- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022645951
作品紹介・あらすじ
馴染んだ毛布とともに、2泊3日だけ我が家に「ブランケット・キャット」がやって来る。リストラされた父親が家族のために借りたロシアンブルー、子どものできない夫婦が迎えた三毛、いじめに直面した息子が選んだマンクス、老人ホームに入るおばあちゃんのために探したアメリカンショートヘア--。「明日」が揺らいだ人たちに、猫が贈った温もりと小さな光を描く7編。
感想・レビュー・書評
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貸し猫とそれを借りた家族の短編集。奇妙な物語的でもあり、群像劇のようでもありなかなかおもしろかった。重松清は文体がかなり現代的で柔らかいのに、しっかりと文学的になっているのが良い。
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2泊3日の猫のレンタルを綴った7つの短編集
特別に賢い猫だけがなれるブランケット・キャッツは、馴染みの毛布と共に様々な家族のもとを訪れる。
人懐っこい犬ではなく、気ままでツンデレな猫というのがポイントだ。猫の行動がミステリアスで、解釈が如何様にもとれるのがまた奥深い。
私は特に
「嫌われ者のブランケット・キャット」と
「旅に出たブランケット・キャット」
が印象的だった。
中でも「旅に出たブランケット・キャット」は、猫目線でその生態や本能的な部分が描かれていて人間との関係性も含めて色々と考えさせられた。
全7章の関連性は無いが、各章其々に描かれたブランケット・キャットがレンタルした人の繊細な心の機微に触れていく様子は、切なくも心温かく心に響いた。
余談だが、ペットショップの傍らで猫レンタル業を営む店長がロボットの様で、塩対応なのがやや気になった。
きっとこの個性的な店長に纏わる話もあるんだろう・・・と読み進めたが、そこは予想に反して膨らまなかった。
ところで、現実には「猫レンタル」も「犬レンタル」もビジネスとして存在しているのをご存じだろうか。
飼いたくても飼えない環境の人
日常に少しの癒しが欲しい人
需要は確かにあるだろう・・・
けれど、そもそも私は「レンタル」という言葉を生き物に使うのに違和感を感じてしまう。そのうちサブスクとか言い出すんじゃないだろうか・・・
このビジネスは、人間の欲を満たすためのものであって、動物にとっては大きな負担になるのは疑いようが無い。
作中では、レンタル猫はペットショップで売れ残り、殺処分を逃れる道という一面も垣間見れた。
例えそうであっても、人間の命の尊さには敏感なのに、動物の命の尊さは何故人間目線でしか考えられないのだろうかと、やるせない気持ちになった。それで救われる命もあるならば、せめて動物の命の尊厳も考えられる感受性は誰しも持っていて欲しいと願ってやまない。
本作ではペットレンタルというビジネスの側面については、読者に解釈を委ねている。レンタル業の店長を、敢えて能面の様なキャラクターで描いた作者の意図する所が、読後ジワジワと迫って来るようだった。
重松清さん、恐るべしだ。
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猫の話
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短編集。心がじんわり温かくなった。
猫レンタル事業ってどうなの?ってところはさておき。それぞれ欠けているものや探しているものを猫の手を借りて少しだけ見つけていく様にほっこりした。
「嫌われ者のブランケット・キャット」の話と、「旅に出るブランケット・キャット」の話が特に好き。 -
ドラマさえみていなければ星3。
ドラマが良すぎてこちらが残念に思える。
レンタル猫は猫のサブスクみたいで嫌だ…!と思うかもしれませんがドラマでは大事にしてくれる人を探す話なので手放す主人公は猫思いなんだなという印象でした。
猫の話が読みたい人は「通い猫アルフィーの奇跡」か「きりこについて」をおすすめします。
短編が読みたいなら「日曜日の夕刊」か「ロングロングアゴー」。
このお話はおすすめできません。 -
2泊3日のレンタル猫の話、7篇。
寒い冬に、とても心温まるストーリーの数々だった。
何か欠けている人間が、猫を急に迎え入れることにより、変わったり自分なりの答えを見つけていく…というもの。
「旅に出たブランケット・キャット」は、この中でひとつだけ人間目線でなく猫目線の短編で、それがまた良かった。
うちにもクリーム色のアメリカンショートヘアがいるので、こんなこと思ってるのかな?と微笑ましく、ますます愛しく感じた。 -
2泊3日でレンタルされる猫、ブランケットキャット。いろんな事情を持った家族が猫をレンタルしていきます。私は旅に出たブランケット・キャットのお話が好きでした。小さな兄妹を導く猫。
最後に出てきた義理のお母さんが優しそうで救われました。1話ずつ短編になってるので読みやすいです。