「カルト」はすぐ隣に: オウムに引き寄せられた若者たち (岩波ジュニア新書 896)
- 岩波書店 (2019年6月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784005008964
感想・レビュー・書評
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子どもながらに衝撃を受けた事件でした。自分自身は事件後の番組などで少なからず事件の恐ろしさを知ることができたけど、自分の子供世代は全く知らずに育つんではないかと思い、購入しました。読み始めると止まらなくなりますが、途中本当に現実で起こったことなのだろうか、、と目を背けたくなるような辛い部分も多くあるので休憩を挟みながら読むことをお勧めします。
どんな時も自分のアタマで考えることやめてはいけない、自分の感性(違和感だったり)を大事にする。この本で学ばせていただきました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
オウム真理教は無害で愉快な新興宗教と思われていた。麻原彰晃や弟子たちは普通にテレビ(ユニークな教えで今若い人に人気の宗教という軽めの立ち位置)に出ていたし、一般雑誌の表紙になっていたこともあった。その事で安心して気軽にオウムのヨガ教室に参加し、取り返しのつかないことになった人もいた。(この本にも書かれている通り、マスコミにも責任があると思う)江川紹子さんはそれより前からオウムの危険性を察知していた。本当に長い間、真剣に、実際殺されそうにもなりながらオウムと関わっていたわけである。
当時から江川さんの見た目はあまり変わってない印象を受けるが、オウムがマスコミで話題になっていた時、実はまだ30歳をちょっと過ぎたくらいだったということをこの本で(書いてある訳ではなく、経歴から計算して)知った。浮ついたところやが全くなく、凄く落ち着いていたので、年配の人だと勝手に思い込んでいたが、若かったのだ。変わらないのも、見た目が中身に追いついたせいかもしれない。余談だが。
この本は、若い人に向けて書かれているため、当時の社会状況なども丁寧にわかりやすく説明されている上、オウム真理教に関しても、膨大な量の情報を持っているだろうが、大変バランスよく整理されている。整理されているとは言っても、犯罪行為を行った信徒の心情なども手記などをベースにきちんと描かれているので、本当にぐっとくるものがあった。人を殺めたということを、マインドコントロールから抜けて初めて自覚し、後悔と自責の涙に暮れても、遅いんだ。殺しちゃったら。
真面目で、世の中のことを真剣に考える人が、もし麻原彰晃と出会わなければ、社会で人を助けるような立派な仕事ができたかもしれないと思うと、やるせない。
土谷正実や端本悟の両親は、とても良い人達で、息子を脱会させよう、犯罪行為を止めさせようとできる限りのことをしたと思う。土谷も端本も、親を愛し大切に思っていた。それでも、殺した。親からしてみたら、たとえどんなことをしてでも、自分が死んでも、それだけはしてほしくなかっただろう。結局本人が自分でまやかしに気づく以外方法は無いということなのだろうけど、親としては辛すぎる。優秀で真面目で優しい、大事な息子だった。その息子が人殺しで死刑。殺された人への謝罪の気持ちがあるから、自分の悲しみを公にもできない。どれだけ辛いことかと思う。
麻原彰晃を(テレビや雑誌で)見た限りでは、どうしてこんな胡散臭い汚らしいおっさんに夢中になるのか、全く分からなかったけれども、実際に会ったら魅了される何かがあったのだろう。また、人心掌握に長けていたことは間違いない。洗脳されて、グルのやることは絶対に正しいと思い込んでいたのだろう。それにしても、何度かおかしいと感じたことはあったわけで、そこで引き返せば良かったのに、と思わずにはいられない。
まっとうな宗教とカルトはどう違うのかとダライ・ラマに訊いた時の答えを心に刻んでおきたい。「studyとlearnの違い」。「studyには「研究する」という意味もあります。研究するには、疑問を持ち、課題を見つけ、多角的に検証することが必要です。一方のlearnは、単語や表現を教わり、繰り返し練習して記憶する語学学習のように、知識を習い覚えて身につけることを言います。「studyを許さず、learnばかりをさせるところは、気をつけなさい」一人ひとりの心に湧いた疑問や異なる価値観を大切にしなければstudyはできません。それをさせない人や組織からは距離を置いた方がよい、というのが、法王からの忠告です。」(P208) -
善良な若者がカルトに囚われる様子がホラー小説ばりに恐ろしい
オウムをたまに放送される特番くらいでしか知らない私と同世代の若者たちにぜひ読んで欲しい
特に5章の引き寄せられる前には必読だと思う -
オウム真理教というと、どこか人ごとで自分とはかけ離れた人たちが起こした凶悪な事件だと思いがちだ。でも実際に入信した人たちを知ればそうでもない、つまりごくごく普通の人(ただし、優しく少し考え過ぎになる面はありそう)がカルトにハマるのだということが分かる。
オウム真理教について、麻原や入信者や彼らが起こした事件やカルトにはまらないためにはどうしたらよいかなど、基本的なことがこの本から学べる。 -
「オウムに引き寄せられた若者たち」は、みな、社会の理不尽さに疑問を持ち、自分が何かできないかと悩み、真剣に考えるような善良な人たちだった。サリン事件などの加害者でありながら、被害者だったんだと思う。教祖の行き当たりバッタリな言動行動に翻弄され、真相究明がなにもなされないまま、教祖含む実行犯を死刑に処してしまって本当に良かったのだろうか…。なぜ死刑実行してしまったのか。今もモヤモヤしている。 カルトはすぐ隣にあることを子供達たち、大人にも広く伝えたい。人は誰しも悩みをかかえ、それを解決しより良くしたいとかんがえる。それを利用するのは簡単なことだと思うと、自分も含めて周りもこの事件についてちゃんと伝えていかなければいけないだと思う。
死刑求刑で終わりではないはず。 -
オウム真理教についてまとめた本
宗教とはやっかいなものだなと。新興宗教は時間の洗練がない分危険度が高い
答弁がうまいことと正しいことは違う。
昔の人はコックリさんやノストラダムスの大予言を信じ、テレビでオカルト超常現象やオウムを楽しんでいた
答えが出ない問題に答えがほしい人に、うまく答えてあげていた
「自分の頭で考えることを放棄してしまう」信者
問題のある集団、断言したりできないことを断言していないか
オウムの中にも学歴社会はあった
情報を遮断しようという試み -
中高生向けにカルトの怖さを説く。
判断を誰かに委ねることの危険性,「人生の意味」に思い悩むことのリスク,社会への素朴な違和感につけこむ洗脳の手法等をあの大きな事件に基づいて紹介してくれる。
心が揺れ動く思春期に良いワクチンと思う。
↓広瀬健一の体験談。惜しい…
“オウムに出会ったのは、大学院一年生の時でした。本屋で麻原の著書『超能力「秘密の開発法」』を手に取ったのがきっかけです…しかし表紙に麻原の「空中浮揚」写真が掲載されていることに、いかがわしさを感じ、買うのはやめました”p.109 -
最近のニュースから新興宗教やカルトについて、身を守るために知っておく必要があると思い読了。
世代が分かってしまうが事件後に生まれたので、この本を通して初めてしっかりと当時を知ることができた。
なぜカルトにはまってしまうのか。
きっかけは沢山あって、不幸にも出会ってしまいタイミングが悪く入信してしまう。それが恐ろしいと思った。 -
面白くて一気に読み進めた一冊。
どんな人がカルトに取り込まれてしまうのだろうかと疑問に感じていたが、これを読んで誰でもカルトに取り込まれる可能性があるのだなと、元幹部の生い立ちを読んで思った。最初から新興宗教に対して懐疑的な目を向けていたり、立派な社会経験を積んだ人でさえも、一歩間違ったらカルトに取り込まれてしまう、それこそ事故と変わらないもので、だからこそとにかく近づかない、おかしいと思ったらすぐ逃げるなど、関わらないことが一番の安全策であり、これ以上の対処法はないのだろうなとも思った。 -
わかりやすくて読みやすい。たくさんの人に読んでほしい。