対決! 大学の教育力 (朝日新書 225)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022733252

感想・レビュー・書評

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  • P.35に初年次教育の目的として8点を提示。

    ①学生生活や学習習慣などの自己管理・時間管理能力を身につける。
    ②高校までに身につけておくべき学力の不足分を補習する。
    ③大学という場を理解する。
    ④人としての守るべき規範を理解する。
    ⑤大学の中で人間関係を構築する。
    ⑥レポートの書き方、文献探索方法など、大学で学ぶためのスタディスキルを獲得する。
    ⑦クリティカルシンキング・コミュニケーション力など、大学で学ぶための思考力を身につける。
    ⑧高校までの受動的な学習から、能動的で自立的・自律的な学習態度への転換を図る。

    この⑧のために行われるのが、初年次ゼミ、なのだという。。。

  • 大学のカリキュラムの根本的考え方が比較出来て非常に興味深く、普段安易に書いている「PBL授業」などが既に多くの大学で実際に導入されていることなどを半ば恥ずかしい気持ちで読みました。東大と京大の教養教育に関する考え方の違いが、大学設置当初からの歴史的経緯に遠因があり、教養学部を置いている東大に比べ、学部別の色彩が強い京大、そしてカリキュラムをしっかり組み立てている東大に比べて、そこは柔軟に学生の自主性に委ねているという比較もなるほどと思いますが、私としては東大の方が方法論としては正しいように思います。早稲田の国際教養学部と慶応のSFCの比較が正にこの東大・京大の関係に似ているということ、慶応SFCのレベルの高さは京大と同じ理念から来ているところも意外感があり、面白いところです。

  • どうでもいいはなし。

  • 大学全入時代になり、各大学が生き残りをかけて自校の教育に工夫を進めているのが読みとれる。東大VS京大という図式だけでなく、地方の大学のユニークな教育方法が興味深い。そのなかで初年度教育に力を入れているということが挙げられる。PDCAのサイクルや、特にPBL(Problem/Project Based Learning)問題発見・解決型の学びを進めている大学が多いと云うことである。研究主体の大学から教育を母体に置いた方向へと転換しているのがわかる。これは、大学教育に限ったことではなくて、義務教育や高等教育、社会人教育もいえることだろう。学生が聴きたくなるような講義をつくる。能動的な取り組みになるような工夫をしているのが、とても興味深い。

  • 『対決!大学の教育力』(友野伸一郎、2010年、朝日新書)

    今日の日本において、大学はどのように受験生に選ばれているのであろうか。大学のブランド力や、難易度や立地などの条件で選ばれる一方で、本来ならば、「その拠って立つ基盤である教育力で選ばれる必要がある」と著者は言う。

    ではその「教育力」は何か。どのような基準で教育力を測ればよいのか。
    著者はこの基準として、「教養科目」と「初年次教育」で大学を見るべきだと主張し、「教養教育」と「初年次教育」の重要性を本書で説明している。

    また、教養教育と初年次教育で特徴のある教育をしている大学学部の紹介がされているので、他大学のよいところを見つける上では意外な発見がありそうだ。

    受験生が読む本というわけでもないだろうが、大学教育について、あるいは大学教育改革について興味がある方ならば、本書は参考となるだろう。

    (2010年4月6日 大学院生)

  • 2010/3/14 メトロ書店御影クラッセ店にて購入
    2010/3/20~3/23

    河合塾の教育研究調査をもとに各大学の教養教育課程での取組みを徹底分析した内容。大学新入生の学力をいかに伸ばすか、で大学の実力を測るべき、という著者の主張はもっとも。大学教員の多くが研究に主眼を置いており、教育、特に教養課程に相当する教育をしたがらない、という現状分析もその通りであろう。また、そういった部分に力を入れても大学教員としては評価されにくいというところもその通りであろう。後半で「対価がなければ大学教員も働かない。それでは単位が取りやすい、という理由で楽勝講義を選ぶ学生と変わりない」というような指摘があったが、それもその通りであろう。
     内容はいちいちもっともである。が、すべての大学がリベラルアーツ志向になっても日本の知力の低下を招くだけではないか?研究はトップ10に入る大学に任せてあとは、そこへ院生を送り込む予備大学になるべき、という議論もあるが、それはまた違うような気がする。以前にも書いたが、やはり大学名などで大卒者や院卒者を迎え入れる企業の意識など社会全体を変えていかなければ、教養教育への取組みも変わらないのではないか。
    いずれにせよ、こういった内容が世間的に広く議論されるのは非常に良いことだと思う。

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著者プロフィール

東京外国語大学フランス語学科卒業。
単著に『眠れる巨象が目を覚ます』(東洋経済新報社)、『対決! 大学の教育力』(朝日新書)。共著に『学生を成長させる海外留学プログラムの設計』『グローバル社会における日本の大学教育』
『大学のアクティブラーニング』『アクティブラーニングでなぜ学生が成長するのか』(以上、東信堂)等多数。


「2022年 『甲状腺専門病院の90年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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