- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004314004
作品紹介・あらすじ
西洋において、プラトンの哲学が後世に大きな影響を与え続けているが、日本においてそのような存在はいるのだろうか?空海について思索を重ねてきた著者は、空海思想の基本概念である「風雅・成仏・政治」を日本思想理解のための基本的な視点(基本系)と捉え、さまざまな事例を通して論ずる。斬新で刺激的な日本思想論。
感想・レビュー・書評
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20190724
空海思想がいかに日本の思想を形作ったかというテーマで書かれている。内容についてはヨーロッパの哲学との対比であったり、芸術や時間論との関わりなど門外漢には趣旨が読み込めなかった。別の本で、空海が築いた思想そのものについて学ぶようにしたい。
//MEMO//
仏教の宗派のレファレンスが頭の中にある程度できてきたことから、空海の思想=真言宗をさらに深めていきたい。日本思想に最も影響を与えたようで、この本から日本人がどのような影響を宗教から受けているから学びたい。
風雅
成仏
政治
プラトン=西欧哲学との比較
政治
・四恩に報いる
①父母
②国王
③衆生
④三宝=仏法僧
建物・道具・物語・さび
六大体大説
地
水
火
風
空
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この本は、明言してはいないが、木田元の『反哲学入門』に対するレスポンスではないかと読みながら思った。反・哲学ではなく、非・哲学。西洋哲学をプラトンの変奏とみなすと同時に、日本思想を空海の変奏とみなしたところなど、大胆だなーと感心しもした。
最終的に、そんなことはどうでもよくて、心敬の「ひえさび」、流れる水と同じ性質を持ちながらも、永遠(とはいわぬまでも永続)を象徴する氷に柔らかさと固さを併せ持った観念の姿を託した著者にもっとも感動した。西洋流の、例えばドゥルーズ流のクリスタルではない。氷なのだ。そこが素晴らしい。温度があがれば、瞬く間に溶けてしまう。結晶化した概念は、瞬く間に無に帰してしまう。つまり、氷とは、有か無かではなく、そういった存在のありようを無化してしまう、時間の化身なのだと改めて思った。 -
どういう読者を想定して書かれた本なのかよくわからないが、個人的にこういう文体は読むに堪えない。
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【要約】
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【ノート】
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著者は、プラトンに始まる西洋哲学の全体を把握するときに、その「思想の基本的なありよう」を示す「基本系」が、美とイデアと政治の三つから成り立っているのに対し、空海の思想の「基本系」は、風雅と成仏と政治だと主張します。本書はこうした枠組みにもとづいて、空海の思想を中心に、その後の日本の思想史のなかで「基本系」がどのように変奏されていったのかという問題にせまっています。
空海の密教思想のうちに風雅と成仏と政治の内在的なつながりを見いだすという議論はけっして的外れだとは思いませんし、また慈円や九鬼周造、西脇順三郎、草間彌生、宗左近といった人びとの仕事のうちにそのつながりが変奏されているという発想は非常におもしろいと感じました。ただ、本書のなかでその具体的な内実に十分にせまることはできておらず、かけ声にとどまっているような印象を受けました。西洋思想と東洋思想の「基本系」の比較という問題設定は、新書の分量であつかうには大きすぎたように思います。 -
もしやこの本は奇書として後々評価されるのではないか?そんな読後感があったので☆5。タイトル通り、そして作者前書きの通り、空海の思想をベースに日本思想を論じているのかと思いきや、読み進むに連れて読者は全く見知らぬ地平に連れて行かれる感覚を覚える。あまりにも乱雑かつ極論かつ斬新な切り口でありすぎて、言わんとしている意味が良くわからないし、危険思想に片足突っ込んでるような怖さもプンプンするし、出版した岩波新書凄いなと思いつつ、ぼんやりと、自分がこの世界で感じてきた感覚を説明してくれているような気もするのだ。「いまかつて間」で「新たしみ」「寂びしみ」を感じるということに芸術も救いも社会もあるという感覚。いや、これは奇書になりえると思うな本当に。
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空海について直接説明したものは1/3ぐらいで、あとは、西洋思想と関連した日本の考えの説明であった。空海の思想について何か新しい知見や学習を求めて卒論にしようとする人にとっては不足であろう。
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「毎日新聞」(2013年1月27日付朝刊)で、
三浦雅士さんが紹介しています。
(2013年1月28日)
駅前の書店で購入しました。
(2013年1月31日)
読み始めました。
(2013年2月1日)
読み終えました。
なにとは言いがたいのですが、
なんともすごい本です。
(2013年2月9日) -
講座を聞くような楽しさがあった。
とてもわかりやすく(ホントかなぁと思うこともあるくらい)、ずばずばと図式化してくださる。
日本思想は空海の変奏であると言い切ってしまわれるので、ちょっと驚きはしますが。
「さび」については語られていますが、「わび」はどうなんでしょう。
最後は天皇が出てきたのでびっくり。
確かに・・・・今もなお、君臨??しているとはいいますが・・・・。