ヨーロッパ史入門 原形から近代への胎動 (岩波ジュニア新書 945)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005009459

作品紹介・あらすじ

「ヨーロッパ」誕生以前の古代ギリシャ・古代ローマから、文化的統合体としてのヨーロッパが成立した中世半ば、そして大航海時代、ルネサンスや宗教改革を経て、絶対王政の全盛期である一七世紀末までを俯瞰。まとまりでありながら常に多様性を内包し、個性的なプレーヤーがぶつかり合いながら推進されてきた、その歴史とは?

感想・レビュー・書評

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  • オーディブルで読了。
    ヨーロッパという大づかみな枠ぐみを古代から近世まで一冊にまとめるという中々大胆な一冊。
    ある程度ヨーロッパ各国史を知っている人が復習として読むのには向いていると思う。
    ただ、本当の初心者が読むにはあまりにも圧縮されすぎていて、向かない気がする。

  • 古代ギリシャ・ローマの時代から、宗教改革やルネサンスの時代までのヨーロッパ史が、この一冊でたどられます。一度読んだときは、とりあえず歴史の流れを追うだけで精一杯、という感じでした。

    しかしkindleでハイライトをつけたところをを確認するために、その部分の前後だけを簡単に読み返すと、初読時に考えていた以上に、内容が濃い一冊だったのだと気づきました。そういう意味では、ちゃんと腰を据えて再読すると、より面白みが増す一冊なのではないかと思います。

    ヨーロッパと一言で言っても各国や地域に違いがあり、歴史がある中でどう定義づけ、解説していくか。

    この本では民族や国家の歴史にも触れられるけど、大きな枠組でみると、キリスト教を中心に、以下に国家が作られていったか、という観点から述べられます。

    日本人からすると、宗教と国家の関係性はわかりにくいけど、この一冊でキリスト教がいかにヨーロッパを形作り、ともに巨大化していったのか、ということが実感として分かりました。

    そして国やキリスト教が巨大化していき、統合されていくなかで、ある時を境にヨーロッパの地域内で、そしてキリスト教内でも対立が起こり、政争や戦争が引き起こされる。
    そうしてキリスト教の統合が失われ、各国家が相手を他者と位置づけた時代があり、その次にやってきたのが各国が力の均整によって平和を築こうとする今に近い時代です。

    EUが今も加盟国を増やしているように、ヨーロッパというのは、その時代時代に応じて、多様性を取り込んだり、あるいは他者を作ることで、自分たちの結束を固めたりと、対立と連帯を繰り返して活力が生まれていると著者は語ります。

    その筆者の考えが読んでいるとストンと腑に落ちました。こういうヨーロッパのマインドというものは、また日本人と違うところも多く感じ、その差異が面白いのだろうな、と思います。

    ジュニア新書となめてかかると、歴史に詳しくない自分が読むにはけっこうカロリーの高い一冊でした。でも面白みが分かると、その高カロリーにあう、満足感のある本だったと思います。

  • 正直全部は読めていない。自分に知識が無かったのもあって読むのはかなりきつかった。
    ヨーロッパ文明史はもう少し近代から中世に至るまでざっくりと理解してから調べるようにしたいです。

  • ギリシャ、ローマ世界から中世へ続くヨーロッパの歴史って断片的にしか把握できてなかったね。この1冊のおかげでだいぶ整理できたような。そう思わせてくれる良書だ。西ヨーロッパの神政政治と東の皇帝教皇主義。教皇権と皇帝権の対立というか優先権の争いがあったわけだけど、どういう順序で歴史が進むのかは地域によって異なる。アジアと違って宗教に支配される地域、それがヨーロッパというわけだ。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000055837

  • ジュニアだと甘くみてるとやばい濃密な本。一人で書く通史って大事ねえ。学生様におすすめしよう。

  • 著者は「ヨーロッパというものは第一義的には『文化的概念』」という。そしてその構成要素を「キリスト教の霊性」、「ギリシャ・ローマの理知」、「ゲルマンの習俗」、「ケルトの夢想」とする。ヨーロッパ入門として読みやすく、コンパクトにまとまっているのは良い。しかし、著者の専門外の分野では内容が古い。ミケーネ滅亡ドーリア人原因説、ビザンツ=皇帝教皇主義、テマ制=屯田兵制、これらはいずれも今や否定されている旧説だ。文献案内にある本を読めば、これらの説が通用しないことは明らかになる。その意味で文献案内があるのは良心的か。

  • 近世に入ったあたりから登場人物が増えて羅列されるようになったのが分かりづらかった。
    主旨ははっきりしているし参考文献欄も充実しているので気になるところを読者が深めていくといいかも。

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著者プロフィール

東京大学名誉教授

「2022年 『歴史学の作法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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