小説太宰治 (岩波現代文庫 文芸 12)

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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006020125

感想・レビュー・書評

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  • 太宰治と檀一雄の青春時代の物語である。解説にもあったが、「小説」と銘打ってあり評伝ではない。二人の青春時代での逡巡と今後の人生に対する決断が描かれている。太宰治は、以前までの生活が清算できずに新しい生活を求めたために自殺せざるを得なかったのであり、檀一雄は清算し新たな放浪の人生を選んだ。本人の表現によるとバッグ一つでどこへでも行く生活である。つまるところ、二人は同じ課題を抱えていたのではないか。私は、ここまで真剣に青春時代を送っていなかった。今からでも遅くないと思う。

    〇太宰の読書について少しばかり述べておく。太宰は平常、机上に書籍を置かないことを常とした。いや、どの時代にも蔵書というものは、ほとんど皆無だったことを私は知っている。一度読んで安心のゆける本は太宰は精読するたちだった。これもまた、旅行と同断である一度読み染んで安心のいった本でないと読まないわけだ。自分から書籍を読み漁ることは決してなく、人に勧められ、納得してから、おもむろに読んでいる。
    〇兼好の徒然草。まあ日本の古典では枕草子と徒然草を繰り返し繰り返し精読していただろう。ただしこれは決して趣味的読書ではなく、いたるところに応用、転化できるぐらいの、全く血肉の読書であった。それから円朝全集。
    〇そもそも人生というものは自分の妄想をいだいて、墓場に急ぐ道程のことだろう

  • 太宰の小説は何作か読んでいるものの、当人については自殺未遂を繰り返した人というくらいしか認識がなかったのでこれを読んでみれば少しはわかるかと思い読んでみました。
    やんちゃすぎる二人の青春のような日々が、なんだか終盤になるにつれて切なくて大切なものだったんだなぁと思わされました。
    ちょっとそれどうなのよ?というような場面も含めて生きている太宰が少しでも垣間見れたので読んでよかったです。

  • 壇一雄から見た太宰治。
    終盤で壇が自分と太宰の生に対する考え方の違いに
    気づく場面が非常に印象深い。
    多少の脚色はあるにせよ、彼ら無頼派の生き様が心に響く。

著者プロフィール

1912年、山梨県生まれ。東京帝国大学経済学部在学中に処女作『此家の性格』を発表。50年『真説石川五右衛門』で直木賞受賞。最後の無頼派といわれた。文壇きっての料理通としても有名。主な著作に、律子夫人の没後に執筆した『リツコ その愛』『リツコ その死』のほか、『火宅の人』『檀流クッキング』など。1976年死去。

「2016年 『太宰と安吾』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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