大人の友情

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022579911

感想・レビュー・書評

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  • 臨床心理学者としての河合先生の言葉、見解というよりは、1人の大人(分別、善悪をよくわきまえた)として、思い、考えを述べているような文章が、とても読み易く、共感出来る部分が多いですね。

    結局、友情には決まったカタチがない、というニュアンスがところどころに散りばめられていて、河合隼雄先生という人間味がとても良く現されてる作品だと思います。

    また、何度も読み返したいですね。

  • 心理学やばかりでなく文学の勉強にもなって良い。せわしない生活を送る中、こういう本をのんびり読むのは心の療養。

  • 前半はやや堅いスタンスで始めた連載が、徐々にこなれた、くつろいだ雰囲気に変化してゆくのが面白い。この本が出た2年後に他界なさったかと思うと、病魔など感じさせない明朗さが、読んでいて切なかったりする。

  • 「やさしさ」は死すべき者の自覚/自立している人は適当な依存ができてそのことを認識している人である、友人関係の場合も互いに依存したり依存されたりしつつ、そのことの認識の深さによってその自立性も高まる/ 2009/6

  • 臨床心理学者で宗教や哲学の思考を重ねる作者の本なので漠然とした期待と親しみを持って読み始めた。
    読み易く衒わない論調のエッセイで共感することが多く爽快な読後感に包まれた。
    普段の人間関係で気になることの多い、よくあることを専門的見地から易しい言葉で誠実に解き明かす。
    友人とは「夜中の12時に、自動車のトランクに死体を入れて持ってきて、どうしようかと言ったとき、黙って話に乗ってくれる人だ」とユング派の分析家アドルフ・ブッケンビュールの祖父が言う、から始まる。
    友人関係は「虫が好かぬ」「馬が合う」の如く無意識的なものであり、直接的な利害関係や意識的打算とは重ならず、地位・財産・名声でもなくお互いに存在を認め合っているというそのもの。友情を支えるものは目的でも理想でもなく「お互い、生きててよかったな」というもの。青山二郎が対談で親友の小林秀雄を泣かせてしまう話は印象的で、どんな人であれ心の深層は闇の世界であり、関係が深くなることは、その人の影の世界も知ることでそこに触れられるとあの小林でも涙を流すということだ。
    丸谷才一の出淵博に対する弔辞も凄い、「故人に対する深い感情が示されつつ、文学者らしい抑制がきいていて、生の感情によって他人の心を騒がせない節度が守られている。」と抑制・節度が心を打つ、と言う。
    「ついにゆく道とはかねて聞きしかど きのうけふとは思はざりしを  伊勢物語」を「‥‥聞きしにまさるこの花道ぞ  隼雄」と読み替えて、死について白洲正子と語り合う。
    お互いの距離について、調節や操作にそれほど気をつかうことなく、相手と共にいる、あるいは「あの人がいる」と思うだけで、ほっとできるような関係がひとつでもあれば、その他の付き合いは楽になるであろう‥‥「自立している人は、適切な依存ができてそのことをよく認識している人である」等々身につまされて納得できる言葉が続く。
    田辺元と野上弥生子の友情を通した晩年の恋愛の話も秀逸だ。彼らの和歌の遣り取りは一流の繊細さで展開され、感情の逸脱を防ぐ「断念の構図」がある、と言う。
    付き合いや裏切り、贈り物とお返し、ホモの話、関係の踏み込み等々いろいろなことを俎上にあげて思考し無駄のない的確な言葉での表現は流石である。
    人生経験を経てこそ、しみじみと共感できる内容であり受け止める人の考えの深さによっても印象は異るであろう。
    道徳の教科書のようであった。

  • 図書館本。人間関係は適度な距離間がすべて。それに尽きるのだろうなと思いました。とにかく息子たちには、子どものころからあらゆる人間関係を経験して、免疫をつけておくことが大切だよ!と教えていこうと思います。

  • 大人の人生論的な感じの本。
    いまいちピンとこなかったので、もう少し大人になってから再読しようと思う。

  • ちょっと抽象的な表現が多すぎていまいち印象には残らなかった。
    人間関係って難しいね。

  • 12/17

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