- Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022644329
感想・レビュー・書評
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友情について河合先生の視点で書いてある、興味深い本。これまでに河合先生が読んだ本を引用したり、心理学の視点から説明したり。たとえば、同一視。友情の中の愛情を、同一視とし、坊ちゃんのKと先生もこの関係であったのではないかとする。同じ人物は同時に存在し得ないために、自殺という悲劇が起きたと。なるほど。
カウンセラーとしての表現として、「本当の友人は心が通じていることが肝心。と思っているので、「形式的儀礼など無視すべきだ」と考えているが、友人と思っていた人と疎遠になり、「結局、人間なんてそんなものでしょうかね」という相談者に、「なんだか、自分の考えに納得しておられないように感じますが」と言っている。(p99)そして、相談者は、いろいろ考え、自分の放漫さに気づくのである。
ほかにも、贈り物に関する章では、贈り物をするのが好きな婦人にたいして、「今お話をうかがっていて、『別にお返しとか感謝を期待しているわけではありませんが』というのと、『だからと言って何も怒っているのじゃないですよ』というのを繰り返しておっしゃるのが気になりましたが」と返している。ここでも、本人が考え込み、「私はやっぱり何かお返しを期待しているのでしょうか」といったそうである。(p174-175)
そうだとか違うとかいった判断ではなく、カウンセラーが感じた印象を返すことによって、相談者が本当は自分でもうすうす気づいているながらもそうではないと否定しているようなことについて、振り返り気付きを促すことができるのだろう。
これらの気付きをした人たちがその後どのようになったのか気になるところである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大人の友情に関してまじめに分析がされてます。
言葉や文章になると、なるほどなぁ、と再確認したり、わかってくることがあったりします。