- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022501509
感想・レビュー・書評
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津原泰水作品の中で、絶版かつ文庫化もされていなかったSF作品をようやく読めた。テイストとしては少年トレチアの系譜にある少年のジュブナイル伝奇SFだけれど、設定の壮大さと意外とコンパクトなページ数が見合っておらず、正直ちょっと消化不良だったかも。
未曽有の災害後、人間がモンスター化する謎の現象に見舞われた世界。横浜あたりとおぼしき水没した都市のあとに造られたQ市の海上都市アクアポリスで暮らす少年タイチは、Jという陰陽師の末裔で白髪年齢不詳の謎の女性と出会い、アクアポリスにまつわる陰謀に巻き込まれていく。
牛鬼だの濡女だのという和風のネーミング、アクアポリスの設定など面白いんだけど、言葉だけが先行して、具体的なイメージがしづらく、全貌を読者が把握できないのが難。先にも書いたようにページ数が足りていないのか、終盤かなりのご都合主義展開となり、結局タイチがなぜ選ばれたのかもよくわからなかった。
感触としてはティーンエイジャーむけライトノベル。いつか大人向け大作としてリライトしてほしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
海上都市アクアポリスに現れた不思議な少年、巨大生物との出会い。それから数年後、謎の女性Jと出会い、巨大な事件に巻き込まれていく。
設定の説明があまりないので、想像も含めて色々補わなければならず、そこがモヤモヤするところでもあり、いいところでもあり。Q龍の空気なんかは本当に魅力的。が、結局よくわからないまま終わった感はある。 -
SF。ファンタジー。
水上都市を舞台にした近未来SFに、妖怪(?)ものの怪奇小説ぽさもあり。さらに、学園、青春、アクションも追加したジャンルミックス作品。
ストーリーは王道だと思うが、世界観が最後までよく分からない。さすがに説明不足では?
想像が追いついたら面白そう。 -
津原泰水さんの本はまだ「綺譚集」などの幻想小説(でいいのだろうか…)しか読んだことがなかったので、こうしたSFチックな話は新鮮。
SFというと何となく未知の技術にカタカナの用語が沢山でてきて何もかもオートマティックで...というイメージを持っているのですが、この物語には廃墟や陰陽道、妖怪・伝承といった土くさい要素がかなり盛り込まれていて、この新旧が融合した空気がたまらなかった。
高層ビルが建ち並ぶ都会で小さな祠を見つけた時のような、思わずドキっとしてしまうような素晴らしいアンバランスさだと思う。
見返しのイラストがネタバレになりそうでならない絶妙なラインで描かれていてまた素敵。 -
近未来…アクアポリスと言う人工の浮島を守る話。
設定は子供の頃に思い描いていた未来的であるにも関わらず、陰陽師や牛鬼、濡女など古典的な要素も含まれていて面白かった。最後の方、終わらせ方が若干早急だったように感じた。敵が不明確に思えたのは私の理解力不足か…。 -
カバー写真:伊奈英次
見返しイラスト:寺田亨 http://toruterada.exblog.jp/
装幀:鈴木成一デザイン室
トリプルズ:SSS
PP(パーソナリティペーリング):人格稀薄化
モンスターレーション:怪物化
ペール:稀薄者
エンプティ:空虚者
ルーラ:憑依体
イオ・ミヒ:黄泉 -
大好きな伊坂幸太郎さんがお薦めされてて、それはまた別の作品なのだけど、それをきっかけに今回読んでみました。
今作は海上に浮かぶ五角形の人工都市アクアポリスを舞台にしたSF小説でありながら、陰陽師や悪魔祓いのような要素も出てきます。
この世界だけの固有の名詞や社会制度が説明も少なめにどんどん出てくるので、混乱しながら読んでましたが、主人公タイチが自分の成すべき使命に立ち向かう辺りからグッと引き込まれました。
他人の才能への嫉妬や落胆、自分の身をも差し出す正義への衝動、記憶の中だけの父親や気安い友達、煩わしくも温かい家族への思い、タイチを通して描かれてる感情の全ては思春期の男の子の共通の感情だと思います。
特殊な世界観を舞台に、そういった普遍的な感情を描いたところに共感しました。 -
わけがわからないよ!