合に合わせて改変されてきた歴史から史実をひとつひとつ解き放つ。結局、中国には2つの歴史があるという事であり、それは今でも続いていて、香港統治の失敗によりさらに対立が深まっているような。
    中身はマジメでしっかりしている印象だが「革命とナショナリズム」という題名は少々大袈裟ではないのかと。この時期の中国は内乱における対立と妥協で右往左往しているだけの気がするが。

  • 孫文の死からから終戦(中国側から見たら抗日勝利)の20年に絞った中国の歴史をとりあげる一冊。わずか200ページ強といってもかなり内容は濃くて読み応えがある。

    著者もあとがきに書いているように、この時代の中国史は一方の主役が日本となってしまっている以上、どうしてもイデオロギー的な観点が含まれることをさけることが出来ない(たとえ書く側の人間がどれほど中立であろうとしても、取り上げる事象や書き方を「解釈」する側の人間がイデオロギー色を勝手につけてしまう場合もあるので)。

    なので、この時代の歴史を読もうとする場合には、書いている人間がどのような意識で書いているかを理解して読むのが非常に重要になる。本書では、この20年を国共間の勢力争い - 日本の侵略 - 大国間における中国の位置づけ、というように複数のレイヤーを重ねることで、当時の中国のおかれている状況を描こうとしている。
    少なくともその時代のことをほとんど知らない人間が最初に読む分には、どちらか一方の史観に染まらずに読むことが出来るのではないだろうか。

    個人的には、中国にいると共産党側からの視点での話が多いので、改めて蒋介石と国民党が一方の中心となる部分は勉強に成る部分が多かった。
    現代まで至る様々な要素が内包されており、基礎理解として役に立つ一冊。

  • 南京国民政府と中国共産党の反目の実態や遠因について、もっと知りたくなった。それには蒋介石と毛沢東が何を考え、どこを目指していたのかを知らなければならない。まだまだ知らないことだらけだ。

  • 9784004312512 240+2p 2010・10・20 1刷

  • 孫文後の時代から、日中戦争を経て、その終結までを描く。
    各地で起こる政府や、政府移転、国共の争いなどに加え
    全体としての”中国”と日本の争い、果てには連合国、ソ連等の思惑も絡み
    かなり複雑な時代であることがうかがえるが、
    本書はそれなりによくまとまっており、それなりに読みやすい。
    そういった意味合いではある程度視点を固定して縦の軸で
    歴史を見ざるを得ず、視点を移した場合にまた縦軸をさかのぼって
    軸をたどる必要があるため、逐一頭をリセットして整理していく必要がある。

  • シリーズ第3巻。昔ながらの「革命史観」とは異なるが、「政治と革命に正面から挑んだ」(あとがき)書であり、国民・共産両党の動きを中心に描いている。1~4章では両党の党内外での抗争を主とし、5章ではやっと「ナショナリズム」が抗日の文脈で出てくる。西安事変も少なからずこれに動かされたのだろうし、これに燃えて抗日戦に参加した若者も確かにいたのだろうが、書名にも挙げられた割には、本書を読むとこの時代の中国は「抗日ナショナリズム」という美名の下ではなく内部抗争やコミンテルンの指示といった政治的要素で動かされていたとの印象を受ける。それが筆者の意図かどうかにかかわらず。

  • 「革命なお未だ成功せず」の言葉を残して逝った孫文の死から第二次世界大戦終結の20年間が本書の対象時期である。著者は、この時期の中国史は孫文が「遺嘱」として残した課題を実現するのが国民党か共産党なのかをめぐって展開したと見ることができるという。したがって、本書もこの両党を主人公として描かれることになるわけだが、当然、共通の敵としての日本、そして米英ソといった大国の動向も重要となってくる(いうまでもなくソ連が最重要)。

    1991年のソ連崩壊以後の文書や蒋介石日記の公開などの新資料から得られた知見も盛り込まれた本書の叙述はアカデミックな価値も高いと感じられるが、何よりも文章がうまく読ませる。毛沢東が最高指導者の地位を確立する整風運動のなかで、周恩来が自己批判を強要されるところなど秀逸。著者は、さりげなく「晩年にまで至る毛への服従のはじまりだった」(217ページ)と書いているが、まさに続刊では文革に至る毛個人崇拝の経過が描かれることになる。

    現代中国を支配する中国共産党の歴史を知る上でも必読!

  • とても読みやすい。

  • 時代順に読みたかったのに、実は2巻目の1894年から1925年の頃が一番読んでみたかったのに、何故か2巻目がまだ発行されずに、3巻目が出ていた。しょうがないので、先に読む。
    孫文と蒋介石と毛沢東の関係が整理できた。これまでは名前は知ってはいてもどういうことをした人たちなのか良く知らなかったので。
    この後さらに中華人民共和国になっていくんだよね。4巻目も楽しみだ。
    それにしても2巻はいつでるのだろう?

  • 1920年代から40年代の中国の動きが手に取るようにわかりやすく書かれていました。

全12件中 1 - 12件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

石川 禎浩(イシカワ ヨシヒロ)
京都大学人文科学研究所教授。中国近現代史。著書:『中国共産党成立史』(岩波書店)、『革命とナショナリズム 1925–1945(シリーズ中国近現代史3)』(岩波新書)、『赤い星は如何にして昇ったか──知られざる毛沢東の初期イメージ』(臨川書店)、『中国共産党、その百年』(筑摩書房)、共訳書:『梁啓超文集』(岩波文庫)ほか。

「2026年 『日中の近代哲学・思想の交差とその実践』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石川禎浩の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×