ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読 (岩波現代文庫 学術 19)
- 岩波書店 (2000年6月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006000196
作品紹介・あらすじ
「複製技術時代の芸術作品」はベンヤミンの著作のなかでもっともよく知られ、ポストモダン論の嚆矢とも言われてきた。礼拝される対象から展示されるものとなり、複製技術によって大衆にさらされるようになった芸術。アウラなき世界で芸術は可能なのか。近代に訪れた決定的な知覚の変容から歴史認識の方法を探る挑戦的読解。
感想・レビュー・書評
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『芸術と政治』という自分の人生のテーマに、深い洞察を与えてくれる本だった。
なぜ逆にここまで出会ってなかったんだろう。
作者のベンヤミンは、ナチスドイツの時代に生きたドイツ出身ユダヤ人で、フランスに亡命したが、フランスがナチの手に落ちるころスペインに逃げようとしてそこでもナチの手にかかりそうになり、最後には服毒自殺をした。
この時代には写真や映画の技術が栄え、本作『複製芸術時代の芸術』においてベンヤミンは、多岐にわたる考察を披露している。
複製によるアウラの凋落、芸術の礼拝的価値と展示的価値、遊戯。これらのワーディングは、非常にわかりやすい。
そして芸術の検討に普遍的な視座を与えてくれる。
その上で、私はベンヤミンが節々に述べる芸術と政治の問題を深く考えたいと思った。
例えば、ベンヤミンは映画が鑑賞者に対して考える隙を与えないといった話の中では、大衆と映画の関係の近さを示している。
たしかに、単純であればあるほど、刺激的であればある程大衆は影響を受けやすいと思う。現代のフェイクニュースの怖さなどにも通ずるところがあるなと思った。
第二次世界大戦以降最大の安全保障上の危機とも言われる今だからこそ読むべき論考だと思った。先の対戦でどのように映像やメディアが使われていたのかというところも気になる。
私見に偏らず、今後本作でベンヤミンが述べるナチスと映画の関係についてはもう少し精読して理解を深めたい。
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ベンヤミンの複製時代の芸術作品についての解説である。しかし、本文の後に、元本の翻訳もついていることから、1度で2度おいしい、という形になる。翻訳、解説付きで900円で購入できることからお買い得である。
ただし、朝日新聞に書かれていたように、ベンヤミンがメディアは複製である、とした記述は見られなかったので、解釈であろう。 -
解説本として。
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ブックトーク選外。ちょっとわかりにくいかなとおもったし、わたし自身これを自分の考えに組みこんで扱うには力不足をかんじたのでやめた。
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1 テクストの誕生
2 芸術の凋落
3 複製技術というパラダイム
4 アウラの消える日
5 知覚と歴史
6 芸術と政治
7 映画の知覚
8 ミメーシスと遊戯空間
9 触覚の人ベンヤミン
ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」(野村修訳) -
あんまり細かく見てなかった注釈のところにとても大事な記述があったとは、、、
ベンヤミンのミメーシス、面白かった
でも、多木さん、現代としてこれをどう読むか、もう少し広げて欲しかった
ベンヤミンの時代から特に前には進まない、まぁ、精読だから? -
【資料ID: 1117000818】 704-Ta 71
http://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA46998777 -
複製技術の発達により、芸術が礼拝的価値から展示的価値を持つものへと変容する。ダダイズムを評価している。
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古典。
「精読」部分はノーコメント。
原典はいたって普通の本で、何故ここまでありがたがられているのかよく分からなかった。
「アウラ」という手触りをそれっぽくテキトーに記したがために、学者先生とか文化気取りが論じる題材として適当だっただけではなかろうか。