クビライの挑戦: モンゴル海上帝国への道 (朝日選書 525)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022596253

感想・レビュー・書評

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  • 著者のモンゴルものを集中して何冊か読んだが、個人的な興味関心が重なり、手もとにおいておくなら、一に「クビライの挑戦」、二に「モンゴル帝国の興亡」かな、と思った。/クビライ幕府のブレイン:バアトルらジャライル国王家、コンギラトのオチン、ナチン、イキレスのデレゲイなどの五投下、クル・ブカ、タガチャルなどのモンゴル将官。個人の参謀としては、ウイグル人廉希憲、エルチン、女真族の趙炳、趙良弼、粘合南合、漢族の劉秉忠、姚枢など。/何人かさらに調べてみたい。/若きティベト仏僧パクパは、クビライのもとで、華北・ティベト両地域にたいする宗教権威の道をたどりだす。儒者、旧西夏国人高智耀は、モンゴル、ティベト、中華いずれにも通じ、カメレオンのような複雑怪奇な独特の政治・文化活動をくりひろげた。/どうしてクビライとそのブレインたちが営々としてつくりあげた国家と経済のシステムは、こうまでもろくもくずれさったのか。たとえ、あまりにも人知を超越した異常な「大天災」がつづいたにしても。それをひとことでいえば、早すぎたのである。(略)それらの構想のほとんどは、時代をはるかに先どりしていた。その多くは、ずっとのちの西欧でないと、現実化しなかったものであった。

  • ■モンゴルの時代って、なんだか風通しがよくて涼しげ。人類が見た「世界」という夢。

    モンゴル帝国の創設者チンギスではなく、帝国を完成したクビライに焦点を絞って解説。南宋をほぼ無傷で手に入れ、空前の規模の水軍を持つまでに至る様子、「恐ろしくて野蛮なモンゴル人」というのは諜報による戦意喪失を狙ったデマか、後世の官僚の捏造で、実際にはほとんど戦わない軍隊であったこと、ある段階から明確に世界帝国を目指しており、軍隊を動かすと同時に世界を治めるシステムを多民族からなるブレインに検討させていたことなどが力説されている。

    帝国の範囲を示す地図が楽しい。他の先生の論文からコピペしたものらしく、文中に出てくる地名がなかったりするのが惜しいところ。しかしながら選書ですから、これでいいです。というかよくこれだけみっちり読める内容を盛り込めたなというくらいの手応えは有る本。

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著者プロフィール

京都大学大学院文学研究科教授
1952年 静岡県生まれ。
1979年 京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、
    京都大学人文科学研究所助手。
1992年 京都女子大学専任講師を経て同助教授。
1996年 京都大学文学部助教授・同教授を経て現職。
主な著訳書
『大モンゴルの世界――陸と海の巨大帝国』(角川書店、1992年)
『クビライの挑戦――モンゴル海上帝国への道』(朝日新聞社、1995年)
『モンゴル帝国の興亡』上・下(講談社、1996年)
『遊牧民から見た世界史――民族も国境もこえて』(日本経済新聞社、1997年、日経ビジネス人文庫、2003年)など。

「2004年 『モンゴル帝国と大元ウルス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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