- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006032388
作品紹介・あらすじ
今西錦司(一九〇二‐九二)は卓越したリーダーシップにより登山家・探検家としてパイオニア的な足跡を刻んだのみならず、学者として生態学、動物社会学、霊長類学、人類学、進化理論などにおいてオリジナルな業績を残し、数多くの優れた後進研究者を育てた。その偉大で自由な生涯を、病身の本田が尊敬と敬愛の念をもって描き上げた力作人物伝。
感想・レビュー・書評
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今西錦司の、北部大興安嶺横断、戦前戦中の最中なんという贅沢かつ危険な、と不思議に思っていた。西北研究所なるものも怪しくどの様な経緯と不思議に思っていたので、本書でその辺りの経緯、ご本人の悪びれなく善悪判断以前というか無関係にスタンスに戸惑いながらもあの時代を夢と希望を持って夢の実現に近い生き方をされていたのは大変に稀有なこと。
川喜田氏や中尾佐助氏など今西錦司グループの方々との付き合いもしっかり書かれて豊富な、側近たちの生の声インタビュー。楽しい。224ページあたりの中尾佐助氏とネパールヒマラヤ旅するくだりが微笑ましく痛快に楽しい。知のレベル、探求のレベル、が、今風にいえば、現在とはレベチな面々で、この一派の書物は研究分野に親しくなくとも、むしろ全くの門外漢で疎くても面白くあっという間によんでしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「山と渓谷社」で連載されたものですから、今西錦司氏の学者としてのお話ではなく、90%は「山」の話です。
でも、今西氏の「山」を語らないでは、氏の「学問」への理解度が減少するかもしれないなとは思わせてくれる。
自然科学から自然哲学へ、それが西田哲学にも繋がっているということも、氏の「山」にかける人生から当然のように出てくるのかもしれない。
とてもよくできた評伝だと思う。