目白雑録5 小さいもの、大きいこと

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著者 : 金井美恵子
  • 朝日新聞出版 (2013年9月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022511171

作品紹介

【文学/随筆】3・11の震災後の2011年6月号より「一冊の本」で連載されたものをまとめた本書。宮沢賢治から岡本太郎、広瀬隆…など震災直後に注目を浴びた人物、言葉に関しての違和感を冷静に分析、稀代の批評眼をもつ著者が斬りまくる。

目白雑録5 小さいもの、大きいことの感想・レビュー・書評

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  • 先に「新」の方を読了してしまって、これはちびちび読み進めていたのだが、とうとう終わり。実に密度の濃い文章で、癖になる。

    いつも不思議でしかたがないのだが、金井さんに限っては、自分のお気に入りの作家や芸能人をその鋭い舌鋒でメッタ斬りにしていても、どういうわけかイヤな気持ちがしないのだ。うむー、そういう所はあるかも、などと納得したり、あまつさえ笑ってしまったりする。今回はなんと、私の崇敬する萩尾望都さまが俎上にのせられていて、ひぇー、これはさすがに辛いなあと及び腰で読み始めたのだけど…。

    取り上げられているのは、福島の原発事故の後描かれた「なのはな」。金井氏は、プルトニウムを「マリリン・モンローやレディ-・ガガのような」美女として擬人化したことについて、その認識の曖昧さやずれを指摘している。詳しい内容は省くが、これは言われてみればなるほどという思いで読んだ。

    萩尾ファンとしては、あの状況下で萩尾望都が原発を題材に描いたこと、黙っていなかったこと、それ自体が胸迫ることで何が何でも支持するという気持ちであり、作品の出来不出来は二の次三の次だと思っていた。それは今でも基本的に変わらないが、一方で、「やむにやまれぬ思いで描いたものだから完成度は低くてもいい」という受容のしかたはやはり間違っているのだろうとも思う。つくづく「批評」というのは厳しいものだ。その容赦ない眼に耐えて創作することもまた。

    それにしても、「少女マンガ、つまり子ども向け」と書いてはばからない文章を抵抗なく読めるのは何故なのか、まったく首をひねってしまう。また、レディー・ガガについて分析したくだりは、思わず膝を打つ鋭さで、これだから金井美恵子を読むのはやめられないのだと思った次第。


    ・震災後大合唱された「絆」とか「心を合わせて」とかいう言葉に対して、違和感を語る人も一定数いたと思うが、「雨ニモマケズ」の「気持ち悪さ」について言及したのは筆者以外に知らない。まったく、宮沢賢治は今や聖者のごとく批判が許されない感じになっているなあと気がついた。

    ・「『ジェロニモ』と『アルカトラズ』」という章で、サンフランシスコ沖のアルカトラズ島には、70年前後にインディアンの青年たちによって抗議の占拠をされた過去があったと知り、驚愕。全然知らなかったよ。去年観光客としてノコノコ行ってきたけど、どこにもそんなこと書いてなかったと思う。遅ればせながら調べることにする。

    ・本書一の毒舌炸裂箇所は、円地文子「私も燃えている」をバッサリ斬った次のくだりではなかろうか。返す刀で斬られているのが…。
    「単純で読みやすい文学的メロドラマ文体で書かれた円地の小説を読了するため息の出るような困難さは、私にとって、村上春樹のポルノまがいの幼稚な青春小説を読む困難と疲労感に似ていたと言えるだろう」 参りました。

  • 相変わらずの毒舌っぷり。これが好きで読んでいるのだが、もうほとんどの人をけなしまくっている。こんな人がそばにいたら、恐ろしいし、そばにいなくても同じ業界にいたら…
    そこまで言わなくてもと思うことは多々あるが、ごもっともと思うことがほとんどで、ぼーっとしていては全く気付かない矛盾や欺瞞をどんどん指摘してくれる。


    ちょうど、東日本大震災直後からの連載で、それに関しての同業者の言説を斬りまくっている。
    他人の言説を批評することで、自分の立ち位置、考えを表現している表現者なのか。

    それにしても、震災、原発事故から5年。あの熱さはどこに行ってしまったのか。日本という国があの震災で目を覚まし、反省し、生まれ変わるのではなかったのか。次々再稼働されていく原発。多分、国民の大部分は、あの日のことを忘れていないはずなのだ。それなのに…

    故郷に足を踏み入れられなくなった人が何万人もいて、仮設住宅で今も住む人が何万人もいて、どうして東京オリンピックで盛り上がれるというのだ。

    本の感想からはずれてしまった…

  • 知っている人が面白かったと感想を述べていたので買って読んでみた。

    まだ読んでいる途中だけど、話の途中で「そういえば」とテーマが変わるし、一文が長いし、人の発言の批判はあるけど著者の考えがなんなのかは分からないし、読んでいてとても疲れる。

    人は自分より深く考えている人の考えが理解できないとか、IQの数値が離れすぎているとお互いに理解できないとかいうけど、私も著者の考えが理解できない程度の知性しか持ち合わせていないということか。

    もう少し我慢して読んで見るつもりだが、途中で挫折する可能性が高い。

    追記
    1/3ほどまで読んだが他の本を読みたいので続きを読むのを諦める。残念ながら私には面白いとは思えなかった。

  • 震災以降の、なにかモヤモヤする、でもそれを言ってはいけないという圧迫も同時に感じていた違和感が、解明されて霧が晴れた感じ。たっぷり「溜飲下がった」感。
    こんなこと言っちゃって怖くないのかなーとか、でもこれを言えるのはこの人だけーとか思ってしまいます、凡人としては。

  • 『目白雑録』5巻。
    金井美恵子は倉橋由美子と同様、吉田健一の影響を受けた1人だが、エッセイを読んでいると蓮實重彦の影響の方が強いのでは? という印象を持つ。小説の文体はまた違うのだが……。
    そういう意味では常に端正な散文を書いた倉橋由美子とは対照的。
    2011年の連載なので震災絡みのテーマが多いが、映画の話題も数多い。

  • もう5冊目かぁ、、、全然読んでません。。。

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    「3・11の震災後の2011年6月号より「一冊の本」で連載されたものをまとめた本書。
    宮沢賢治から岡本太郎、広瀬隆…など
    震災直後に注目を浴びた人物、言葉に関しての違和感を冷静に分析、稀代の批評眼をもつ著者が斬りまくる。」

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