偽恋愛小説家、最後の嘘

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.40
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本棚登録 : 246
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022517951

作品紹介・あらすじ

編集者・月子は担当の恋愛小説家・夢宮宇多との恋と仕事に悩んでいた。そんな折、恋愛小説のベストセラー作家・星寛人が自宅マンションの屋上で死体となって発見される。しかも、死亡推定時刻に屋上は施錠されているという密室状態で、真夏であるにもかかわらず死因は凍死だという。犯人はどうやって星を殺害したのか? ネットでは「犯人は雪の女王」との噂が囁かれる一方で、SNSには彼が期せずして「最高傑作」と言い残した新作短編の一部が連投される謎の現象も発生する。星の内縁の妻・長崎愛璃と月子の友人・浜岡有希が意味深な会話をしている現場を目撃し、彼女らが共犯者である可能性を疑う月子に、夢宮からメールが届く。〈雪の女王の正体はわかったかな?〉――殺人事件の犯人は誰なのか? 「最高傑作」とされる短編の本当の作者は誰なのか?「アナと雪の女王」のベースとなったアンデルセンの「雪の女王」の読み解きから、夢宮は真の犯人を突き止めていく。

感想・レビュー・書評

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  • なかなか興味深い結末だった。
    夏に凍死というぶっ飛んだ設定を持ってきたけど凍死が肝なのではなくそこから雪の女王につなげるためのものでトリックよりも背景に重きを置かれたミステリのような恋愛小説。
    この作品に出てくる作家がまさに書くような作品

    2022.1.22
    9

  • 最終回?の割になんか締まらなかったなぁと思ってしまった。森さんのいつも通りの物語の解体は面白かった。自分自身、読みやすいミステリ自体そこまで好きではないからちょっとあっさりしすぎたのかも。途中まで読むとなんとなく展開が見えてきてしまった。真夏の凍死って言うから、もう少し派手なのを期待していました。ミステリって難しい。

  •  今回の童話のテーマは「雪の女王」。そして、夢センセと月子のコンビも解散かと思ってましたが「最後の嘘」にそんな仕掛けがあるなんて、素敵なラストでした。

     事件の方は切ない展開でしたが、月子の英断が格好良かったです。
     このシリーズも好きなので、続編読みたいです。

  • このシリーズ、やはり読みやすくて面白い。
    おとぎ話の解体だからかしら。
    とても楽しく読みました。

    犯人も真相も切なかったけど、センセと月子ちゃんの関係性だけが救いのようでしたね。

    それにしても雪の女王、うちに絵本はあった気がしたけど、ちゃんと読んだ記憶がないので気になりました。今度読んでみようと思います。

  • 編集者・月子は担当の恋愛小説家・夢宮宇多との恋と仕事に悩んでいた。

    そんな折、恋愛小説のベストセラー作家・星寛人が自宅マンションの屋上で死体となって発見される。しかも、死亡推定時刻に屋上は施錠されているという密室状態で、真夏であるにもかかわらず死因は凍死だという。

    犯人はどうやって星を殺害したのか? ネットでは「犯人は雪の女王」との噂が囁かれる一方で、SNSには彼が期せずして「最高傑作」と言い残した新作短編の一部が連投される謎の現象も発生する。



    これ、続編の最終章だったんですね…あらすじは読んだけど、まさかの最終章だとは思わず。ちゃんと確認すれば良かった。


    小説家との恋と仕事に悩んでいる月子ちゃん。編集という仕事って、よく知らないけど大変だよね。外部編集者の糸里さんには、「よくこんなでOKが出たね」と嫌味を言われるし、有名作家がSNSで呟いた短編集を探すために、編集長からは無理難題言われるし、月子ちゃん本当に大変だったね。



    まぁ、真夏なのに凍死した作家と遺された短編集の行方、そして「雪の女王」に隠された本当の話と今回の事件との関係。なかなかだったけど、どうしても最終章から読んでる私は、なんとなーく置いてきぼりになってる感があって仕方なかった。まぁ、かくにんしない私がいけないんですけどね。



    まぁ、月子ちゃんと夢センセがなんか少しいいかんじになったのは良かった。月子ちゃん頑張ったしね。



    2023.7.29 読了

  • 童話・雪の女王になぞらえた殺人事件を紐解いていく小説家と編集者。
    事件を通して月子と夢センセの思いがゆっくりと雪解けていく終着点にあたたかさを感じました。同時にふたりが歩み出したその先の物語も気になる。一歩踏み出したふたり、見たいなあ!
    登場人物の関係性だけではなくミステリ要素もある内容で、物語の裏の裏まで緻密に考えられている作品。この物語にも森先生の裏のお話やメッセージがあるのかなって思わず深読みしちゃう。それくらい童話の設定を丁寧に分析されていて実際の童話も読みたくなっちゃった!
    恋愛ミステリ、素敵な分野です。

  • 偽恋愛小説家シリーズ。真夏のマンションの屋上で凍死したベストセラー作家の事件の謎。そして最高傑作とされるその遺稿を巡って繰り広げられる駆け引き。アンデルセン「雪の女王」の解釈を取り入れた物語には恋愛要素もありますが、やはり惹きつけられるのは謎要素ですよねー。
    編集者としての自分を模索する月子と、夢宮とのもどかしい関係性。そして夢宮の意味深な発言といい、これはもう完結編まっしぐら? 事件を巡っての各登場人物たちに秘められた謎といい、事件の影にあった秘められた物語といい、派手さはないもののぐっと惹きつけられます。真夏の凍死、ってので派手なトリックを期待したものの、それはなかったけれど……いやいや、そういうトリックメインじゃないですものね。
    ああそれにしても、夢宮の小説は読みたいですね本当に。ロマンティックな出だしからバラバラ死体を発見……めっちゃ面白そうじゃないですか!(笑)。

  • とある有名な恋愛小説家が真夏の朝に、凍死体として発見された。死ぬ直前に、傑作が出来たと編集者達を騒がせていたにもかかわらず…。各出版社が、こぞって原稿資料を探す中に月子も加わっていく。

    月子が編集者として成長している事が分かるし、月子の思考が夢せんせいに似て来ているように思った。事件を解く鍵は、アンデルセンの『雪の女王』。今回の一冊で、1番好きな童話が取りあげられてて嬉しかった。

  • 雪の女王か、むかーしむかし読んだけど、どんなお話だったかな? もう一度読んでもいいのかも。

  • 最後の噓…いくつもの噓がそこに重ねられていた。嘘が暴かれて悪かった人と良かった人と。そんなに簡単に潔くあきらめないで!と思う。やっぱり切ない。
    今回の「雪の女王」の解題も面白かった。創世記と重なるところ、違うところ。視点が変わることによって自動的に隠される場面。うろ覚えの童話をまた読み返してみたいと思った。
    最後の「これからなのだ。これからなのだ。」2回続くのが印象的。月子が改めて自分に言い聞かせているようでもあり、夢センセと月子がそれぞれの行方を見ながら呟いているようでもある。明るい終わりが良かった。

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著者プロフィール

1979年、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。ライターとして漫画脚本などを手掛けながら小説の執筆活動を続け、『黒猫の遊歩あるいは美学講義』で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞(早川書房刊)。同作は続刊も刊行され、「黒猫シリーズ」として人気を博している。ほか、『名無しの蝶は、まだ酔わない』(角川書店)の「花酔いロジックシリーズ」、『ホテル・モーリス』(講談社)、『偽恋愛小説家』(朝日新聞出版)、『かぜまち美術館の謎便り』(新潮社)などがある。

「2021年 『使徒の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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