- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023309982
作品紹介・あらすじ
教養は"生きる力"だ。7つのキーワードを通して、現代社会をより賢明に生きていくための教養の新たな形を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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国際教養を学んでいて結局なんなのかしっくりこずにいた大学4年生。
冒頭でふと腑に落ちたような感覚に合いました。なるほど、これが私が学んでたものだったのねって。
ただ、後半になるにつれて具体的すぎる例な話が飛び飛びで理解が追いつかないところもありました。
文中や巻末にさまざまな本や読書案内もあったのでそれはすごく参考になりそうだなと感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
社会科学や教養教育は最終的には人間がする学問。人間がどういうふうに感じたり、考えたりするかが大事で、それは数量を超えた次元のもの。
批判的思考はリベラルアーツでいうところのロジック(論理学)と修辞学(レトリック)を駆使して、いかに相手をっ説得するかという考え方。
文章表現の方法論と哲学的、心理学的な説得性をいかに組み立てるか。認知心理学という学問も発達してきているだけに、こういう学問も勉強しながら、一般論に動じない自分の独創敵な意見や考え方に裏打ちされた批判的考察を一歩一歩深めていくべき。 -
教養とはつまるところ、その人の判断の根幹を支えるもの。「行動哲学」である。この本は「日本人の教養」を図鑑のように記しているものではなく、日本人の教養とはどういうものであるか?または、どうあるべきか?というものを説明している本である。先日亡くなった著者の中嶋さんは僕が進学を決めた国際教養大学の創設者であったこともあり、今回読もうと思った。中嶋学長の経験に基づき、日本の大学がいかにクローズドで世界の学生から相手にされていないか、国際教養大学やICUなどの小さくても独自のグローバル化を達成している大学がこれから伸びて行くと考えるのはなぜか?などの理由がわかりやすく語られている。大学でも考えることになるだろう、「国際教養大学」「International Liberal arts」とはなにかは僕個人としてはこの本から読み取れなかった。
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タイトルが気になって手に取った本です。著者は、国際教養大学理事長・学長で当学の創設者とのこと、その建学の志を記した本です。
本書のテーマである“教養”ですが、著者が抱く“教養”は、単なる知識の集積ではなく「実践」を伴うものです。したがって、“教養”を修得するためには、知識の獲得はもちろんですが、“経験”も不可欠だと著者は考えています。この“経験”の中には、その場所に行く、人に会うといった実体験はもちろんですが、「読書」もひとつの重要な経験です。
本書の巻末に付された「読書案内」のブックリストはなかなか参考になりそうです。 -
ここ2年くらいで様々な大学論・教養教育論を読んだ。本書はその中で最も平易な言葉で書かれた、深い、本質を端的に述べた教養教育論だと確信した。本当に教養のある方の文章はとても分かりやすく、そして心に響く。
中世の自由七科には、これまでにも関心を寄せてきている。史実としてただ理解するのではなく、連綿と続く教養教育の流れを捉えることが有効。各章で著者は、自由七科を現代的に解釈し、国際教養大学で力点を置く科目を紹介している。この発想はかなり参考になった。おかげで、この自由七科という定性的な概念をどう統計処理するか。ちょっと試したい方法が浮かんできた。しかし数量分析(量的論証)はひとつの補助的作業(P.100)であり、それを絶対視しないように気をつけたい。細部がわかっても全体像を掴めない可能性があるとのことだ。
教養とは何か。教養教育とは何か。あと1年弱で自分なりに、現時点の答えを出さなければならない。著者が得た経験の中のほんの一コマをこの本から感じたい。欧米の大学論と合わせて、これからも折にふれて読み返していこう。 -
学長の著書なので読んでみましたが・・・、
うーん話が飛び飛びでよくわからなかった。
私の理解が足りないのか、それとも本当に色々と飛躍しすぎているのか・・・。
また時間たってから読もうかな。
いや、読まないかな。 -
まず初めに断っておくと、自分の大学の学長の著作なので☆5です。はい。理由は人それぞれなので、ま、それでもいいかな?と思ってます。
内容としては「はじめに」のところに、以下の様に書かれています。
“真の教養とは単なる知識の集積ではなく、「実践」を伴うものでなくてはならないと、私は考えます。(中略)歴史や先人の経験から多くを学ぶ事は大切な教養の一部ですが、それらがすべてではありません。教養とは、常に動く社会情勢の中で新たに創造され磨かれて、更新されていくものでなくてはならないと思います。”
定義の曖昧な「教養」という概念ですが、これが、「中嶋嶺雄が考える『教養』」なのかな。と感じました。自分にとっての「教養」とは何なのか。考えさせられる一冊でした。 -
決断力を培う新たな教養の在り方を示す《赤松正雄の読書録ブログ》
「赤松君、今度新しい本を出したんだよ」―中嶋嶺雄先生がそう言われた。先生が主宰される勉強会が終わろうとする時のことだ。先生の謦咳に初めて接してより44年余り、今なお定期的な勉強会でご一緒させて戴けることは無類の幸せ。『日本人の教養』は、あたかも先生の自伝の趣きがある。中国研究を中心とする国際関係論に始まり、最近はご自身が学長を務められる秋田国際教養大学での実践にもとづく教育論や、ご趣味の音楽にかかわるものなど、多彩に出版活動も展開されている。
この本は、これから大学の門を叩こうとする学生はもとより、人生の半ばで何をどう学べばいいかと迷ってる人やら、老境に入り生きることの確かさを実感したい人まで幅広く読まれるべきだ。そして漂流を続ける日本が立ち返るべき原点が示されている。その意味では、政治家にとっても欠かせぬ書であろう。
「決断」「個性的」「知識」「統計的・批判的」「芸術」「出会い」「協調的」の七つのキーワードの意味を探りながら、教養の在り方を模索する試み。「教養とは常に動く社会情勢の中で、新たに創造され磨かれて、更新されていくものでなければならない」し、「教養こそは決断を促すものであって、決断の精度をあげていくためのもの」との指摘は、今までの教養論を遥かに超えた壮大な構想を持つ。
様々な読み方があろうが、私として興味深かったのは、先生が知的刺激を受けられた人々との交友関係。清水幾太郎氏と丸山眞男氏の比較をされているところなど、とっておきの逸話がさりげなく示される。クラッシック音楽に造詣の深い丸山氏と演歌オンリーの清水氏。中嶋先生はバイオリン奏者でもあることが示すように、本来は、丸山派であろうが、こよなく野人・清水派的生き方に憧れを抱いておられるのではないかと察せられる。
そしてこの本の圧巻は巻末付録の読書案内。幼児対象から始まるところが凄い。先生が影響を受けられた書物から学問上の交流のあった人に至るまで、優しいタッチで分かりやすく触れられていて、誠に楽しい。
クリスマスやお正月に、近しい子供たちや後輩へのプレゼントに使おうと密かに期している。