プチ革命 言葉の森を育てよう (岩波ジュニア新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005007790

作品紹介・あらすじ

どんなに生きづらい世の中でも人生を豊かにしていくのはその人の心だ。心が自由なら希望を持って生きていける。心のなかに言葉の葉を繁らせて、人生を広げていこう。受け身ではなく強制でもない、1人でできるプチ革命の提案です。俵万智さん、河瀬直美さんなど7人へのインタビューも充実。

感想・レビュー・書評

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  • 映画『あん』の原作者による、言葉と自分をひらく旅。

    自分の「生」の根拠として、自分の内に「言葉の森」を育てよう、名詞の木を植えていこうという提言です。

    事象の差異を認知できるということは、それに対応する言葉を内側に持っているということ。その対象に関心があれば、そうした差異への認知が豊かになると言っています。それは、自分の寄って立つ「専門」を持つということでもあり、そうした自分なりの専門分野を持つことが、自分の「生」をたくましいものにする。

    私は以前、言葉でもって自分の精神を耕すことが重要であると思っていましたが、言葉の「森」というイメージがまず気に入りました。「森」は水をたたえ、土壌を守り、生命を育みます。言葉とは、本質的に生命に根ざし、生命に連なっているという指摘には、わが意を得たりと思いました。言葉が躍動するとき、その生命も躍動するのでしょう。

    後半は、さまざまな分野で「言葉の森」を育てた「言葉の匠」7人に対するインタビューでした。特に印象的だったのは、映画監督の河瀨直美さんの、「~想いを伝えられないままに土に戻っていく。私はその、土のなかの言葉を伝えたい」というフレーズでした。

    言葉に想いを乗せ、表現できることのすばらしさについて考えさせられた1冊です。

  • 文献を読んでいるうちに、たどり着いた本。

    「言葉とは、差異に根ざした表現である。」
    そのために、自分の興味のある名詞を学んでいこう、という主張である。

    自分は、新たな分野を学ぶ時、専門の雑誌を1年〜2年間購入し、とにかく目を通していく。
    当初全くわからない言葉も、2年経つと、すっかり自分のものになっている。
    吹奏楽の時も、写真の時も、そうだった。
    この本を読んでいて、なるほど、納得であった。

    自分の世界を創ってきた7人との対談が、これまた痛快かつ面白くてたまらない。

  • 第3回アワヒニビブリオバトル「種」で紹介された本です。
    チャンプ本
    2015.08.06

  • ・言葉とは差異に根差した表現である。ソシュール
    ・fish is fish.
    ・言葉はモノへの対応に由来を持っているのではなく、根本的には認識上の違い、差異である。

    *言葉の森を育てよう。好きな分野の名詞の葉を(外国語なら動詞)をたくさん集めよう。名詞に命を与えるために生きた動的イメージで。名詞が表すものを生きた光景としてとらえ、あなたの中に住まわせる。
    森に風が吹きあなたの背中を押す。
    ・外国語の学習。読みたい原文を書き写し、動詞と助動詞だけ( )にし、それを毎日読む。
    ・丸暗記が必要な時もある。繰り返しその対象に入り込むことで、自分の常識を水準に上げていくのだ。暗記しようとするな。それを知っていて当然だと思えるほど、知識のレベルを上げていくのだ。

  • 専門分野を作り上げていくのは言葉の力だから。
    差異がわかるから言葉が生まれる。
    私の言葉の森を育ててみよう。

  • 言葉は、人生を、その人となりを表す。発する語いの少なさは、感情の乏しさを露呈させるという。著者自身が言葉に傾倒して生きてきたからか、言葉から夢をかなえるチャレンジを始めようと薦めている。英単語や専門用語の丸暗記など、弊害はあるが、良い面もある。そして図書館にも専門用語がある。その道を極めるためには必須なのだ。

  •  ハンセン病元患者を正面から扱った『あん』の著者であり「叫ぶ詩人の会」というユニークなグループで歌を歌っていたドリアン助川氏の若者向け応援歌です。
     これからの時代が,若者にとって簡単に仕事が見つかるような時代ではないことは,明らかとなっています。
     そんな中で自分を見失いそうになる若者たちに,ドリアン助川氏は,「言葉の森を育てていこう」と呼びかけます。
     新たに,ある分野の「言葉=まずは名詞」を知ることは,その世界に飛び込むことであり,自分の世界が少しだけ広がることにつながります。それが,今までの自分の殻を破って一歩踏み出す原動力ともなるのだといいます。
     自分自身のことをふり返っても確かに思い当たることがあります。
     たとえば,一時期夢中になった「韓国歴史ドラマ」。主に韓国李王朝の時代です。そのドラマには新しい言葉が沢山出てきます。韓国語そのものもそうだし,韓国の歴史の話もそうです。そこで,私は日韓・韓日辞典も買うし,韓国歴史解説の本も買います。それくらいのめり込むと,いつかは韓国に行ってみたい,その地を訪れてみたい…と思うようになります。そして,「チャングムの誓い」のロケセットのある場所や,イ・サンの作ったスウォンへ行って,韓国の歴史に触れてきたのでした。ツアーじゃないので,なかなかスリリングな旅でした。
     7名のインタビュー記事も載っていて,こちらの言葉を巡る話もおもしろいです。ドリアン助川氏の人間関係がいかに幅広いかが分かってきます。でも,考えてみると,私の回りにも意外とそんな人がいるような気がします。その人達から,何を吸収するのか,どう影響し合うのかが大切なのかも知れません。
     興味を持ったら,とりあえず,その分野の言葉を徹底的に覚える…これって,単純なことで,わかりやすいですね。

  • 言葉=名詞を書き出すことから始める。書くことだなぁ

  •  著者は,何かの専門を目指すとき,外国語を習得しようとするとき,その事柄に関する言葉や好きな言葉を集めて自分の中に言葉の森をつくる。
     弁護士,歯科医師,サーカス招聘者,船長,ファッションデレクター,映画監督,歌人。著者の多彩な交遊が窺えるインタビューもおもしろい。

  • ノートを買った。
    言葉の森を育てていこうと思った。

    テレホン人生相談で知ったドリアン助川さんの著書をはじめてよんだが、わかりやすくとても参考になった。

    ほかも読んでみたい。

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著者プロフィール

ドリアン助川 訳
1962年東京生まれ。
明治学院大学国際学部教授。作家・歌手。
早稲田大学第一文学部東洋哲学科卒。
放送作家・海外取材記者を経て、1990年バンド「叫ぶ詩人の会」を結成。ラジオ深夜放送のパーソナリティとしても活躍。担当したニッポン放送系列『正義のラジオ・ジャンベルジャン』が放送文化基金賞を受賞。同バンド解散後、2000年からニューヨークに3年間滞在し、日米混成バンドでライブを繰り広げる。帰国後は明川哲也の第二筆名も交え、本格的に執筆を開始。著書多数。小説『あん』は河瀬直美監督により映画化され、2015年カンヌ国際映画祭のオープニングフィルムとなる。また小説そのものもフランス、イギリス、ドイツ、イタリアなど22言語に翻訳されている。2017年、小説『あん』がフランスの「DOMITYS文学賞」と「読者による文庫本大賞(Le Prix des Lecteurs du Livre du Poche)の二冠を得る。2019年、『線量計と奥の細道』が「日本エッセイスト・クラブ賞」を受賞。翻訳絵本に『みんなに やさしく』、『きみが いないと』(いずれもイマジネイション・プラス刊)がある。

「2023年 『こえていける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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