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Amazon.co.jp ・本 (212ページ) / ISBN・EAN: 9784006023249
作品紹介・あらすじ
長年にわたる鬱病がもたらした煩悶、終わりのみえないスランプ、不倫相手との訴訟沙汰、家庭崩壊、自殺未遂、そして違法薬物使用による逮捕……。一瞬の暗転——死の淵より舞い戻り、火宅の人たる自身の半生を小説的真実として描き切った渾身の作。懊悩の果てに光り輝く魂の遍歴。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
さまざまな困難を経た著者の半生が描かれたこの作品は、深い闇の中から生まれた光を感じさせます。過去の苦悩や挫折、そして再生の物語が、著者自身の体験を基にした私小説として展開され、読者に強い共感を呼び起こ...
感想・レビュー・書評
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原田宗典は個人的に思い入れの有る作家である。特別推していると云う訳でも無いのだが、歳の離れた知人に借りて中学生の頃に能く読んだ。
当時の自分は活字の本に全く興味が無かったが此の人の小説やエッセイは楽しんで読めた。我が母校では毎朝ホームルーム前に十分程度の読書時間を設けており、其の際、原田宗典作品には随分とお世話になったものである。
其の数年後に違法薬物所持に因り原田宗典逮捕の報道を朝のワイドショーか何かで観た。以降、原田宗典の新作を目にする機会は無くなり、てっきり文壇を退いたものと許り思っていたが、此の程偶々図書館で本書を発見、手に取った次第である。
十代の頃に粗方此の人の作品は読んでいた筈だが覚えの無いタイトル、案の定逮捕後に書かれた作品らしい。
筆の随に行き当たりばったりに書いてみると冒頭にもある通り、筋らしい筋は無い。
其の名の通り、全篇を通してそこはかとなく死の匂いが漂う。薬物、逮捕、不倫、自殺、堕ちるところまで堕ちた一人の人間の眼を通して死と其れに因り浮き彫りになる生を描いた作品と言えるだろうか。
勿論、此が私小説だとして全てがそのまま作者の体験だと断ずる訳にはいかないが、奈落も失墜も文学に昇華し果せたのなら堕ちた甲斐もあったろう。
作中で知人の赤子を抱く場面では何故か志賀直哉の『和解』を思い出した。彼方は赤子の死を残酷なまでに描写した筈だ。其れが何故か対極のように潑剌たる生の描写を以て思い出される。否、若しかすると両者は同じものを描こうとしているのかも知れない。
自分の生きてきた今日までと此の作品と其の著者の人生は同じ時系列の中で重なり合う。自分の与り知らぬところで彼もまた生き足掻いていたのだと思うと不思議と同志のようにも感じられる。
人生の多感な時期に色々な物語を教えてくれた作家に思わぬところで邂逅したような気分だ。互いの身の上には相応の歳月が降り積もった。お互い、歳を取りましたね。今、此の一冊を読み了えて頁を閉じ、亦暫しの別れとなる。何れまた巡り合う事もあるだろう。其の時を期して死を想うように生をも想ってみようと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高校生のころ、原田宗典がすごく好きだった。高校生の僕は活字をほとんど読まなかったけれど、ほとんど唯一読んだのが原田宗典のエッセイだった。そこから、原田宗典の小説も読んでいた。
でも、大学生になって、少しずつ読まなくなっていった。ちょうど原田宗典が出版を減らしていくのと、重なっていた。その後、原田宗典の鬱病が深刻化したり、逮捕されたりして、その後復活していくつかの作品を書き始めたことも知っていたけど、改めて手に取ろうという気にはならなかった。なんとなく、好きだったころの原田宗典が落ちぶれていくのを見たくなかったのかもしれない。
最近、『メメント・モリ』が、彼のボロボロになった半生も含めた自伝的小説だと知って、興味を誘った。そして読んだ。とにかく一気に読んだ。壮絶だった。
さまざまな経験と挫折と失敗を経て、それでも生きているということを確認して、その弱々しくもしぶとい生命力を確認して、それで満足した。
もしかしたら、十数年間読まないでいるあいだに、若いときに僕が作り上げていた「愛読していた原田宗典」のイメージは風化してしまったのかもしれない。でも、一気に読めたのは、絶望的な『メメント・モリ』のなかに、ほんのわずか、若いときの原田宗典の「おかしみ」が入り込んでいるような気がしたこともあるかもしれない。 -
10代後半の頃に原田宗典の小説をたくさん読んだ。エッセイも面白くてたくさん読んだ。けどいつからか全然小説を書かなくなって、原田宗典の事は忘れかけてた。覚醒剤所持と使用で逮捕されたってニュースを目にしたりもした。たまに10代の頃読んだ小説を引っ張り出して読んだりもした。また久しぶりに彼の事を思い出したらなんと新刊が出ていた。折々の心情やエピソードを散りばめた私小説でとても面白かった。あらゆる出来事を経て今の原田宗典がいるんだな、やっぱり好きだなって思った。10代の頃彼の小説を読んだ時の気持ちを少し思い出した。今の原田宗典にしか書けない小説をもっと書き上げて欲しい。
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色んなことがあったしブランクもスランプもあったが、さすがの文才。ぐいぐい引き込まれる文章はもちろん、決して笑える内容でないにもかかわらず思わず笑ってしまうような原田節も健在。何が現実の話で何が作り話なのか。小説なのか自伝なのか線引きがわからないのがまたこの作品の魅力。メメント・モリ、「死を想え」。才能溢れる方なのでまだまだ頑張って欲しい。
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久しぶりに読んだ原田宗典氏の著作。学生時代にはよく読んでいたものだが、最近は、妹マハ氏ばかり目にするなあと、よく調べもせずに思っていたのだが、なかなか大変な時期をお過ごしでした。
裏表紙の紹介文には「小説的真実」とあるが、単なるエッセイのような話もあれば、小説とも読める話もあり。Wikipediaでは「エッセイ」ではなく「小説」のところにありますね。
とりあえず「どこまでが真実なの?」と思わせるバランスが絶妙で、これぞ小説家でありエッセイストでもある氏の面目躍如か。 -
Amazonのレビューに、じみーちゃんという方が書いたレビューがある。
こんなレビュー書きたかった、と思うほど素晴らしい。この本それ自身より感動した。
優しくて少しばか
2017年10月17日に日本でレビュー済み
大空にあがった凧。風は未来から吹いてくる。
地上とは一本の糸でつながっているだけ。
ただ純粋に美しい。
でも凧から見おろす地上はどう見えるのか?
そんなことが書きたかったと、書かれている。
そんなことは書けたのだろうか。
文体は安定せず、場面も視点もふらつく。
私小説というには、あまりに事実にもたれかかり、
それでいて肝心な部分には虚飾が感じられる。
小説としては率直で企みは見られない。
文学青年として「死の棘」も読んだであろうに、
その状況でカンペールの靴を、素直に喜べるものなのだろうか。
戦場と新しい生命と凧を並べて希望を語る粗雑さには本気で腹が立つ。
枝葉末節だが、「キメ」とか「ネタ」という言葉も、
いったい何を考えて使っているのだろうか。
リアリティか、虚勢なのか、無頓着なのだろうか。
ついでに言えば、「目が縦向き」という恐怖も既視感がある。
もし知らないで書いているのなら、それはそれで驚きだ。
もともとこの著者には甘えがあったように思う。
父に反発し、母に甘やかされ、そのまま大人にならなかったのだ。
デビューしてからも、おおらかな時代、おおらかな読者に支えられた。
彼はクスリに中毒したのでも、心を病んだのでもなく、
他人に依存し、甘え続けることに淫したのではないだろうか。
この作品では、ついに「死」にさえも甘えている。
この安直な書名はなんだ?
才能に恵まれ、若くして評価を受け、
小説も戯曲も随筆もものし、
家庭にも恵まれ、そのうえ恋愛にもことかかない。
友人たちもそれぞれの道で成功している。
しかも、その絶頂で家庭が崩壊
さらに、鬱を得て、死の淵を覗き、
クスリで逮捕までされている。
普通の人間の何十倍もの濃さの人生を経験しながら、
この程度のものしか書けないものか。
でも、それだからこそ、この本は読むに値すると思ってしまう。
どうしようもない人間が、どうしようもない本を、
どうしようもない態度で書いている。
それが、ただどうしようもなく愛おしい。
その愚かさは、すべての人を包みこんで、
どこか別のところへ連れていってくれる気がする。 -
死に想えという題、彼の体験が題材にされていた。
新しい命で終わったのは、よかった
株式会社新潮社 162-8711
新宿区矢来町71 -
これは自伝???予備知識ゼロで読んでクスリのくだりとかほんとならよくぞ生きてるなと(社会的に)
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「生き方」シリーズ。あの「メメント・モリ」かと思ったら全く異なる小説だったが、これはこれで楽しめた。一見普通のサラリーマンが歩む、予測不可能な人生。麻薬、離婚、鬱、交通事故、天災。いつの間にか現実のストーリーではなく、夢の中や妄想の話だったり、過去に戻ったり。どれが「まとも」でどれが「戯言」かもわからなくなる。最後はなんとなくハッピーエンドなのだが、これは本当に現実の話なんだろうかと思わされる全く不思議な小説。
著者プロフィール
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