よくわかる認知症の教科書 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.78
  • (2)
  • (3)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 59
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022734983

作品紹介・あらすじ

C0247【自然科学/医学】認知症の症状と向き合って40年。医療・福祉関係者に広く使われている「長谷川式認知症スケール」の開発者として世界的な名医が、認知症の基礎知識と最新情報をわかりやすく解説する。診断、治療、介護、予防など、家族の悩みや疑問に答える。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:493.758||H
    資料ID:95130522

  • 認知症の方の信頼と絆を得ることができるようなケアをすること。
    そのためには自分の全身の力を抜き、相手と同じ弱い立場に自分をおきます。
    そして全身を耳にして相手の心の声に耳を傾けることだそうです。
    認知症の方の内的な体験に分け入って、その人に共感することによってはじめて相手が望んでいるケアができます。
    このようなケアをパーソン・センタード・ケアとよびます。
    長谷川先生、84歳のお年でこの本を出版なされています。
    素晴らしいとしか言いようがありません。

    http://ameblo.jp/nancli/entry-11874980936.html

  • 認知機能が低下する理由はおよそ70。うち、1番多いのが、アルツハイマー病である。

    アルツハイマー病は、記憶障害が基本にあり、空間認知機能の低下、失見当識、妄想などの症状が現れる。

    患者は思い出せなくなっても、愛情は感じることができる。

    アルツハイマー病の患者さんが望んでいるケアとは、なぐさめ(安定性)、その人らしさ(物語性)、たずわること(役割意識)、帰属意識(仲間に入りたい)、愛着(絆)である。これをパーソンセンタードアプローチという。

    パーソンセンタードアプローチのぎゃくは、急がせる、できるのにさせない、途中でやめさせる、無理強いする、無視し、ほっておくである。

    介護は単なる技術ではない。人間関係なのである。

    超高齢社会にある日本。今後、認知症になっても安心な社会を作ることが重要だ。

    ----------

    例えば、家に帰る!と施設を飛び出す認知症のかたと一緒に施設周辺を歩けるかどうかは、介護者の対人スキルだけでなく、時間的、人的余裕がその施設にあるかどうかも影響すると思う。

    呆けても安心。発達がデコボコでも安心。幻覚妄想があってもひとりぼっちにならない社会を作らなければ。

  • Dr. Hasegawa who is famous for "HDS-R" wrote. When I purchased this book, I hadn't expected much at heart. But as I went on reading, I found it wasn't the case. The respectable neurologist's attitude toward patients and illnesses was sincere and modest. He also mentioned detailed and practical aspects about dementia patients care.
    * * *
    「認知症の人が暮らしていける社会(=macroscopic viewpoint),または地域(=microscopic one)」が実現できれば,という一貫した理想.
    「認知機能」=「知能」でよい(P22)
    中核症状とBPSDの区別には限界が(P26)
    嗜銀顆粒性認知症:treatable(?!),非薬物療法で(P41)
    認知症は上手く対応すれば悪くないQOLで長寿をまっとうすることができる(P51)
    記憶障害+認知機能障害+BPSD→認知症と診断(P56)
    BPSDの発生要因:①中核症状(記憶・認知障害)+②心理的要因(自信喪失,不安)+③環境的要因(周囲の無理解,対応のまずさ)P70
    neurotransmitter: depression=serotonin↓,AD=ach↓, Parkinsonism=dopamine↓ P77
    マイスリ,アモバン,ハルシオンなどの超短時間型の眠剤は,薬効が切れるときにせん妄起こす可能性あり→避けるP87
    認知症の予防:①適度な運動,②あたまへの刺激,③栄養バランスP116付近
    リノール酸は不飽和脂肪酸だが,摂り過ぎはいかん.αリノレン酸は摂ったほうがよい.p118
    認知的予備力が大きいと認知機能が低下しても出発点が高いので,結果として呆けにくいp123
    「ながら行為」(=話しながら散歩, etc)は脳に良いp125
    "person-centered care"という概念p149
    "若い優秀な脳外科医”が自分はADだと→「ちょっと用事がある」=信じられないが,そういうdiscrimination(?)があるp171
    欧米では「終末期」=「自分で食べられなくなる時期」だが,日本の場合はここから延命治療が始まるp185
    人が「老い」を自覚するのは,身体的変化(=頭髪,しわ,体力↓など)や,retirement, children's growth, death of close personsなど.⇒「子供の成長」が老いの原因とはっきり言っているところが印象的だったP190
    「楢山節考」の話:おりんと又やんp191

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1929年愛知県生まれ。53年、東京慈恵会医科大学卒業。74年、「長谷川式簡易知能評価スケール」を公表(改訂版は91年公表)。89年、日本で初の国際老年精神医学会を開催。2004年、「痴呆」から「認知症」に用語を変更した厚生労働省の検討会の委員。「パーソン・センタード・ケア」を普及し、ケアの第一人者としても知られる。現在、認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医大名誉教授。認知症を描いた絵本『だいじょうぶだよ――ぼくのおばあちゃん――』(ぱーそん書房)の作者でもある。

「2019年 『ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長谷川和夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×