うつりゆく日本語をよむ: ことばが壊れる前に (岩波新書 新赤版 1907)
- 岩波書店 (2021年12月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004319078
作品紹介・あらすじ
日本語に起こっていることを、じっくり観察してみよう。ことばはうつりゆくもの。昔と少し違っても、知らない単語が増えても大丈夫。しかし、安定したコミュニケーションを脅かす危機が、そこかしこにみられないだろうか。壊れかけた日本語と、それらが照らし出す私たちの「今」を探り、来たるべき未来へ向けた提言をする。
感想・レビュー・書評
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ことばの乱れが指摘されて久しい。
この本でも言葉についての危機感を露わにする言論が多く、気が滅入りそうになる。
これまで読んだ本では話し言葉の乱れが多かったが、この本では新聞記事の文章について指摘している点が興味深い。
「ザックリ」「心が折れる」「降臨」などのよく見る表現…私も気づきませんでした。
読みつつ自身のことばもかなりいい加減になっていると思い、反省するしかなかった。
近頃の言葉は、「気持ち」をどれほど面白おかしく、印象的に述べられるかが重視されているのだろうか。
言葉は思考を表面化していること、
書き言葉、話し言葉、打ち言葉の繋がり、
話し言葉の「ブレーキ」となりうる「書き言葉」の重要性…。
多少は年配の方が文句を垂れているような文もあり、ちょっと説教されているようにも感じられることはあるものの、改めて言葉をたんなるコミュニケーションのための道具にせず、文化として継承していくものにするためのヒントがたくさん書かれた本であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「はじめに」より
「言語はそれを使う人の集団によって『共有』されている。(中略)多くの人に共有されている日本語も、限定された集団に共有されている日本語も、どちらも日本語だ。」
その他
「言葉は自然習得できる、というが、そういう場合の『言語』は『話しことば』のことだ。」
「『情報』を目的に合わせて『圧縮』して『構造化』して提示するのが『書きことば』だと思えばよいだろう」
「新聞などで使われていた標準的な『書きことば』も『話しことば』化し、その結果、日常的な言語生活で標準的な『書きことば』に接する機会がなくなってきた」
など、なるほど、と思える文が多かったです。
「壊れた日本語」については、「心が折れる」「心に刺さる」など挙げられていましたが、私は気持ちを表すのにふさわしい表現であればいいと思います。
終章より
「日本語がうつりゆき、過去の日本語とは異なってきていることを歎くのではなく、まずはそうなっているのだなと観察する。そしてその日本語が思考のための器であることを思う時に、『どうすればよいか』ということについては一人一人が考えていくしかないだろう。」
大学の先生らしい文で、大学生におすすめ。 -
日本語の形態を「書きことば」、「話しことば」と「打ちことば」に分けて楽しめる議論が縦横に展開する著作だ.「打ちことば」はインターネット空間でやりとりされる言葉と定義している.さらに、「書きことば」の「話しことば」への接近が見られることへの懸念も表明している.ハードな「書きことば」を体験する機会が少なくなっていることへの警鐘も随所に見られた.唯一の体験は大学での卒業論文の作成だと指摘しているが、その通りだと思うし、それが実際に対象者にとって糧となっているかは、やや疑問な部分もあると感じている.論文博士号を持っている小生としては、博士論文は究極のハードな書きことばの試練だと回想している.
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いろいろな媒体があり、それに使われている言葉がある。その言葉に違和感は、なかった。だから、この著作の意見が理解できなかった。読み進めていく中で、言葉
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この著者の作品はけっこう読んでいて、今作で4冊目。
日本語の歴史や文化に示唆に富んだ内容が多い。今作も日本語の変化を紹介しているけど、規範となる証拠を新聞に求めるのはどうかな。新聞での日本語表記がどれだけ、今の社会を反映できているのかが、そもそも疑問だよね。とはいえネットはいかんせんまだ蓄積が足りないかな。 -
東2法経図・6F開架:B1/4-3/1907/K