男爵の密偵 帝都宮内省秘録 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022648440

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  •  若さまやキヨが支那への憧れや彼の地で散った恋人への思いを抱いているのに対し、虎弥太が終始冷めた目で眺めている点にリアリティを感じました。支那に滞在していた過去があるとはいえ、虎弥太は支那文化に明るいというわけではありません。料理人としての腕も、あくまでも生きるために身につけたものでしょうし、彼が作るメニューも地に足のついたものの印象。支那に流れ着きそこで生きていた虎弥太にとっては、崇拝するような特別な場所ではないのでしょうね。

     支那かぶれと揶揄され、一見ふわふわした若さま。野良犬としての矜持を保つ虎弥太。お互い見るべきところは見ていて評価し合っている関係性がよかったです。

     キャラクターや世界観は素敵でしたが、連続殺人事件や黒幕の謎が解決されず、やや消化不良な印象を受けました。発売されてからかなり時間が経っていますが、続きが出て諸々が明らかになることを祈っています。

  • タイトルから密偵・虎弥太の活躍を描く連作かと勝手に決めつけていたら、鼻煙壺の謎を伯爵候補の殿様が追い、それに連続華族殺人事件が絡むという長編推理。連続殺人の謎は完全には解かれず、それにまつわる怪人も正体不明のまま放り出される。どうやらシリーズ物の第一話ということのよう。二作目が出たらどうしようかな。

  • 華族がいる時代、世間を騒がせていたのは
    高貴な彼らの醜聞。

    そのうちのひとつ、を解決するために放たれた密偵が
    主人公というわけですが、普段は料理人。
    しかも勤めにいけと言われた先には、もうライバルが。
    彼女の呟きに、まさかするように仕向けた? と
    思ったのですが、最後まで読むと違うような?
    いやでももしかしたら??

    もぐりこんだ先の若様のお家問題よりも
    銃の届け先での犯人の方が、気になりました。
    一体誰が? というのもありましたが、
    一体どうやってそれを? というのも。
    こちらも最後の最後で分かるのですが、まさかの犯人。
    殺されてしまった旦那様に関しては
    自業自得、で終わるかと。

  • なんだか所々うまく理解できない箇所がありましたが、華族の時代がわかりやすく描かれていました。

  • 不良華族の醜聞が世間を騒がせている昭和五年、若き次期当主で中国の文化と美食を愛する春衡と彼を監視する虎弥太と猟奇的連続殺人。密な描写や密偵さは上手く受け取れなかったものの時代と空気の独特さ然り気無さを何となく楽しんだ。重くなさそうな中国料理も美味しそう。繋がりは判然としないまま真相にも引き込まれた。

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