松田聖子と中森明菜 [増補版] 一九八〇年代の革命 (朝日文庫)

著者 : 中川右介
  • 朝日新聞出版 (2014年12月5日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022618146

作品紹介

【文学/日本文学評論随筆その他】80年代を代表する2人の歌姫は、相反する思想と戦略で、消費社会を代表するアイドルとなった。レコード会社や芸能プロの野望が蠢く芸能界を舞台に、歌番組全盛時代を駆け抜けた2人の「人と作品」を描くドラマチックな傑作評伝。

松田聖子と中森明菜 [増補版] 一九八〇年代の革命 (朝日文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 2人の虚像。等身大のアイドルを浮き彫りにした本。当時は明菜派だったが、今たまに聴くのは聖子が多い。

  • 集英社新書から刊行された本の増補版です。山口百恵に関する記述は、著者のもう一つの著作である『山口百恵―赤と青とイミテーション・ゴールドと』(朝日文庫)に取り込まれたためにカットされるとともに、集英社新書版では書かれなかった1986年から1989年までの記事が書き足されています。

    「消費による革命」のメタファーを散りばめながら、松田聖子と中森明菜という2人のアイドルが競い合った時代を、編年体の形式で叙述しています。

    どちらかと言うと松田聖子の方に重点が置かれていますが、資料の多寡という要因もさることながら、やはり現在に至るまでの芸能史・サブカルチャー史の大きな水脈を作り出したのは松田聖子だったという理由によるのではないかという気がします。中森明菜の才能は多くの人が認めるでしょうが、彼女を中心に「時代の潮流」を描くことは難しいように思います。

    そういえば以前、マツコ・デラックスが「聖子のすごさは大人になってから分かる」と発言していましたが、それは歳を重ねたからというよりも、現在の視点から芸能史・サブカルチャー史の大きな流れの中で、松田聖子が立っていた場所を見ることができるからだと言った方が正しいのかもしれません。

    また本書が採用している編年体の形式も、2人のアイドルの戦っていた場所に肉薄することに成功しているように感じました。

    ところで、当時の状況を知らないので判断できないのですが、中森明菜の「ツッパリ系」の楽曲を、山口百恵のイメージと重ね合わせるというのは一般的な見方だったのでしょうか。先日NHK-FMの『トーキングウィズ松尾堂』に出演していた速水健朗が、両者の差異を際立たせるような仕方で中森明菜に言及していて、その解釈が腑に落ちたので、ちょっと気になりました。

  • ドロドロしてます

  • 1980年代の代表的なアイドル。松田聖子と中森明菜。80年代というのは、意味のない軽い印象の時代のように思われるが、今になっても口ずさむのは80年代の歌だ。自分もその時代のアイドルたちと同世代だからかもしれないが、わたしのなかでもきらめいているんだなぁ。青春時代、そこにはやっぱり歌があり、歌手がいる。必死で生きている歌い手がいる。時代をつくった歌い手がいてこその私の青春。ワタシは明菜派でしたけど、今になって、明菜も聖子もなかなかいいよね、と聞きかえしている。松田聖子と中森明菜。時代をつくった二人なのだとつくづく感慨深い。と言っていて、ワタシはもともと百恵派なんですけどね。

  • 山口百恵の引退に始まって松田聖子と中森明菜を中心に蠢いた80年代のアイドル界がデータとともに浮かび上がる好著。

    特に興味を惹かれたのは、作詞家・作曲家と歌い手との関係。網の目のように縦横する両者間の繋がりが面白く、彼らと歌い手とのせめぎ合いが数々の名曲を生んだと感じる。

    時代分析に納得できるものはある程度あるが、甘い幸福を歌う聖子、不幸を歌う明菜というような切り口は、はたして妥当であるかどうかは疑問がつく。孤独と幸福、個人と社会のような紋切り型の用語を使えば、それだけ分析も限定されてしまう。あるいは、多用される革命だとか思想というような言葉は不必要な表現であり、どうにも古くさい。

    著者の思考領域が、戦後民主主義ー新左翼ーポストモダンーニューアカの流れの枠内にとどまっているのは明らか。そこを超えた批評を読みたいが、まだ80年代論は早すぎるのだろうか。

  • 1980年代を駆け抜けたアイドル。山口百恵引退以降、80年代歌謡史の中心にいた二人の活動を記録。デビューから楽曲の変遷、歌謡曲の終焉まで時代を担った歌手としての存在が浮かび上がってくる。

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