生キ残レ 少年少女。 (岩波現代文庫 文芸 142)

著者 :
  • 岩波書店
3.75
  • (1)
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 23
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006021429

作品紹介・あらすじ

「生キ残レ少年少女。」はコメのテレビCM制作時のコピーである。「二度と飢えた子供の顔はみたくない」という著者の気持ちがこめられている。「農業は文化である。農業を棄てることは文化を棄てること。文化なき国が栄えたためしはない」。自給率低下、汚染米や毒入り野菜など日本の農と食のひずみを「焼跡・闇市派」の作家が撃つ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今の日本で『飢え、飢える』という経験をするような人間がいるのか?という思いがありましたが、自分自身でそういう経験をした今だからこそ作者の言っていることがわかるような気がします。

    この本はバブルのときに書かれたものなんだけれども、作者は『火垂るの墓』で描かれたとおりの飢え・餓えを経験している。握り飯ひとつを奪い合って親と子が殺し合いのいさかいをする。そんなことがあってはいけない。という切実な内容です。この本のタイトルの元ネタとなったのは、コメのテレビCMのために作ったキャッチコピーからきているのだそうです。

    いわく
    「農業は文化である。農業を棄てることは文化を棄てること。文化なき国が栄えたためしはない」
    このことを野坂先生は徹頭徹にわたって繰り返し、この本の中で言い続けております。思えば戦後の日本はアメリカの政策なのかどうなのか私には定かじゃございませんが。『食べる』ということと、『食べ物』を作るということがずっとないがしろにされ続けてきたわけで。その付けが先進国ではほぼ最低水準の食料自給率を更新しているわけです。

    バブル期の日本はまだお金があったから
    『食糧は海外から金を払って輸入してくればいい』
    なんてことを声高にいう人が大勢いましたけれど、今の不況にあえぐ日本が同じことができるかというのははなはだ疑問なわけで、今、餓死者が出るほど貧困と格差が広がるこの日本で、もう一度この人の言葉に耳を傾ける必要があるのではないのでしょうか?

  • お米値段が気になるようになった。
    資本主義とかそういう話ではない。
    とにかく妹を餓死で亡くした著者の言葉。

  • 09052

  • 未読

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

野坂昭如

一九三〇年(昭和五)神奈川県生まれ。親戚の養子となり神戸に育つ。四五年の空襲で養父を失い、のち、実家に引き取られる。旧制新潟高校から早稲田大学第一文学部仏文科に進むが、五七年中退。CMソング作詞家、放送作家などさまざまな職を経て、六三年「エロ事師たち」で作家デビュー。六八年「アメリカひじき」「火垂るの墓」で直木賞を、九七年『同心円』で吉川英治文学賞を、二〇〇二年『文壇』およびそれに至る文業で泉鏡花文学賞を受賞。そのほか『骨餓身峠死人葛』『戦争童話集』『一九四五・夏・神戸』など多くの著書がある。二〇一〇年(平成二十七)死去。

「2020年 『「終戦日記」を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

野坂昭如の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×