- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022610775
感想・レビュー・書評
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2021/8/13 読み終わった
代々木上原の古本屋で一目惚れして買った。タイトル通り、江戸時代の食事事情を、料理(または食材)ごとに見出しを立てて紹介している。寿司、蕎麦、饅頭などの定番から、砂糖、冷や水という当時ならではのものなど。また、山本山、幾世餅、言問団子などのブランドも。
著者の興津要(おきつかなめ)さんは、近代文学研究者、落語研究者で、「古典落語」シリーズで知られているそう。すみません、ひとつも読んでいません…。
そういう方の本だから、出典の量が尋常じゃない。
特に、誹風柳多留(はいふうやなぎだる)という、川柳集からの引用が多い。誹風柳多留は、1765年から1838年まで不定期で刊行されていた川柳句集で、江戸庶民の文化、風習を知る貴重な資料なのだそう。
落語の演目の元になった小咄なんかも収録していて、ばかばかしくも笑えてどんどん読み進められる。落語研究者としての側面からも、興津さんはこの本の内容を濃くしてくれている。
印象に残った一節は、「蜆(しじみ)」の段。
当時、業平橋(今の東京スカイツリーのあたり)でいい蜆が採れており、「業平蜆」というブランドになっていたことから、
「蛤が好きで蜆に名を残し」
という川柳。蛤は女性器の隠語で、在原業平がプレイボーイだったことからできたドシモ川柳なんだけど、こういうのが江戸っていいよね。
江戸期の資料を熟知している興津さんだからこそ編集できた、短いながらもめちゃくちゃ楽しめる本だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
トイレで読破。