東京の肖像

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022561848

感想・レビュー・書評

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  • 東京は眠らない街だ。眠らないというのは開発が現在進行形という意味だ。





    今回の本は1991年に発行された古本だが、2023年に読んでも興味深い。




    「他の都市と違い、巨大化はまだ進行している最中なのだ。東京の拡大はこの一世紀間続いているが、それがもっとも激しくなったのは戦後である」




    著者はこのように述べている。



    そう言えば、明治時代以降、丸の内など開発しているなあ。




    世界に例を見ないとしているのが、私鉄各社が建設したデパートだ。




    西部池袋店を例に上げている。



    食品フロア、カルチャー・センター、趣味人のための創作講座、スポーツ館、書店、美術館などがひしめきあっている。




    「私鉄路線を上下する金銭と商品の流れに支えられた西武のようなデパートの繁栄ぶりは、この15年間めざましいヒヤクをとげている日本的生活様式を動かす、もっとも大きなかくれた要因のひとつであり、デパート側ではこの動向を注意深く育てあげてきたのだ」とも述べている。




    かつてはデパートが主要ターミナル駅の娯楽施設だったので光り輝いていた。




    しかし、今では西武百貨店池袋本店はどうなるのか先行き不透明という、百貨店業界の置かれた状況がある。




    「魔法のかかった城」という章では、あの城に注目している。



    城と言ってもまだ「夢の国」がない時代で、しかも天守閣のあるお城ではなく、「大人の城」という言い方がふさわしいラブホテル。




    令和になると若い女性の間で本来の目的ではない利用をしたり、独特の内装に興味をひかれて注目を集めている。




    周囲から空中浮遊できるくらい浮いている外観は驚くばかり。




    「しかしその規模は前より大きく、空想はより大胆になったとしても、そこにはずっとつつましい野心しかなかった。外界との交わりではなく、想像力がただよう事のできる環境のなかで、まったく日本的な関係の成就がめざされるだけなのである」と述べている。




    結局、あのお城の中に入る男女の頭の中は、「つながるコミュニケーション」しかないからなあ。

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著者プロフィール

イギリス『インディペンデント』紙の外国特派員およびコメンテーター。1991年はじめてビルマを訪れて以来、身分を隠し何度も取材に訪れた。アウンサンスーチーには2002年の解放時にインタビューをおこない、2011年に再会している。日本滞在経験があり、Tokyo: the City at the End of the Worldという著書もある。

「2012年 『アウンサンスーチー 愛と使命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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