自衛隊メンタル教官が教える 50代から心を整える技術 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022950611

感想・レビュー・書評

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  • 定年の乗り越え方をメンタルヘルスの観点から説明した本。

    著者は陸上自衛隊で心理カウンセリングを長く担当し、また、自身もうつ病を経験したことから「うつからのリハビリと、定年の乗り越え方は見事にシンクロしています。」と述べている。

    各章の終わりには「まとめのひとこと」が載っているので、省内の各論を覚えていなくとも、このひとことをちょくちょく見直すだけで要点がつかめるのがありがたい。

    あと、本書では「人の心の12の特徴」も記されているが、これを知るだけでも対人関係の悩みが提言されるのではないかと感じた。

    自分の考え方の癖やそれへの対処法、他人との付き合い方等がコンパクトにまとまっているので、タイトルには50代から、と記されてはいるが、50代より若くても、自身の、あるいは対人関係で悩みを抱えている人には読んでほしい一冊であると感じた。

  • 歳をとるということは、退却戦。退却戦は難しくて当然。ほんとにその通りだなと思いました。

  • 年齢柄「50代からの〜・・」とタイトルの付く書籍を数冊読んできた。本書は何かびっくりするような特別なヒントを与えてくれる訳ではないものの、全体として「ゆるゆる」とした展開の中に首肯できるポイントが適度に散りばめられていて心地よく読めた。これから先はちょっとしたことで心のスランプがくることは多いにあると思え、そんな時には再読もしたい。

  • 50代の疲れと不安の正体はエネルギー低下。①地頭・地こころ・記憶力低下、②チャレンジ意欲低下、③ストレス耐性低下。50代は長い人生の大切なターニングポイント。自分の枠組みを外しつつ新たな歩み方を模索、順応させる(急ハンドルはダメ、時間をかける)。戦略的思考4要素①テーマ:定年後の生活全般(生きがい、価値観、人間関係)②環境:どこでどのように老後を過ごすか③今の自分の置かれた状況を分析④時間軸を見落とさない。50代以降は性善説、楽観主義で、エネルギーを消耗しないヘルシーな生き方を。何が「快」か?

  • 50代ではないが年齢を重ねていくうえで心に留めておきたいことが書いてある。
    疲労のセンサーを磨く。
    「そこそこ目標」を目指す。
    「役に立つ」以外の楽しみを見つける。

  • 人の心の12の特徴、等幾つかの気付きがありました!

  • これを読めば救われるというわけではないが、納得できる内容。50代ぐらいから徐々にゆったり考えましょう。。。

    目次、わかりやすい。。個人メモに。

  • 定年後には、それまで当たり前に期待されていた「役割」がなくなり、組織で与えられていた「目標」もなくなり、「収入」も絶たれこころもとなくなる。新たな環境で一から人間関係を結ぶときには、これまで培ってきた価値観をゆるめないといけない。組織における生活で硬くなった心、ますます疲れやすくなる体への価値観を緩めなければいけない。このターニングポイントこそ、ゼロリセット。「目標の立て直し」と「歩み方の見直し」が必要になる。
    p30.生き方は急には変えられない。定年後は何でも好きなことが出来る、と、無邪気に急ハンドルを切っても、人間にはホメオスタシス(恒常性)がある。大きく急ハンドルを切ると、必ず元に戻ろうとする力が大きく働く。
    「簡単じゃない、ややこしい」でも、「トライしてデータを取る」単なる目先の目標や手段の変更の話ではなく、生き方そのものへのトライ。
    p46.「自分の目標とは異なることに無駄な作業をさせられること」が、人間にとっては最も苦痛なこと。誰かの役に立ったり、社会に何らかの貢献をする、という立派な目標でなくてもいい。自らが楽しい、心地よい、要するに、あなたが生き物として充実を感じる目標も、とても大切なもの。生きていて、それをしているときに自分が「楽しい」「心地よい」と感じられるかどうかが大事。
    p47 「今日、自分はこのためにここにいる」ときちんと意識をすること。
    「やらされてる感」を手放していくと、「自分の価値観で選ぶ」ことがどんどん上手になっていく。
    「何もしない生活」をリアルにイメージしてみる。
    「地頭・地こころ、チャレンジ精神、ストレス耐性の低下」と言う3つの変化は必ずやって来て、しかも、年齢とともに加速していく。
    65〜75歳 陽の時期:休日に人と交流す、自分のペースに合わせたハイキングなど、オープンな陽の楽しみが出来る。
    75歳〜90歳 集中力が低下し始め、何かをやりたいと強い気持ちもさほど起こらなくなり、攻めというよりはしっかり守りを意識する時期が陰の時期、身の回りを始末し、命を終える準備をしていく「終活」の時期。
    p88.価値観を緩めることができないと、嫌い合う、頼ることができない、と、どう考えても負のループのオンパレード、だからこそ「人間とはこういうものだ」と言う思い込みを緩めることが大切です。この価値観は、自分次第で「変えられるもの」です。
    自分の立ち位置と他人の立ち位置はもともと比べようもないものです。
    老年期に幸せシニアになるか、それとも残念シニアになるか、それは、今日「やらされてる」と思うのか「選んだ」と思うのかで決まる。
    p114 人の心の12の特徴
    ・人は一貫しないもの 感情は時と場合によってころころ変わる。
    ・感情や欲求はなくせない
    ・人はそれぞれ、正義もそれぞれ
    ・人はなかなか変わらない、成長しない
    ・でも、人は変われる 理屈よりも体験をきっかえにして変わりやすい
    ・人の言動、反応にはそれなりの理由がある。
    ・人は物語を見つけ、安心したい。
    ・人はエネルギーを使いたくない(怠けたい)もの
    ・人間関係のトラブルは当たり前に起こる。人と人が出逢えばトラブルは発生する。全員すっと仲良くはできない
    ・人は他人をコントロールしたがる。人は人を恐れる、そのいっぽうで人は人がいないと生きていけない。自分の安全とエネルギーの消耗を避けるために、他者を従わせたい、他者を従わせるために、わがままになったり、人より優位な立場にたちたくなる。
    ・人は自分を責めやすい。
    ・人は過去の記憶と将来の不安にとらわれやすい。
    p122 人は困ったときにしか大切な事を学べない。
    50代以降は「環境変化」だけで、大きなストレスになる、これからの人生は変わることはストレスになる。
    世界レベルの技術に達するにはどんな分野でも1万時間の練習が必要。
    あたなと今ある価値観も、子供の頃から1万時間以上かけて培い、あなたを支えてきたもの。ほぐすには繰り返しの練習が必要となる。
    仏教の読経も、修行では1日3回は読経の時間を餅、「般若心経」の色即是空:目に見えるものは変わらないようで変わり続ける。空即是色:変わり続けるものは、確かに存在しているものである 
    p153 定年後2〜3年して亡くなる方は、意外と多い、だからこそ疲労への知識はしっかり理解しておいてほしい、がくんときたら、「ああ、やってきたな」と思って、しっかりと休みさえすれば良い。
    感情は、放っておくと一方的に集中し、煮詰まっていく性質を持っている。自分の中でおさらいして、かき混ぜて、風通しをよくする必要がある。
    書くと、「イメージを言葉にしてノートに書き出す」と言う過程で、思考スピードがゆっくりになる。ゆっくり自分の思考や気持ちに触れられるので、これまで宙ぶらりんになっていた気持ちにも、自ら気づきやすくなる。
    喪は少なくとも1年は続きます。大きな悲しみの場合、傷が回復するまでは、1年から3年はかかるのだと言うことを理解しておこう。
    p193 人は生きている限り「目標」を必要とする。いっぽう歳を重ねるにつれ、生きる力であるエネルギーは減っていく。何もしない、目標の存在しない無為な時間を貴重なエネルギーの無駄遣いである。」とあなたの本能は認識し、大変苦痛を感じる。
    働いている時にはあんなに欲しかった「時間」なのに「まだ昼か。一日は長いな」と思い始める。
    生き方の目標
    ・高い目標ではなく、そこそこ目標を目指す。
    ・与えられたものではなく、自分で選ぶ。
    ・行動しながら、どんどん修正していく。
    oodaループ 観察→仮設構築→意思決定→実行の繰り返し。
    自分は何を楽しいと感じるかということ、生産性ががない、そんな事をしても誰の役にも立たないという考えは手放し、あらためて自分に向き合い、選ぶ事が大切。
    「陽の趣味」
    登山・うまい物巡り・ブロク開設・温泉めぐり・神社めぐり・楽器演奏・お遍路・ボランティア・聖地巡礼
    「陰の趣味」
    写真撮影・歴史・美術館・将棋・読書・小説
    上達することよりも、長く楽しむことを目的に変えると、挫折しにくくなる。

  • 人生100年時代で、折り返しとなる50歳。
    50代からのこころの整え方指南書。
    うつからのリハビリと、定年後は共通点が多いとし、目標に対し「達成するべきもの」ではなく、「トライしてデータを取るもの」としていく良いとのこと。
    また、仕事で我慢できている自分を素晴らしいと評価し、我慢できたということを快ととらえていると、仕事を失ったときに、一気に空っぽになるとあり、
    私自身、仕事に追われ日々達成感を味わいたいと考えているのは、危険だと感じた。
    出来なかった自分を、そういう自分でもいいかと緩め、他人や社会に対しても優しくなり、そういう自分になれた自身への信頼、自信が底堅いものになっていくとのこと。
    少しずつ、変えていきたい。
    「役に立つ・生産性」ではく、「自分は何を楽しいと感じるか」へ徐々に。

  • 老いを自覚した時に人生の棚卸しをして、いろいろ固まってしまったコリを揉みほぐすことを勧める一冊。今までの経験を栄養にしてじんわりと生きる楽しみを広げていくヒントがある。メンタル不調を視野に入れつつの提案は説得力がある。

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著者プロフィール

【下園 壮太】(シモゾノ ソウタ)

メンタルレスキュー協会理事長、元陸上自衛隊心理教官。陸自初の心理幹部として多数のカウンセリングを経験。その後、自衛隊の衛生科隊員(医師、看護師、救急救命士等)やレンジャー隊員等に、メンタルヘルス、カウンセリング、コンバットストレス(惨事ストレス)対策を教育。本邦初の試みである「自殺・事故のアフターケアチーム」のメンバーとして、約300件以上の自殺や事故にかかわる。平成27年8月退職。現在はNPOメンタルレスキュー協会でクライシスカウンセリングを広めつつ、産業カウンセラー協会、県や市、企業、大学院などで、メンタルヘルス、カウンセリング、感情のケアプログラム(ストレスコントロール)などについての講演・講義・トレーニングを提供。著書50冊以上。

公式HP: http://www.yayoinokokoro.net/

「2023年 『ワーママが無理ゲーすぎてメンタルがやばいのでカウンセラーの先生に聞いてみた。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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