- Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023311817
作品紹介・あらすじ
【社会科学/社会】貧者を救う画期的なシステムであるはずのマイクロファイナンス(小口金融)が、「無法地帯」と化している。グラミン銀行をはじめ、世界の主要なマイクロファイナンス組織で働いてきた著者が、その悲惨な現状を、豊富な実例を交えて告発した衝撃のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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原題:Confessions of a Microfinance Heretic: How Microlending Lost Its Way and Betrayed the Poor (Berrett-Koehler Publishers 2012)
著者:Hugh Sinclair
訳者:大田直子
Book Design:遠藤陽一
ISBN:9784023311817
定価:2376円(税込)
発売日:2013年3月29日
版型:四六判上製
頁数:368
貧者を救う画期的なシステムであるはずのマイクロファイナンス(小口金融)が、「無法地帯」と化している。
収入改善に何の貢献もしない商品を買って利子60%のローンに苦しむ人々、完済しない限り引き出せないという悪質な預金システム…… ノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行の創設者、モハメド・ユヌス自身でさえ、一部のマイクロファイナンス業界を貧者に群がる「高利貸し」として批判する。
グラミン銀行をはじめ、あらゆるマイクロファイナンスの組織で働いてきた著者が、その悲惨な現状を豊富な実例を交えて告発した衝撃のノンフィクション!
〈https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=14811〉
【メモランダム】
本書のウェブサイト
〈http://microfinancetransparency.com/〉
【目次】
序文 デーヴィッド・コーテン [001-007]
うますぎる話
自分をだます能力
お金の流れを追うと
グラミンは銀行
はじめに [008-012]
目次 [013-017]
コロフォン [020]
第一章 汝、マイクロファイナンスを批判するなかれ 021
業界の不文律
マイクロファイナンス神話
ユヌスの誤算
興隆と信用失墜の十年
第二章 メキシコでの洗礼 038
旅行、失業、そしてメキシコへ
MFIの大ざっぱなビジネスモデル
ずさんで楽観的な組織運営
貧困軽減の兆し
第三章 モザンビークのボブ・ディランと私 056
ディランの知らない惨状
貯金の罠
変革のための一歩
メキシコ人、モザンビークに到着
悲惨な三週間
ビランクロスの立て直しとチョクウェの「破綻」
第四章 モザンビークのもう一つの内戦 090
「マプト問題」とやっかいな泥棒
FCC問題の表面化
対決、そして解雇に
モザンビークでの教訓
第五章 「先進」世界 108
トリプル・ジャンプでの仕事
マイクロファイナンス・ファンドの仕組み
ファンドの行動原理
「本人代理人問題」
第六章 ナイジェリアでは何かがおかしい 127
かの有名なLAPOと出会う
死のロード
無秩序状態の本質を理解する
防衛手段はゼロ
顧客を維持するつもりがない?
涙が出るほど高い利率
第七章 オランダでも何かがおかしい 159
矛盾
ふたたびLAPOとかかわる
チャンスか、試練か
対決、そして解雇に
第八章 法廷で 184
ちっぽけな訴訟とマイクロファイナンス教
勝利がもたらした証拠
第九章 オランダ人を怒らせる 197
格付け機関の信頼性
LAPOの金利が公開情報に
真実を広める
第十章 モンゴルからの内部告発 217
模範的な顧客
マイクロレートの格付け撤回
史上最大級の格下げ
カルヴァートへの苦情
喜ばしい変化
第十一章 『ニューヨーク・タイムズ』に出る 241
透明性の勝利
P2Pの落とし穴
キーヴァのきわめて不透明な部分
違和感
投資界全体の組織的行為
苦情の申し立て
磨き上げられたうわべの正体
第十二章 破綻、自殺、ムハマド・ユヌス 278
ニカラグアの「ノー・パゴ」危機
誰のせいだったのか?
自殺はインドの日常?
創始者シンドローム
何かがおかしい
第十三章 善人、悪人、貧乏人 307
「規制のない借金」という宗教
バラバラな動機
実践的なアドバイス
マイクロファイナンス新時代
付録 マイクロファイナンス経済学入門 340
理論の欠陥
無視される「失職」の事実
市場から絞り出される「利子」
効果はいまだ実証的されず
原注 [354-364] -
衝撃でした。マイクロファイナンスの”真実”が書かれています。無知は恐ろしい。ムハマド・ユヌスはもうグラミンバンクには居ません。マイクロファイナンス団体の9割は不当な金利を貧困者に課してボロ儲け。有名なKivaでさえも不透明な運営をしている...など、この本から知ったこと、学んだことは多い。また、著者が実際にMFIやファンドで働いた実際の現場の記述は非常に参考になり、また考察が鋭い。
満面の笑顔で野菜を売る女性の写真に騙されてはいけない。マイクロファイナンスを始めたいと思う人も、投資しようとしてる人も必ず読むべき本。 -
マイクロファイナンスの裏。
和訳本だからかちょっと読みにくい。 -
貧困から抜け出すことにつながると言われていたマイクロファイナンス。実際のところはどうなのか、マイクロファイナンスにかかわった筆者が書いており、興味深い。ごくわずかな成功例をもとにいいもののように見せかけて貧困層から金を巻き上げることにしかなっていないのではないか、という話。