脱原子力社会へ――電力をグリーン化する (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313281

作品紹介・あらすじ

エネルギーの選択は、どのような未来を選びとるのか、社会のあり方の選択の問題でもある。電力のグリーン化をキーワードに、カリフォルニアやドイツでの「省エネ」を超えたエネルギーの効率利用、再生可能エネルギー活用の実践をふまえ、政府・企業・NGO・消費者の協働にもとづく、未来志向的な「脱原子力大国」への政策転換を提言。

感想・レビュー・書評

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  • 社会系の人の現実というか物理現象を無視した,特殊例を一般化するという話の進め方(論理展開とは言えない)で書かれた本。

    グリーンピースって環境NGOだったの?環境テロリストじゃなかったの?という点だけで,変な本。

    2011/12/23図書館から借用;2011/12/31から読み始め;あまりの馬鹿馬鹿しさ驚きながら1日で読了。

  • 【電子ブックへのリンク先】※スマホ・読上版です!

    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000073155

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  • カテゴリ:図書館企画展示
    2016年度第9回図書館企画展示
    「災害を識る」

    展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。

    開催期間:2017年3月1日(水) ~ 2017年4月15日(金)
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

  • 社会学者が著者の脱原発本。
    冷静な原発政策批判本が増えてきたことはよいことである。
    東日本大震災の4か月後の直後に書かれた著作。
    予想はしていたが、現状把握、これまでの国内外の反原発運動の詳細にほとんどのページが割かれている。
    著者の持論であろうか、市民運動の力学や郵便番号から見た地域格差問題がやや冗長である。
    肝心の具体的な脱原発社会の政策は、ラスト30ページしか記されていない。
    内容は、「天然ガス火力を暫定電源にした再生可能エネルギーにシフト」と実に陳腐なもの。
    電源置換のための試算も行っているが、コスト試算(イニシャル、ランニング)ともアバウト過ぎる。
    インフラ整備(再生エネルギーは未だ発展途上。風況の悪い日本での洋上風力発電は中央集権的発電の再来にならないのか?)、原発の長期間を要する廃炉作業、放射線廃棄物の最終処分問題)へのコストへ答えていない。
    しかし、「原発反対!」だけを思考停止して叫ぶ輩よりも具体的な方針を示していることは評価したい。
    なお、著者は、第一次安倍政権下で海外研究に赴いたことがあると書いているが、総選挙直前安倍氏は、いまだ「核燃料サイクル」継続を訴えており、他党を苦笑させていた。
    著者は、新政権にどのような感想を持つのであろうか。

  • 風力発電に力が入ってますね。しかし原発の安全性もさることながら、放射能廃棄物が増えていくだけというのはまずいですよやっぱり。

  • 最低日本では,原子力発電はできるだけ早く廃止すべきだと思う。
    国民の大部分も,そう思っているのではないだろうか。
    それにも関わらず,日本の政府は,原子力発電を輸出し,国内でも運転を続けようとするのか。
    それは,原発を続けたい人々が権力,資金力を持っており,頭を使って積極的に活動しているからだと思う。
    一方,反原発の人々は,マスコミでも目立っているか,具体的で長期的な戦略,政策が足りないと思う。

    この本は,脱原子力社会への具体的な政策,作業,活動の案が良くまとめられている。
    特に,著者の専門の「環境社会学」の視点から,国際的な取り組み,日本の地方の活動の歴史がまとめられている。

  • pp.7 止める、冷やす、閉じ込めるの破綻→東電福島第1原発。そもそも地震大国と原子力大国とはそもそも両立しがたい。
    ・原子力発電の問題のような、外部反対者との間の軽装課題かつ政治的重大な争点の場合→組織外からの社会的圧力が無い限り政策転換は実現しない。

    ・原発を巡る構図
    →過疎地域にエネルギー負担を押しつける
    →電源地には電源三法による交付金が支給される。
    ・再処理施設・・・直接処理を優先した方がコスト安

    ・日本の原子力発電=将来的に核兵器開発の技術的可能性を将来にわたり担保したいという思惑。(pp.73)
    ・原発事故→将来にわたる経済コストを考える。

    ・再生可能エネルギー=電力系統が唯一のネック(電圧の維持など)
    ・「地域の一体性や内発的アイデア、新進の気性、地元出身者と地域外からの新住者、支援者との有機的な組み合わせに、再生可能エネルギーによる地域づくりの成功例に共通した秘訣がある」(pp.156)

  • 原発から代替エネルギーへの政策が具体的に描かれている。原発をやめて石油火力発電にすると電気料金が上がるというのは、原発の発電単価が明らかにされていないので情報操作であると見破っている(実は原子力関係研究者への献金があったことも明らかになっている)。天然ガス発電+自然エネルギーと節電5%で原子力発電が全て置き換えられることを説明し、さらに7.5%の節電で原子力発電をすぐ中止してもやっていけることを示している。原子力をすぐ中止できないというのも情報操作であることがわかる。スリーマイル事件の後でアメリカの原子力発電が増えなくなったというのも宣伝で、実はその前から原子力発電が下火になってきていてスリーマイルの事件がそれに止めを刺したということも述べている。
     原子力が必要というメディアからの情報操作に操られないためにも読むべき本である。

  • 脱原発への移行を考察している本です。

    「原子力依存か気候変動か、というのは忌まわしい二者択一だ」という社会学者ベックの言葉が紹介されていた。
    温暖化の原因は二酸化炭素であり、二酸化炭素の排出削減には原子力発電、という図式に踊らされ続けている現状が、3.11をきっかけとなって打開されるときが来ているのかもしれない。

    戦争被爆国日本が「原子力の安全利用」に利用されたということが書かれていた。
    われわれは、電気料金とともに電源開発促進税を支払っているということも書かれていた。僕らは、年額1350円程度を原子力発電立地のために支払っていたんですね。あ~ぁ。

    他の方のレヴューに書かれている通り、読んでいて気になる点もありましたが、トータルでみると ためになる本でした。

  • フクシマを起点に原子力社会を脱皮する様々な提案が盛り込まれている良書だ.page 227には次のような記述がある.「日本全体で5%節電すれば,原発7.4基分を減らすことができる.サクラメント電力公社が強調したように,新規の設備投資も要らないし,放射性廃棄物も,温室効果ガスも排出しない.」日本各地で燎原の火のように発生してきている様々な活動の紹介も満載だ.年明け早々,希望の持てる本を読めた.

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著者プロフィール

1954年、山形県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会学博士。東北大学大学院文学研究科教授などを経て、現在は尚絅学院大学大学院特任教授、東北大学名誉教授。専門は環境社会学、社会運動論、社会変動論。おもな著書に、『脱原子力社会の選択』(新曜社、1996年、増補版2011年)、『脱原子力社会へ』(岩波新書、2011年)、『新版 社会学』(共著、有斐閣、2019年)『社会運動の現在』(編著、有斐閣、2020年)などがある。

「2021年 『環境社会学入門 持続可能な未来をつくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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