- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004318224
作品紹介・あらすじ
心と脳は同じものなのか。心はすべて物理的な理論で説明がつくのか。心と脳はなぜ「サイクリングと自転車」の関係に似ているのか――。『世界はなぜ存在しないのか』で「世界」を論じた気鋭の哲学者がつぎに切り込むのは「心」。脳科学全盛の時代に、実存主義と心の哲学をつなげ、21世紀のための新たな存在テーゼを提示する。
■内容紹介(第5章より抜粋)
1 人間は本質なき存在であるという主張
2 人間とは、自己理解に照らしてみずからのあり方を変えることで、自己を決定するものであるという思想
哲学的思考における来たるべきポスト自然主義の時代――その時代の選択肢のひとつとして、新実存主義を育んでいこうという本書の私の論考は、こうした実存主義のスローガンが心の哲学にとって何をもたらすかを明らかにすることに狙いがあった。心の哲学の中心問題を立て直そうという目論見だ。哲学者のあいだにいまもはびこる自然主義的世界観の行き詰まりや病を思えば、それは緊急の課題と言わなければならない。
感想・レビュー・書評
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一般読者向けに書かれていた「なぜ世界は存在しないのか」
に比べれば歯ごたえがあり、ある程度の哲学的素養を前提と
している部分も多く、難敵であった。相変わらずマルクス・
ガブリエルの哲学については今一つ腑に落ちてこない。
何となくただの「決意表明」を読まされている気になるのは
こちらの準備が足りないからだろうか。 -
ガブリエルの新実存主義をめぐる哲学的な対話。
最後のケルンの議論は腑に落ちなかったが、ガブリエルの反論で明瞭になった。おかしい議論はおかしいと言えるのが知性だ。
全体的に、心、精神の問題を扱っている。「語彙」に注目するガブリエルの視点が興味深かった。
また、ハラリなどが主張するニューロン主義や意思の欺瞞性への批判も痛快。確かな人間性を取り戻す重要な取り組みだ。 -
形而上学的捉え方と実存主義の考察は、とても興味深く読み進めていたが、なんども迷子になりかけて、なかなか苦労した。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/737228 -
心をどう定義するか、あるのかないのか、学術的に論じるとこうも面白くなるのか、と感じました。「精神」は日本語でも幅広い意味で使われているのでなじみやすい反面、意味をしぼらないとよくわからなくなります。翻訳が難しかったろうな、と思います。個人的に、架空の存在が存在すると考えるか否かの件は、解釈の自由さを裏付けるようで参考になりました。
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硬く固めた文章で熱量も高い。故に中々近付けないのではあるが、自画像の個所は自我像として解釈した。自分なりに。躍起になっては、七転び八起き、強靭な精神で日々精進。
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新書とはいえ、バリバリのガチで書かれている。ので、とても歯が立つものではなかった。また再読したい。
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主張していることは理解できないわけでもないが、用語についての訳注などがあれば、多少なりとも理解の助けになったのではないか。新書という物理的、経済的な制約上やむを得ないことであったのかもしれないが。
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一本の論文に4名による関連論文(反論)を4本足して再版論を付けて1冊の新書になっている。論文がわざわざこんな形で邦訳され,新書化されるってなかなかに凄いことだと思います。
「実存主義」を名乗る理由はいまいちピンとこなかったのだが,言いたいことはだいたい真っ当だと感じた。というか,自然主義というか物質一元論というか還元主義というかすなわちウィルバー的に言えば「フラットランド」がここまで猛威を振るい続けているとは思わなかった。え,まだそこ?というのが正直な感想である。
精神(ガイスト)と意識(コンシャスネス)と心(マインド)とスピリットとソウルあたりの述語を再度整理しないと訳が分からなくなりますね。