- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004312871
作品紹介・あらすじ
奈良時代の『古事記』から江戸末期の『春色梅児誉美』まで、歴代の名作三〇を取り上げて、言葉と表現を切り口にその面白さを解き明かしていく。登場人物の言葉遣いや鮮やかな比喩、擬音語・擬態語の生き生きとした効果などがよく分かる選び抜かれた原文を味わいながら、古典の底力、日本語の魅力を再発見できる、斬新な古典文学入門。
感想・レビュー・書評
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有名な古典文学を独自の視点で切り取っている。めちゃくちゃ面白い。
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高野秀行さんがツイッターで「私的殿堂入り」と紹介していたので読んでみた。なるほど、これはわかりやすくて面白い。平易な言葉で説明されているが、上っ面をなでただけのものではなくて、興味深かった。
「言葉」を切り口にして、テーマを設定して読んでいくというスタイルが新鮮だ。あらすじ説明はほどほどにして、「読みどころ」が原文も交えて紹介されている。知っているつもりの作品の、新たな魅力に気づかされるものあり、古典初心者も、古典好きも楽しめると思う。
内田樹氏が、欧米の学者は一般向けの書物を書くことはあまりないと書いていて、へぇ~と思ったことがある。そうならば、専門の研究者が書いたこういう本を読める日本の読者は幸せだなあ。
ちょっと不満を言うと、体言止めの文が多すぎるのでは? いったん気になるとどうにも目についてしまうのだけど…。体言止めの多用って素人っぽいと思うのは私だけ? -
2011/03/29-2015/03/07
大変残念な内容である。現役高校生には価値があろうが、私にとってな「何を今更」である。知らなくても生きていけるし、知っているから豊かとも言えないだろう。 -
勉強の科目の一つであり、多くの高校生を悩ませている古典(ここでは、日本の古文のこと)が、ワクワクとおもしろく感じられたら、どれほど幸せだろう。もちろん、文法や単語、古典の世界の「常識」を勉強し、身につけることも必要だ。しかし、それらに向き合うだけで終わってしまうなら、古典を読む楽しみまではたどり着けない。この本のように古典の楽しみを活き活きと語る本が、勉強の先にあるおもしろさを伝えてくれる。時代のフィルターを通過し、今に読み継がれる名作たちを、主体的な楽しみとしてつかみ直すのに、これほどの好著はない。◆『古事記』から『春色梅児誉美』まで、日本の古典の名作を時代順に全30作、ぴったり8ページずつ紹介するこの本は、どこからでも読み始めることができ、気軽に読める。また、一つひとつの作品の最も印象深い場面を具体的に紹介してくれているので、ストーリーを読む楽しみもある。『平家物語』を「死の文学」としてとらえ紹介する「敦盛最期」の場面、『太平記』の楠木正成の活躍ぶりなどは、この本によってさらに面白く感じられるはずだ。また、「下ネタ満載」の『東海道中膝栗毛』が、ハラスメントだらけのピリピリした現代社会の価値観を考え直させると指摘するなど、古典が現代に投げかける意味も教えてくれる。◆また、この本では、全体を通して、筆者の読書体験とその深まりを率直に書いている。一読しただけでは面白く思えなかった物語が、そこで使われている日本語の特質に注目して読み直すことで、その面白さにあらためて気づく。各時代ごとに日本語はこんなにも活き活きと語られていたのだ。その魅力を現代に教えてくれる本。 〈K〉
紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2016年8月号掲載 -
日本古典文学の代表作を国語学の視点で概観したもの。新書向けに書かれており、エッセイ的な要素もある。それぞれの作品が時代の中でどのような立場で書かれていたのかを言葉の用例から述べている。読書案内としても読むことができる。
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ふむ
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奈良時代の「古事記」から江戸末期の「春色梅児誉美」まで、歴代の名作30を取り上げて、言葉と表現を切り口にその面白さを解き明かす。古典の底力、日本語の魅力を再発見する、斬新な古典文学入門。【「TRC MARC」の商品解説】
関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40143111 -
以前から、この人の本は好きで、何冊か読んだ。
『日本語の歴史』は同じ岩波新書。
一瞬、あれ?これ読んだやつだっけ?と混乱する。
『日本語の歴史』は、書紀形式、文体、係り結びなどの文法と、発音、文語と口語の関係など、日本語の言語的な変遷が説明されていた。
こちらはやはり奈良朝から江戸後期までを扱い、各時期の名作を数篇ずつ取り上げる。
取り上げられる作品はほぼ王道の名作。
ただ一つ、「蘭東事始」が取り上げられているのが異色だ。
そう、『蘭「学」事始』ではない!
現存する刊本には「蘭東」または「和蘭」であって、「蘭学」とあるのは一つもないとのこと。
『奥の細道』のところで、(紀行文の)どこが面白いか分からない、と率直に書いておられ、ほっとする。
私も、ちっともわからないから。
それぞれの作品についての記述は、もうちょっと読みたい、というところで終わる。
いっそ、文学研究者とタッグを組んで書いていただいた方が、とも思ったが…。
もっと面白いところを紹介してほしいと思うくらいのところでやめるのは、狙ってのことかな、とも思いなおす。 -
30作品の古典を言葉を中心に紹介する。作者の語りかけるような筆致で1000年の昔の本を身近に感じた。
当時の言葉が実際に使われた生きた言葉なんだと実感。
作者の作品を読んだ自分の気持ち全面に押し出した書きぶりに、作品によって俺はそう思わんと反論も思い浮かぶ。特に既読の古典は感じ方がだいぶ違う。それもまた作者との対話で面白い。
気になった本「とはずがたり」「春色梅児誉美」。 -
様々な古典に関して背景、味わいどころなどが分かりやすくまとめてあったが正直あまり新鮮味のない内容であった。それなりに楽しく読んだがあまり内容を覚えていない