極北ラプソディ

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022509208

作品紹介・あらすじ

赤字建て直しをはかる世良院長、目前の命を必死に救う救急医の速水、孤島の診療所の久世医師の姿をとおして、再建の道をさぐる。『極北クレイマー』に続くメディカル・エンターテインメント第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 地域医療の問題。
    行政との絡み。
    道州制。

    等を取り上げながら、人間模様、

    あの速水、世羅と花房さんが。

    今回の影のヒーロー 越川さん。

    最初は淡々と、後半は急ピッチで展開していきます。

    極上の医療エンターテインメント。
    海堂ワールドはどの作品もつながっています。
    今 出版されているものはすべて読んでいるので、とっても面白いです。

  • 海堂尊の医療エンタテインメント。
    「極北クレイマー」の続編。

    大赤字を抱えて破綻した極北市。
    極北大から非常勤外科医として極北病院に赴任した今中医師だったが…

    今は、極北市民病院の副院長となっているが、無気力になりがちな日々を送っていた。
    市民病院の良心だった産婦人科の医師が告訴されて、いなくなってしまったのだ…
    新任院長の世良の方針で、もはや医師は二人だけ。
    救急を引き受けず、すべて隣の雪見市にある極北救急センターに回すという方針を徹底したため、他の患者もほとんど寄りつかなくなっていた。
    看護師も減ったが、車で訪問看護に回っているので、彼女らは結構忙しい。
    さらに今中には、提出した博士論文が落ちたという通知が来て、がっくりする。

    世良院長に引きずり回されながら、極北市の抱える問題を突きつけられる日々。
    極北市は巨大な赤字を抱えていたが、実は病院はそうでもなかったという事実。医療費未払いが大きな問題だったのだ。
    強引さについて行けないものを感じつつも、はらはらして見守る人の良い今中だった。

    極北市民病院が断った患者が、路上で倒れ、雪見市に搬送されたものの間に合わず死亡するという事件が起きた。
    非難に晒される世良。
    頭が切れて口先が上手いので、会見では煙に巻くが、批判が完全に消えはしない。
    今中は、救急センターの支援のためという理由で、雪見市に派遣される。

    そこは、あのジェネラルルージュこと速水医師がいる病院。
    ドクターヘリが活用されている現場に飛び込んでいく今中。
    最初の時には、患者の家族を乗せるために、今中は現地に置いてきぼりになってしまう。これは新人が必ず経験することなのだそう。
    ヘリは短時間で患者の元へ駆けつけられるのですごくカッコイイのだが~天候不順だとフライト出来ないこともある。
    その判断をするのがCS(コミュニケーション・スペシャリスト)の越川。地上でヘリと救急隊、管制塔との連絡をする係で、これも重要な職務なのだ。
    熟練パイロットの大月と、越川の間には、信頼関係があり、この二人は良いですよ~。

    速水はヘリには乗らず、「自分の所へ患者を連れてこい」という~傲慢だけど、その速水の態度もわかります。
    ここの描写は活気があって、市民病院での状況と好対照~わくわくします。

    「ジェネラルルージュの凱旋」は読んでおくか、あるいは、さかのぼって読んでも良いかも。
    花房看護師長もちゃんといるのだが、二人の仲は意外な…?!

    世良の語る構想に、衝撃を受ける今中。
    癖のある世良が、神威島で見せた素顔とは…
    なかなか面白かったです。シリーズ中、良い方に入りますね。何番目かなあ…

  • 海堂さんの医療小説「極北ラプソディー」です。

     読み始めて分かった。コレは「極北クレイマー」の続編にあたるらしい。ああ、何でコッチから読んでしまったのか・・・と思いつつも、海堂さん得意のエンタメ的な面白さに、止まらなくなりました。ジェネラルが登場して驚かされます。

    極北編と呼ばれている、北海道のへき地医療に関わるシリーズだそうです。

     舞台は、財政再建団体に指定された「極北市」と言う仮想の街で、赤字を立て直す「極北市民病院」
    今中先生の視点で、地方の医療の在り方が描かれています。と言っても、過疎とか暗い話ばかりでは無い。地方でありがちな、利権を貪り続ける組織と、地域を立て直そうとする医師達の話です。

     私は、九州の田舎で育ちました。今は人口200万の都市で生活するようになり、親や自分の年齢から“医療”と言うものを意識するようになると、その格差に驚かされます。早い話、都市部では治る病気も、地方部では直す事が出来ない。単純に、ガンの早期発見だけでも何とかならないだろうか・・・

     話戻って、

     「ジェネラル」と呼ばれる副センター長の速水医師は、あの「ジェネラルルージュの凱旋」の東城医大救命救急センター部長だった、あの血まみれ将軍です。相変わらず、チュッパチャップスくわえています。同じく、救命救急センターの花房師長も登場します。
     改めて、「チームバチスタの栄光」から繋がってるシリーズだと言うことを認識。
    小説内に『アリアドネの弾丸』『ナニワ・モンスター』リンクする場面があるらしいのですが、私は未確認。

    医師で、医学博士の海堂さんが描く医療小説は、いつもノンフィクションのように感じます。

    海堂さんの医療小説、時系列を整理して読んでみたいと思います。

  • 極北クレイマーで破綻した極北市民病院にやって来た世良雅志。東城大学オレンジ病棟から左遷され、極北救命救急センターにやって来た速水晃一。片や病院再建のために救命患者を拒み続け、片や患者の命を救うために一戦を踏み越え続ける。医師として患者に向き合うスタイルは180度異なれど、向き合っていた二つの肖像が合わせ鏡の中でぴたっと重なり合うかのような風景はまさしく「東城大の血脈」だろう。その中で、平凡な医師である今中から垣間見える視点は、どことなく常に高階、白鳥、速水、彦根といった天才肌のキャラに巻き込まれて行く田口との視点に似ている。そこがまた面白かった。

  • 速水先生が居るだけで熱く読めるので点数も甘くなります。
    ほんと大好きです。

  • ジェネラルルージュがまさかの失…女は恐ろしい。雪山ではあんなに…まあ、世良も本当はいい奴だからね。今中も最後に見せ場があったし。桜宮サーガは、本当に感情移入してしまいます。

  • 医療不毛地?それとも医療改革最先端の地?

    【内容】
    「極北クレイマー」の続編。
    他の話の主人公、世良が今中を引き連れ、病院再建に乗り出す。
    二人の間はいまいちうまくいってないかもしれないのは、今中が頑張ってたことを世良がホゴにしたからか。
    スリジエセンターの頃と違い、今の世良には怖いものはなく、傲岸不遜さがある。
    そして、ここにはアイツもいる。辺境ではなく、中心なのかもしれない。
    ちょっとだけ西野も登場。
    後半は救命救急センターのドクターヘリがメイン。

    【感想】
    スリジエセンターのラストでの世良に関する記述の片鱗はまだ見えない。これから大きく動くのかもしれない。どうなるのでしょう?
    (2013年12月23日読了)

  • スリジエを読んでいる途中に、図書館の返却期間の関係で先にこちらを読んだ。

    私の中で、世良先生は数年前から気にかけてきた人物。研修医時代、ブレイズメス、極北クレイマーでの再登場、そしてスリジエ時代、そして、このたび極北ラプソディーで。
    速水先生も世良先生も、一人社会に戦いを挑んでいるようにみえて、実は見守り、引き止めたり、突き放したりしながら、力をかしてくれているよき理解者がいる。


    いつもの海堂シリーズよりも、一人一人の登場人物が丁寧に描かれているという印象。そして、海堂さんもまた、人間に向ける視線が優しい。きわどい問題をテーマにしながらも安心して読めるし、読後感が気持ち悪くないのは、医療関係、またはそれを超えた人間への優しさか。
    痛烈な批判や問題提起ばかりの文章ならだれでもかける。

    全然エリアはちがうけど、重松清さんの、人間への優しさと通じるところがある。



    それにしても、花房師長のポジションはずるい!

  • 週刊誌に連載されてたとあって、数ページに一回なにか起こったり、不安を掻き立てられられたり、前作同様に読むのに疲れました。けどジェネラルも登場した後半は展開も早くてどんどん読めました。
    それにしても、惜しい…ハヤブサさん。今後ジェネラルを動かしやすくする為かしらとか思ったり。嘆いてもしかたがないですが…。
    アクロバット・フライトの章は名場面として心に刻みましたよ。せつないなーもー!
    てか、そろそろ海堂せんせの世界、人物を覚えられなくなってきました。久世先生とか、どこかで聞いた気がするのですが思い出せません。復習しないと!

  • 前回の極北クレイマーを読んでから時間が経ち過ぎて思い出すまでに時間がかかりました

    毎回色々考えさせられる
    そして考えなきゃならない

    ラスト、ジェネラルが寂しかったよー
    花房師長のこと好きだったんでしょ


    医療を蔑ろにする国に未来はない
    皆がそれなりに責任を負わなければ
    責任のなすりあいは国を疲弊させるだけなのに
    誰かを想い誰かの為に
    「情」はどこへいってしまったのだろう
    文化が違うのだから、上辺だけ欧米化しても歪がでる

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著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。医師、作家。外科医・病理医としての経験を活かした医療現場のリアリティあふれる描写で現実社会に起こっている問題を衝くアクチュアルなフィクション作品を発表し続けている。作家としてのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)をはじめ同シリーズは累計1千万部を超え、映像化作品多数。Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念提唱者で関連著作に『死因不明社会2018』(講談社)がある。近刊著に『北里柴三郎 よみがえる天才7』(ちくまプリマー新書) 、『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』(宝島社)、『奏鳴曲 北里と鷗外』(文藝春秋) 。

「2022年 『よみがえる天才8 森鷗外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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